初診日

初診日の特定

※上記画像と本文の内容は、無関係です。

 

初診日は、障害年金の受給要件における最も重要な専門用語です。

障害年金の3つの受給要件(初診日要件、保険料納付要件、障害状態要件)のうち、初診日要件において初診日の特定が要求されます。

この初診日を特定しないと、保険料納付要件や障害状態要件を満たしているか否かも判断できないため、障害年金の申請書類を整えるには、まず初診日を特定させる書類を整備します。初診日が不明あるいは当初の見立てと異なった場合、労力や費用の無駄に直結するため、一番神経を使うところです。

ご本人による申請をお考えの方は、まずは初診日の意味をしっかり把握しましょう。初診日の解釈については、厳格な文理解釈(法律の文言通りの解釈)が行われ、拡張解釈は認められていないのが現状です(最二小平20.10.10)。法律の条文や障害認定基準を理解することが必要となります。

 

初診日の特定からすべてが始まる。

初診日とは

◆「初診日」とは、障害の原因となった傷病(疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病)について、初めて医師又は歯科医師(以下「医師等」という。)の診療を受けた日(以下「初回受診日」と略す場合がある。)をいう(国年法30条1項、厚年法47条1項)。

 

※「医師等」とあるので、初診日は医療機関における受診日でなければならない。したがって、整骨院、骨接ぎ、鍼灸院等における受診日は、初診日と認められることはない。

 

具体的には、次のような日が、障害給付の対象傷病の初診日とされる。

<初診日の特定の原則的な取扱い>

(1)「初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)」が初診日となる。

(2)同一傷病で転医があった場合、「最初の転医前の医師等の初回受診日」が初診日となる。

(3)過去の傷病が治癒した後同一傷病で再発した場合、「再発後の初回受診日」が初診日となる。

 ※治癒したと認められる場合、再発として過去の傷病と再発傷病とは別傷病とされるのに対し、治癒したと認められない場合、過去の傷病が継続しているとみて再発傷病とは同一傷病として取り扱われる。

(4)健康診断で異常が発見され、療養に関する指示を受けた場合、「健康診断日」が初診日となる。

<確定診断に時間を要する等、特殊な場合>

(5)傷病名が確定できず対象傷病と異なる傷病名(他の傷病名。例えば、誤診等による傷病名の場合)であっても、同一傷病と判断される場合、「他の傷病名の初診日」が対象傷病の初診日となる。

(6)じん肺(じん肺結核を含む。)の場合、「じん肺と診断された日(確定診断日)」が初診日となる。

(7)相当因果関係が認められる前発傷病がある場合、「当該前発傷病の初回受診日」が初診日となる。ただし、ポストポリオと認定された場合、ポリオではなく、「ポストポリオの初回受診日」が、初診日となる。

(8)発達障害(自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの)の場合、原則として「低年齢期において自覚症状が出現した後の初回受診日(20歳前の初回受診日)」が初診日となる。ただし、知的障害が伴わない者であって、発達障害の自覚症状が出現した後の初回受診日が20歳以降であった場合、「当該受診日」が初診日となる(第1章第8節E(1)(3))。

<先天性疾患のうち、出生日に具体的な症状が出現していると認められる場合>

(9)先天性の知的障害(精神遅滞)の場合、出生日が初診日となる。

(10)先天性股関節脱臼(完全脱臼したまま生育したもの)の場合、出生日が初診日となる。 

<先天性疾患のうち、出生日には具体的な症状が出現していないと認められる場合>

(11)先天性股関節脱臼(青年期以降に変形性股関節症が発症したもの)の場合、「当該変形性股関節症が発症した後の初回受診日」が初診日となる。

(12)先天性心疾患、網膜色素変性症等は、「具体的な症状が出現した後の初回受診日」が初診日となる。

 

初診日を基準として障害年金の受給要件が求められる理由

【認定判断の統一性及び客観性の担保】

厚生労働省(日本年金機構)は、障害年金の受給権の有無を判断する裁定機関(審査機関)ですが、個々の傷病に係る発病日を的確に認定するに足る資料までは保有しておりません。

そこで、医学的見地から裁定機関の認定判断の客観性を担保しつつ、その認定判断が画一的かつ公平なものとなるよう、初診日を特定することを障害年金の受給要件の一つとして定め、障害年金の受給権を発生させる根拠となる適用法令の範囲を明確にしているのです。

したがって、初診日が不明であれば、障害の状態を問わず、門前払いとなります。

 

発病日も検討する必要がある場合

現行法(新法)は、昭和61年4月1日以降に受給権を発生させる制度であり、初診日を基準として受給要件を判断する「初診日主義」を採用しています。

これに対し、旧法は、昭和36年4月1日以降昭和61年3月31日までに受給権を発生させる制度であり、発病日を基準として受給要件を判断する「発病日主義」を採用しています。旧法であっても、既得権保護の観点から、経過措置によって現在もなお有効な規定があります。

どの制度が利用できるのかは、受給権発生日に依存します。この受給権発生日は、裁定請求の方法(適用法令)によって異なるのですが、発病日又は初診日を軸として受給権発生日が決まる、つまり、どの制度が利用できるか検討すべき法律の条文(範囲)が決まるのです。適用すべき条文が決まると、具体的な障害年金の受給要件(初診日要件、保険料納付要件及び障害認定日要件)が検討できることになります。

具体的には、初診日が昭和61年3月31日以前の場合、必ずしも受給権発生日も昭和61年3月31日以前とは限らないため、新法及び旧法の規定を確認する(初診日だけでなく発病日も検討する)必要があります。

 

発病日とは

◆「発病日」とは、障害の原因となった傷病(負傷又は疾病)の発生日をいいます。負傷の場合、負傷を負った日が発病日となります。疾病の場合、(カルテ等で)自覚症状若しくは(検査等で)他覚症状が認められた日が発病日となります。

ただし、先天性疾患については、生誕時から潜在的な罹病に留まり、必ずしも症状が現れるとは限らず、普通に生活や就労ができている場合もあります。この場合、カルテ等で自覚症状が認められた日や検査等で異常が発見された日が発病日となります。

具体的には、以下のような日が、発病日として取り扱われます。

(1)受診前に自覚症状が現れた場合:その日(その後の受診でカルテ等に記載されたもの)

(2)自覚症状が現れずに受診した場合(他覚症状は認められる場合):その日(初診日)

(3)治癒(社会的治癒を含む。)後に再発した場合:再発した日

(4)健康診断により異常が発見され、療養に関する指示を受けた場合:健康診断日

(5)交通事故等の場合:事故等が発生した日

(6)急性心筋梗塞や脳卒中等の場合:発症した日

(7)じん肺(じん肺結核を含む。)の場合:粉塵を吸入する業務に従事した期間中の日

(8)先天性心疾患や網膜色素変性症等の場合:具体的な症状が出現した日

(9)先天性股関節脱臼(完全脱臼を除く。)の場合:変形性股関節症が発症した日


初診日の特定の問題

発病日よりは初診日のほうが審査側及び請求人側の負担は幾分軽くなったようにみえます。

とはいえ、初診日は、当該「傷病」について初めて受診した日ですから、「傷病」の解釈の影響を大きく受けます。「傷病」とは、疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病をいい、これも厳格な文理解釈に委ねられますが、前後の傷病が、同一傷病なのか別傷病なのか、「これらに起因する疾病」に当たるのか否かが問題となります。これらは医学的見地による傷病の特性や症状の理解にも絡んできます。

また、カルテが保存年限(5年)経過により破棄され、転医先の医療機関に係る資料や診察券その他物件を当たっても初診日へ繋がる手掛かりがないような場合は稀ではありません。

発病日と同様、初診日の特定の困難性はそれほど変わらず、第一関門なのです。

以下、初診日を巡る争いを極力回避すべく、初診日の検討において留意すべき事項を述べます。

 

同一傷病の解釈と取扱い

◆「同一傷病」とは、一つの傷病の発生(発病)から治癒までをいい、同一傷病として扱うか否かは、現在の傷病(疾病)が以前からの傷病と因果関係があるか否か(相当因果関係の有無)を判断して決められます。

 

◆「治癒」とは、医学的に厳密な治癒のみならず、社会的治癒を含みます。前の傷病が医学的治癒又は社会的治癒した後、再び悪化した場合は、前の傷病の継続として扱わず、再発した別傷病として取り扱われます。

 

◆「社会的治癒」とは、臨床的に症状がなくなったか又は悪化の恐れのない状態に固定して治療の必要がないと判断され、かつ、このような状態が相当期間継続し、その間一般人と同様、普通に日常生活や就労ができた場合には、傷病が治癒したとみる考え方をいいます。

 

「相当因果関係」について

◆「相当因果関係がある」とは、前の疾病又は負傷がなかったならば後の疾病が起こらなかったであろうと認められる場合をいい、前後の傷病は同一傷病として取り扱われます。

したがって、前後の疾病が医学的に同一である場合には前の疾病について初診日が認定され、また、相当因果関係があると認められて前後の傷病が同一傷病として取り扱われる場合にも、前の傷病について初診日が認定されることが原則となります。

 

「再発」又は「継続」について

ところが、前の傷病と後の傷病が医学的に同一である場合であっても、別傷病として取り扱われ、後の傷病について初診日が認定される場合(再発初診)があります。

治癒が認められる場合、すなわち、前の傷病(過去の傷病)が医学的治癒又は社会的治癒した後、再び悪化した場合、前の傷病の「継続」として取り扱われず、「再発」した別傷病(再発傷病)として取り扱われ、再発傷病について初診日(再発初診)が判断されます。

一方、治癒が認められない場合、前の傷病の「継続」として取り扱われ、前の傷病について初診日が判断されます。

 

「社会的治癒」について

◆「社会的治癒」とは、臨床的に症状がなくなったか又は悪化の恐れのない状態に固定して治療の必要がないと判断され、かつ、このような状態が相当期間継続し、その間一般人と同様、普通に日常生活や就労ができた場合には、傷病が治癒したとみる考え方をいいます。

したがって、薬治下(投薬や治療を必要とする状態)にある場合や、単に症状がなく一般人と同様の勤務をして相当期間経過したという状態だけでは、社会的治癒は認められません。

社会的治癒が認められるためには、社会保険審査会の裁決例に照らせば、治療内容と就労状況の2つの観点から検討されており、具体的には、以下の2つの条件が必要と考えられます。

 

【社会的治癒の認定要件(法令等に明文なし)】

1.治療投薬を必要とせず、外見上治癒した期間が一定程度継続すること

例えば、症状が安定して特段の療養の必要がなく(薬治下にあっても、維持的あるいは経過観察的な治療によって症状の安定が維持されており)、外見上治癒した(具体的な自覚症状や他覚症状がない)期間が一定程度継続している場合は、本条件を満たすものと考えられます。

ここで「治癒した期間」がどの程度要求されるかは、診断書や病歴申立書等によって個別に判断されるため、事例によって異なります。治癒したか否かの判断をするのに長い期間を要する精神疾患では、5年程度とされることが多くなっています。

 

2.普通に日常生活や就労ができていること

例えば、症状が消滅して通常の日常生活や従前の勤務が可能となったような場合です。

このような法令や障害認定基準に明文がない例外的な取扱いを受けるためには、あらかじめ初回請求の段階から不服申立てによる長期戦も見据えて書類整備を行うなど、細心の注意が求められ、多大な労力がかかる場合があります。

 

 

初診日の特定はクリアした。でも初診日の認定まで大丈夫?

初診日を確認するための資料

初診日が特定できているが、初診日の認定可能な水準まで必要な資料を集める場合、あるいは初診日が特定できないため、その確認資料を集めた結果として初診日が特定できるようになった場合などが考えられます。

初診日を特定するためには、初診日を確認するための書類を集めて、その内容を検討する必要があります。

初診日が特定できた方。あなたはスタートラインに立ちました。次のステージに移りましょう。

添付資料では、初診日の特定だけでは足りず、初診日の認定に足る質的内容も問われるのです。

 

初診日の確認資料について、詳しくはこちらです。