障害状態要件(単独障害及び複数障害)

 

障害状態要件とは

※上記画像と本文の内容とは無関係です。

 

■「障害状態要件」とは、請求傷病による障害の状態が、障害認定時期に政令別表で定める障害の程度(障害等級又は障害手当金)に該当することをいいます(国年令別表、厚年令別表第1、同第2)。障害の程度に該当するか否かという観点から「程度要件」といわれることもあります。

 障害年金の請求手続においては、障害の状態が「いつ」(障害認定時期)の時点でどの「程度」(障害の程度)に該当するのか、これらの2つを認定医が把握可能な客観的資料(診断書や検査結果等)を整備しておく必要があります。

 

「障害認定時期」

「障害認定時期」とは、障害の程度を認定する時期をいい、具体的には、障害の状態が政令別表(国年令別表、厚年令別表第1、同別表第2)で定める障害の程度(障害等級又は障害手当金)について、厚生労働大臣(日本年金機構)が認定する基準日をいい、国民年金法又は厚生年金保険法の適用条文によって異なります(認定基準第2の2)。

 

「障害の程度」

「障害の程度」には、障害の状態が重いものから順に、障害等級1級、2級、3級及び障害手当金があります。

・障害基礎年金には1級及び2級があり、障害厚生年金には1級、2級及び3級並びに障害手当金があります。

・障害の程度は、政令別表(国年令別表、厚年令別表第1、同令別表第2)に定められており、具体的な判定は「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」(以下「認定基準」と略します。)に依拠して行われます。

 

★個別具体的な障害状態要件を検討したい場合

●一つの傷病による一つの障害の場合(下記①の場合)を除き、重複障害に係る「併合等認定基準」(障害認定基準第3第2章)を考慮する必要があります。

 

●重複障害の障害状態要件については、慎重な検討が必要です。書類整備の難易度は上がります。

 

<原因傷病(単)→発生障害(単)>

① 単独傷病による単独障害の場合
 →目次1~18のうち該当するもの参照。

<原因傷病(複)→発生障害(単)>
② 複数傷病による単独障害(加重障害)の場合
 →目次1~18のうち該当するもの及び19参照。

<原因傷病(単)→発生障害(複)>
③ 単独傷病による複数障害(合併症等)の場合
 →目次1~18のうち該当するもの及び19参照。

<原因傷病(複)→発生障害(複)>
④ 複数傷病による複数障害(重複障害)の場合
 →目次1~18のうち該当するもの及び19参照。

 

【目次(本サイト内のリンクページ案内)】

1.眼の障害

2.聴覚の障害

3.鼻腔機能障害

4.平衡機能障害

5.咀嚼・嚥下機能障害

6.音声・言語機能障害

7‐1.上肢の障害

7‐2.下肢の障害

7‐3.体幹・脊柱機能障害

7‐4.肢体広域機能障害

8.精神の障害

9.神経系統の障害

10.呼吸器機能障害

11.循環器機能障害

12.腎機能障害

13.肝機能障害

14.血液・造血障害

15.代謝障害

16.悪性新生物による障害

17.高血圧症による障害

18.その他の障害

19.重複障害 ←複数の障害の組合せで上位等級を狙う方はこちら。 

 

 

障害の程度の一般的な目安

障害の程度は、1級及び2級は「日常生活」の制限度合いを基準に評価される。3級及び障害手当金は「労働能力」の制限度合いを基準に評価される。

 

【1級】(国年令別表)

「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる(他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない)程度のもの」は、1級に該当する。

例えば、身の回りのことは辛うじてできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活でいえば、活動の範囲が概ねベッド周辺に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲内が概ね就床室内に限られるものは、1級に該当する。

 

【2級】(国年令別表)

「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする(必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない)程度のもの」は、2級に該当する。

例えば、家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活でいえば、活動の範囲が概ね病棟内に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲が概ね家屋内に限られるものは、2級に該当する。

 

【3級】(厚年令別表第1)

「労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」は、3級に該当する。したがって、原則として3級では、労働に係る制限の程度は「著しい」ものであることが要求される。

しかしながら「傷病が治らないもの」にあっては、労働に係る制限の程度が「著しい」ものに至らなくても、「労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度」のものについても、3級に該当しうる(厚年令3条の8別表第1の3級14号、認定基準第2の1(3))。

 

障害等級3級14号の規定趣旨

<障害等級3級14号>

●「傷病が治らないで、身体の機能又は精神若しくは神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するものであって、厚生労働大臣が定めるもの」(厚年令別表第1第14号)

 

<障害等級3級14号の規定趣旨の考察>

障害等級3級14号の規定趣旨は、障害の程度の認定時では障害手当金相当の事案に対し、症状固定に達したか否かの経過観察に付して暫定的かつ機動的に有期認定を行い、事後的に等級を見直すことを可能とするところにある。

本来、障害等級3級は「労働が著しい制限を受けるか労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」であることが求められ(認定基準第2の1(3))、労働能力に「著しい」制限が現にある又は加える必要があることが求められている(厚年令別表第1第1号~13号)。

これに対し、本号では「傷病が治らないで」という要件が付加されている(厚年令別表第1第14号)。ここで「傷病が治らないで」とは、傷病が治らないものをいい、治ったものを除く趣旨である。「治ったもの」とは、器質的欠損若しくは変形、又は機能障害が残る場合には、医学的に傷病が治ったもの、又は、その症状が安定し、長期に亘ってその疾病の固定性が認められ、医療効果が期待し得ない状態で、かつ、残存する症状が自然経過により到達すると認められる最終の状態(症状固定)に達したものをいう(認定基準第1の5)。

また、本号では労働能力の制限について「著しい」という要件は外されているため、「傷病が治らないもの」にあっては「労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもの」、すなわち、障害手当金に相当する程度のものであっても、障害等級3級に該当するものとされる(認定基準第2の1(3))。

この認定の際、認定時期以後概ね1年以内に、その状態の変動が明らかに予測されるときは、その予測される状態が勘案され、本号が認定されるものについては、1年から5年(通常は1年)の有期認定の更新時に等級を見直す「経過観察」に付されます(認定基準第2の3(3)。その後、更新時に提出する診断書に基づいて「症状が固定に達したもの」と認められた場合、不服申立てにより当該認定を覆さない限り、本号に該当しない(同(5))。

つまり本号は、障害の程度の認定時では障害手当金相当の事案に対し、症状固定に達したか否かの経過観察に付して暫定的かつ機動的に有期認定を行い、更新時に等級を見直すことを可能とする暫定措置といえる。

 

障害等級3級14号で認定された場合の留意点

障害等級3級14号で認定された後、更新時に症状固定が認められた場合、不服申立てにより当該認定を覆さない限り、本号不該当とされ(認定基準第2の3(5))、もとより障害等級3級1号から13号までに該当していない以上(厚年令別表第1各号)、上位等級(1級又は2級)の障害の程度で症状固定が認められるか、又は併存する他の障害との併合認定若しくは総合認定で3級以上に該当しない限り、障害年金は支給停止(支給打ち切り)となり、受給額はそれ以降ゼロとなる(同(2))。

 

【障害手当金】(厚年令別表第2)

「傷病が治ったものであって、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもの」は、障害手当金に該当する(認定基準第2の1(4))。