障害状態要件(精神の障害)

8.「精神の障害」の障害状態要件

※上記画像と本文の内容とは無関係です。

 

【目次】

8‐1:精神障害(統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害)の障害状態要件

8-2:精神障害(気分(感情)障害)の障害状態要件

8-3:精神障害(病状性を含む器質性精神障害)の障害状態要件

8‐4:精神障害(てんかん)の障害状態要件

8‐5:知的障害の障害状態要件

8‐6:発達障害の障害状態要件

 

【注1】以下、根拠条文等について、次のように略記する場合があります。

・「節」は「障害認定基準」、「欄」は「診断書」を指すものとします。

 例1)「認定基準第3第1章第8節」→「第8節」

 例2)「精神の障害用の診断書(様式120号の4)第10欄」→「第10欄」

  ※精神の障害(精神障害、知的障害、発達障害)の場合、前記様式を用います。

  ※複数の障害が併存する重複障害で請求する場合、様式の異なる複数の診断書を用いる場合があります。

  →診断書の様式が異なる場合、同種の記載欄の番号が本頁記載のものとは異なる場合があります。

【注2】本頁の例示は、認定基準の例示及び公開情報から推察し構築したものも含む場合があります。

 ※「公開情報」:障害年金の認定に関する専門家会合の議事録等。

 

【等級判定における注意点】

●請求傷病が「てんかん」である場合、「精神の障害に係る等級判定のガイドライン」(以下「等級ガイドライン」と略す場合がある。)は適用対象外となり、認定基準に従う。

 →目次「8-4」参照。

●請求傷病が「てんかん」以外の場合、等級ガイドライン及び認定基準に従う。

 ・精神の障害(てんかんを除く。)の等級は、等級ガイドライン〔表1〕(障害等級の目安)を参考に、障害の特性に応じた考慮要素(病的体験・残遺症状・認知障害・性格変化等)も加味し、認定医の専門的な判断に基づいて、総合的に判定(総合評価)される。

 ※合理的かつ明確な理由があれば、目安と異なる等級で判定される場合がある。

 ※「認定医」:各都道府県事務センターの障害認定医、障害認定診査(審査)医員の略称。

 →下記【表1】以降及び各障害態様(目次8-1~6。但し8-4を除く。)参照。

 

【表1】等級の目安 (「精神の障害に係る等級判定のガイドライン」〔表1〕より作成)

日常生活能力の
[判定平均]\(程度)
(5) (4) (3) (2) (1)
[3.5以上] 1級 1級又は
2級
     
[3.0以上3.5未満] 1級又は
2級
2級 2級    
[2.5以上3.0未満]   2級 2級又は
3級
   
[2.0以上2.5未満]   2級 2級又は
3級
3級又は
3級非該当
 
[1.5以上2.0未満]     3級 3級又は
3級非該当
 
[1.5未満]       3級非該当 3級非該当

<用語等の説明>

※「程度」:診断書の記載項目「日常生活能力の程度」の5段階評価。

※「判定平均」:診断書の記載項目「日常生活能力の判定」の4段階評価において、程度の軽いほうから1~4の数値に置き換え、その平均(1.0~4.0の間)を算出したもの。

※「3級(又は3級非該当)」:障害基礎年金の場合は「2級非該当」に読み替える。

 

<日常生活能力の「程度」の5段階評価の各定義と該当例>(診断書様式第120号の4)

●(5)について:精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である。

 例1)家庭内生活においても、食事や身のまわりのことをほとんど自発的にすることができない。

 例2)在宅の場合に通院等の外出には、付き添いが必要である。

●(4)について:精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である。

 例1)著しく適正を欠く行動が見受けられる。

 例2)自発的な発言が少ない、あっても発言内容が不適切であったり不明瞭であったりする。

 例3)金銭管理ができない。

●(3)について:精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。

 例1)習慣化した外出はできるが、家事をこなすために助言や指導を必要とする。

 例2)社会的な対人交流は乏しく、自発的な行動に困難がある。

 例3)金銭管理は困難である。

●(2)について:精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には、援助が必要である。

 例1)日常的な家事をこなすことはできるが、状況や手順が変化したりすると困難を生じることがある。

 例2)社会行動や自発的な行動が適切にできないこともある。

 例3)金銭管理はおおむねできる。

●(1)について:精神障害を認めるが、社会生活は普通にできる。

 

【判定平均の求め方】

<診断書における日常生活能力の判定項目の確認>

●まず、精神の障害用の診断書裏面における日常生活能力の判定項目として、次の(1)~(7)について、それぞれ1箇所(計7箇所)にレ点が付されていることを確認する。尚、(4)については、要・不要のいずれかに丸印が付されていることも確認する。

(1)適切な食事

(2)身辺の清潔保持

(3)金銭管理と買い物

(4)通院と服薬(要・不要)

(5)他人との意思伝達及び対人関係

(6)身辺の安全保持及び危機対応

(7)社会性

 

<日常生活能力の判定項目の数値換算と判定平均の算出>

●次に、前記7項目に対する判定(レ点が付された評価の記載内容)を数値換算し、次の⓵~④の合計値を7で割る。

・「できる」

 →換算値[1]×個数…⓵

・「自発的にできるが時には助言や指導を必要とする」又は

 「おおむねできるが時には助言や指導を必要とする」

 →換算値[2]×個数…②

・「自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる」又は

 「助言や指導があればできる」

 →換算値[3]×個数…③

・「助言や指導をしてもできない若しくは行わない」

 →換算値[4]×個数…④

 

判定平均=(⓵+②+③+④)÷7

 

8-1:精神障害(統合失調症等)の障害状態要件

■精神障害(統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害)の原因となった請求傷病(統合失調症等)による障害の状態が、障害認定時期に政令別表に定める障害の程度に該当するものであること(国年令別表、厚年令別表第1、同第2、認定基準第3第1章第8節1)。

 

【「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」の等級判定方法】

●精神障害(統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害)の等級は、等級ガイドライン〔表1〕(障害等級の目安)を参考に、様々な要素を考慮し、認定医の専門的な判断に基づいて、総合的に判定(総合評価)される。

 

【「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」の等級判定における総合評価の考慮要素】

●精神の障害用の診断書の記載項目のうち「日常生活能力の程度」及び「日常生活能力の判定」については、等級の目安を得る際に考慮されるため、これら2項目以外のものについて、次の5つの分野に区分し、総合評価の際に各分野の様々な要素が考慮される。なお、診断書以外の資料も総合評価の判断資料となりうる。

※診断書の記載全てが考慮要素となるわけではない。すなわち、記載事項全てが必ずしも等級判定に影響を与えるものではない。したがって、次に掲げる考慮すべき要素(総合評価の際に考慮することが妥当と考えられる要素)の例や等級判定の具体例は、あくまで一般的な例示に過ぎない。個別の事案に即して総合評価されるため、必ずしも具体例の通りの等級判定がなされるとは限らない。

 

1.現在の病状又は病態像(統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害の場合)(第10欄ア・イ・カ等)

(1)統合失調症等とその他認定対象となる精神疾患が複数併存している場合、併合(加重)認定は行われず、諸症状を総合的に判断して認定される(第8節2A(2))。

(2)「ひきこもり」は、精神障害の病状の影響により継続して日常生活に制限が生じている場合に考慮される。

(3)統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害の場合の考慮要素

 ⓵ 療養及び症状の経過(発病時からの状況、最近1年程度の症状の変動状況)

 ② 妄想・幻覚などの異常体験の有無

 ③ 自閉・感情の平板化・意欲の減退などの陰性症状(残遺状態)の有無

 <1級又は2級検討例>

  例)陰性症状(残遺状態)が長期間持続し、自己管理能力や社会的役割遂行能力に著しい制限が認められる場合

(4)身体所見(神経学的な所見を含む。)(第10欄オ)

(5)臨床検査(第10欄カ)

 ※「臨床検査」:心理テスト等。

(6)現症時の日常生活活動能力及び労働能力(第11欄)

 ・現症時の日常生活活動能力及び労働能力は、必ず考慮される。

(7)予後(第12欄)

 ・予後は、必須記載事項として考慮される(同欄朱書)。

 例1)不良:病状の進行の見通し。

 例2)不詳:予後が診断時に判断できない場合。

(8)備考(第13欄)

 ・なお、診断書第1欄(障害の原因となった傷病名)に神経症圏(ICD-10コードが「F4」)の傷病名)が記入されており、かつ「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」の病態を示している場合、第13欄(備考)において、次の2つの事項が確認される(記入上の注意)。

 ①「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」の病態を示している旨

 ②「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」の病態のICD-10コード

 

2.療養状況(精神の障害共通)

(1)通院の状況(頻度、治療内容等)

(2)薬物治療を行っている場合

 ⓵ 薬物治療の目的

 ② 薬物治療の内容(薬の種類、処方量、血中濃度、処方期間)

 ③ 服薬状況(自己管理能力、断薬の有無等)

(3) 通院や薬物治療が困難又は不可能な場合

 ⓵ 通院や薬物治療が困難又は不可能な理由

 ② 他の治療の有無及びその内容

(4)入院時の状況

 ⓵ 入院期間

 ② 院内での病状の経過

 ③ 入院の理由等

 <1級検討例>

  例)病棟内で本人の安全確保等のため常時個別の援助が継続して必要な状態である場合

(5)在宅での療養状況

 <1級又は2級検討例>

  例)在宅で家族や重度訪問介護等から常時援助を受けている場合

 

3.生活環境(精神の障害共通)

(1)独居の場合

 ⓵ 独居の理由

 ② 独居になった時期

 ③ 独居でも生活支援がある場合:その支援の状況

 <2級検討例>

  例)日常的に家族等の援助や福祉サービスを受けることによって生活できている場合

 ④ 独居だが生活支援がない場合:その支援の必要性

 <2級検討例>

  例)現に家族等の援助や福祉サービスを受けていないが、それらの支援が必要な状態の場合

(2)独居でない場合:単身で生活するとした場合に必要となる支援の状況

 ・入所施設やグループホーム、日常生活上の援助を行える家族との同居等、支援が常態化した環境下では日常生活が安定している場合でも、単身で生活すると仮定した場合に必要となる支援の状況が考慮される。

 

4.就労(作業)状況(精神の障害共通)

(1)「労働に従事」したからといって直ちに「日常生活能力が向上した」と判断されることはない。現に労働に従事している場合、「療養状況」に加え「仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等」も吟味される。

(2)援助や配慮が常態化した環境下では安定した就労ができている場合でも、その援助や配慮がないと仮定した場合に予想される状態が考慮される。

(3)相当程度の援助を受けて就労している場合、考慮される。

 <1級又は2級検討例>

  例1)「就労系障害福祉サービス(就労継続支援A型、就労継続支援B型)」を受けている場合

  例2)「障害者雇用制度」によって就労している場合

  例3)「就労移行支援」を受けている場合

 <2級検討例>

  例4)障害者雇用制度を利用しない一般企業や自営・家業等で就労している場合でも、就労系障害福祉サービスや障害者雇用制度における支援と「同程度」の援助を受けて就労している場合

(4)就労の影響により、就労以外の場面での日常生活能力が著しく低下していることが客観的に確認できる場合、「就労の場面」及び「就労以外の場面」の両方の状況が考慮される。

(5)一般企業(障害者雇用枠制度による就労を除く。)での就労の場合、月収の状況だけでなく、 就労の実態を総合的にみて、等級判定される。

(6)安定した就労ができている(1年を超える就労の継続ができている)場合でも、その間の就労の頻度や継続を支える援助や配慮の状況も踏まえ、就労の実態が不安定な場合、それが考慮される。

(7)発病後も継続雇用されている場合、従前の就労状況を参照しつつ、現在の仕事の内容や仕事場での援助の有無等の状況が考慮される。

(8)精神障害による出勤状況への影響(頻回の欠勤・早退・遅刻等)が考慮される。

(9)仕事場での臨機応変な対応や意思疎通に困難な状況が見られる場合、その状況が考慮される。

 

5.その他(統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害の場合)

(1)「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」に齟齬がある(整合性が低く、参考となる目安がない)場合、必要に応じ診断書作成医に内容確認等がなされたうえで「日常生活能力の程度」及び「日常生活能力の判定」以外の診断書の記載内容から様々な要素が考慮される。

 ※「内容確認等」:医師照会等。

(2)日常生活能力の「判定平均」が低い場合でも、各障害の特性に応じて特定の項目に著しく偏りがあり、日常生活に大きな支障が生じていると考えられる場合、その状況が考慮される。

 

【1級】(統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害の障害の程度)

<1級相当の「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」>

●「精神の障害であつて、前各号と同程度以上と認められる程度のもの」すなわち、精神障害(統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害)の原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等を総合的にみて、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。

 →障害等級1級10号(国年令別表第1級10号、認定基準第3第1章第8節1、障害1号-9)

 例)高度の残遺状態又は高度の病状があるため高度の人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験が著明なため、常時の援助が必要なもの(第8節2A(1)、障害1号-9)。

 

【1級の目安】(等級ガイドライン表1参照)

・日常生活能力の程度:(4)以上

・日常生活能力の判定平均:3.0以上

 

【2級】(統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害の障害の程度)

<2級相当の「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」>

●「精神の障害であつて、前各号と同程度以上と認められる程度のもの」すなわち、精神障害(統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害)の原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等を総合的にみて、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの。

 →障害等級2級16号(国年令別表第2級16号、認定基準第3第1章第8節1、併合判定参考表障害4号-8)

 例)残遺状態又は病状があるため人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があるため、日常生活が著しい制限を受けるもの(第8節2A(1)、障害4号-8)。

 

【2級の目安】(等級ガイドライン表1参照)

・日常生活能力の程度:(3)以上

・日常生活能力の判定平均:2.0以上

 

【3級】(統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害の障害の程度)

※「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」については、3級13号及び障害手当金の認定はない(認定基準第3第1章第8節2A(1))。

 

<経過観察に付される3級相当の「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」>

●「傷病が治らないで、精神に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの」すなわち、精神障害(統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害)の原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等を総合的にみて、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの。

 →障害等級3級14号(厚年令別表第1第14号、認定基準第3第1章第8節1、障害8号-12)

 例)残遺状態又は病状があり、人格変化の程度は著しくないが、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があり、労働が制限を受けるもの(第8節2A(1)、障害8号-12)。

 

【3級の目安】(等級ガイドライン表1参照)

・日常生活能力の程度:(2)以上

・日常生活能力の判定平均:1.5以上

 

 

8-2:精神障害(気分(感情)障害)の障害状態要件

■精神障害(気分(感情)障害)の原因となった請求傷病(うつ病、躁うつ病等)による障害の状態が、障害認定時期に政令別表に定める障害の程度に該当するものであること(国年令別表、厚年令別表第1、同第2、認定基準第3第1章第8節1)。

 

【「気分(感情)障害」の等級判定方法(精神の障害(てんかんを除く。)共通)】

●「気分(感情)障害」の等級は、等級ガイドライン〔表1〕(障害等級の目安)を参考に、様々な要素を考慮し、認定医の専門的な判断に基づいて、総合的に判定(総合評価)される。

 

【「気分(感情)障害」の等級判定における総合評価の考慮要素(精神の障害(てんかんを除く。)共通)】

●精神の障害用の診断書の記載項目のうち「日常生活能力の程度」及び「日常生活能力の判定」については、等級の目安を得る際に考慮されるため、これら2項目以外のものについて、次の5つの分野に区分し、総合評価の際に各分野の様々な要素が考慮される。なお、診断書以外の資料も総合評価の判断資料となりうる。

※診断書の記載全てが考慮すべき要素となるわけではない。すなわち、記載事項全てが必ずしも等級判定に影響を与えるものではない。したがって、次に掲げる考慮すべき要素(総合評価の際に考慮することが妥当と考えられる要素)の例や等級判定の具体例は、あくまで一般的な例示に過ぎない。個別の事案に即して総合評価されるため、必ずしも具体例の通りの等級判定がなされるとは限らない。

 

1.現在の病状又は病態像(気分(感情)障害の場合)(第10欄ア・イ・カ等)

(1)気分(感情)障害とその他認定対象の精神疾患が複数併存している場合、併合(加重)認定は行われず、諸症状を総合的に判断して認定される。

(2)「ひきこもり」は、精神障害の病状の影響により継続して日常生活に制限が生じている場合に考慮される。

(3)「気分(感情)障害」の場合の考慮要素

 ⓵ 現在の症状

 ② 症状の経過(病相期間、頻度、発病時からの状況、最近1年程度の症状の変動状況等)

 ③ 日常生活活動等の状態

(4)身体所見(神経学的な所見を含む。)(第10欄オ)

(5)臨床検査(第10欄カ)

 ※「臨床検査」:心理テスト等。

(6)現症時の日常生活活動能力及び労働能力(第11欄)

 ・現症時の日常生活活動能力及び労働能力は、必ず考慮される。

(7)予後(第12欄)

 ・予後は、必須記載事項として考慮される(同欄朱書)。

 例1)不良:病状の進行の見通し。

 例2)不詳:予後が診断時に判断できない場合。

(8)備考(第13欄)

 ・なお、診断書第1欄(障害の原因となった傷病名)に神経症圏(ICD-10コードが「F4」)の傷病名)が記入されており、かつ「気分(感情)障害」の病態を示している場合、第13欄(備考)において、次の2つの事項が確認される(記入上の注意)。

 ①「気分(感情)障害」の病態を示している旨

 ②「気分(感情)障害」の病態のICD-10コード

 

2.療養状況(精神障害共通)

(1)通院の状況(頻度、治療内容等)

(2)薬物治療を行っている場合

 ⓵ 薬物治療の目的

 ② 薬物治療の内容(薬の種類、処方量、血中濃度、処方期間)

 ③ 服薬状況(自己管理能力、断薬の有無等)

(3) 通院や薬物治療が困難又は不可能な場合

 ⓵ 通院や薬物治療が困難又は不可能な理由

 ② 他の治療の有無及びその内容

(4)入院時の状況

 ⓵ 入院期間

 ② 院内での病状の経過

 ③ 入院の理由等

 <1級検討例>

  例)病棟内で本人の安全確保等のため常時個別の援助が継続して必要な状態である場合

(5)在宅での療養状況

 <1級又は2級検討例>

  例)在宅で家族や重度訪問介護等から常時援助を受けている場合

 

3.生活環境(精神の障害共通)

(1)独居の場合

 ⓵ 独居の理由

 ② 独居になった時期

 ③ 独居でも生活支援がある場合:その支援の状況

 <2級検討例>

  例)日常的に家族等の援助や福祉サービスを受けることによって生活できている場合

 ④ 独居だが生活支援がない場合:その支援の必要性

 <2級検討例>

  例)現に家族等の援助や福祉サービスを受けていないが、それらの支援が必要な状態である場合

(2)独居でない場合:単身で生活するとした場合に必要となる支援の状況

 ・入所施設やグループホーム、日常生活上の援助を行える家族との同居等、支援が常態化した環境下では日常生活が安定している場合でも、単身で生活すると仮定した場合に必要となる支援の状況が考慮される。

 

4.就労(作業)状況(精神の障害共通)

(1)「労働に従事」したからといって直ちに「日常生活能力が向上した」と判断されることはない。現に労働に従事している場合、「療養状況」に加え「仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等」も吟味される。

(2)援助や配慮が常態化した環境下では安定した就労ができている場合でも、その援助や配慮がないと仮定した場合に予想される状態が考慮される。

(3)相当程度の援助を受けて就労している場合

 <1級又は2級検討例>

  例1)「就労系障害福祉サービス(就労継続支援A型、就労継続支援B型)」を受けている場合

  例2)「障害者雇用制度」によって就労している場合

  例3)「就労移行支援」を受けている場合

 <2級検討例>

  例4)障害者雇用制度を利用しない一般企業や自営・家業等で就労している場合でも、就労系障害福祉サービスや障害者雇用制度における支援と「同程度」の援助を受けて就労している場合

(4)就労の影響により、就労以外の場面での日常生活能力が著しく低下していることが客観的に確認できる場合、「就労の場面」及び「就労以外の場面」の両方の状況が考慮される。

(5)一般企業(障害者雇用枠制度による就労を除く。)での就労の場合、月収の状況だけでなく、 就労の実態を総合的にみて、等級判定される。

(6)安定した就労ができている(1年を超える就労の継続ができている)場合でも、その間の就労の頻度や継続を支える援助や配慮の状況も踏まえ、就労の実態が不安定な場合、それが考慮される。

(7)発病後も継続雇用されている場合、従前の就労状況を参照しつつ、現在の仕事の内容や仕事場での援助の有無等の状況が考慮される。

(8)精神障害による出勤状況への影響(頻回の欠勤・早退・遅刻等)が考慮される。

(9)仕事場での臨機応変な対応や意思疎通に困難な状況が見られる場合、その状況が考慮される。

 

5.その他(気分(感情)障害の場合)

(1)「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」に齟齬がある(整合性が低く、参考となる目安がない)場合、必要に応じ診断書作成医に内容確認等がなされたうえで「日常生活能力の程度」及び「日常生活能力の判定」以外の診断書の記載内容から様々な要素が考慮される。

 ※「内容確認等」:医師照会等。

(2)日常生活能力の「判定平均」が低い場合でも、各障害の特性に応じて特定の項目に著しく偏りがあり、日常生活に大きな支障が生じていると考えられる場合、その状況が考慮される。

 

【1級】(「気分(感情)障害」の障害の程度)

<1級相当の「気分(感情)障害」>

●「精神の障害であつて、前各号と同程度以上と認められる程度のもの」すなわち、精神障害(気分(感情)障害)の原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等を総合的にみて、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。

 →障害等級1級10号(国年令別表第1級10号、認定基準第3第1章第8節1、併合判定参考表障害1号-9)

 例)高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、頻繁に繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの(第8節2A(1)、障害1号-9)。

 

【1級の目安】(等級ガイドライン表1参照)

・日常生活能力の程度:(4)以上

・日常生活能力の判定平均:3.0以上

 

【2級】(「気分(感情)障害」の障害の程度)

<2級相当の「気分(感情)障害」>

●「精神の障害であつて、前各号と同程度以上と認められる程度のもの」すなわち、精神障害(統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害)の原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等を総合的にみて、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの。

 →障害等級2級16号(国年令別表第2級16号、認定基準第3第1章第8節1、併合判定参考表障害4号-8)

 例)気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又は頻繁に繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの(第8節2A(1)、障害4号-8)。

 

【2級の目安】(等級ガイドライン表1参照)

・日常生活能力の程度:(3)以上

・日常生活能力の判定平均:2.0以上

 

【3級】(「気分(感情)障害」の障害の程度)

※「気分(感情)障害」については、3級13号及び障害手当金の認定はない(認定基準第3第1章第8節2A(1))。

 

<経過観察に付される3級相当の「気分(感情)障害」>

●「傷病が治らないで、精神に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」すなわち、精神障害(気分(感情)障害)の原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等を総合的にみて、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの。

 →障害等級3級14号(厚年令別表第1第14号、認定基準第3第1章第8節1、併合判定参考表障害8号-12)

 例)気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したり又は繰り返し、労働が制限を受けるものであって、治らないもの(第8節2A(1)、障害8号-12)。

 

【3級の目安】(等級ガイドライン表1参照)

・日常生活能力の程度:(2)以上

・日常生活能力の判定平均:1.5以上

 

 

8-3:精神障害(病状性を含む器質性精神障害)の障害状態要件

■精神障害(病状性を含む器質性精神障害)の原因となった請求傷病(頭部外傷等)による障害の状態が、障害認定時期に政令別表に定める障害の程度に該当するものであること(国年令別表、厚年令別表第1、同第2、認定基準第3第1章第8節1)。

 

※「症状性を含む器質性精神障害」:次の精神障害が含まれる。

(1)器質障害を原因として生じる精神障害

 例1)先天異常による精神障害

 例2)頭部外傷による精神障害

  例2-1)頭部外傷後遺症による認知障害等。

 例3)変性疾患による精神障害

  ※「変性疾患」:神経変性疾患(パーキンソン病、アルツハイマー病、脊髄小脳変性症、皮質基底核変性症等)。

 例4)新生物による精神障害

  例4-1)脳腫瘍による多様な神経症状又は精神症状。

 例5)中枢神経等の器質障害による精神障害

  例5-1)脳炎後遺症による精神障害

  例5-2)脳膜炎後遺症による精神障害

 例6)高次脳機能障害(脳損傷に起因する認知障害全般)

  例6-1)一酸化炭素中毒による失外套症候群(高次脳機能障害)

(2)膠原病や内分泌疾患を含む全身疾患による中枢神経障害等を原因として生じる病状性の精神障害

 例1)膠原病による中枢神経障害等による病状性の精神障害

 例2)内分泌疾患による中枢神経障害等による病状性の精神障害

 例3)その他全身疾患による中枢神経障害等による病状性の精神障害

(3)精神作用物質の使用による精神障害(アルコール、薬物等の精神作用物質の使用による精神及び行動障害)。

 ※「精神作用物質」:アルコール(酒、ビール等)、薬物等(医療目的のヘロイン、モルヒネ等)。

 例1)アルコール脳症による精神障害(認知障害、記憶障害等)

 ただし、精神病性障害を示さない急性中毒及び明らかな身体依存の見られないものは除かれる(認定対象外)。

 ※「精神病性障害を示さない急性中毒」:急性アルコール中毒等。

 ※「明らかな身体依存の見られないもの」:コカイン、合成麻薬(MDMA)、アンフェタミン類(メタンフェタミン等)、大麻(マリファナ、ハシッシ等)、有機溶剤類(トルエン、シンナー等)、ニコチン、セロトニン系・フェネチルアミン系化合物(麻薬や覚せい剤の類縁化合物)等。

 ※「身体依存」:薬物作用が消失すると、手のふるえや下痢等の離脱症状が発現する薬物依存の一つ。

 

【「病状性を含む器質性精神障害」の等級判定方法(精神の障害(てんかんを除く。)共通)】

●精神障害(病状性を含む器質性精神障害)の等級は、等級ガイドライン〔表1〕(障害等級の目安)を参考に、様々な要素を考慮し、認定医の専門的な判断に基づいて、総合的に判定(総合評価)される。

 

【「症状性を含む器質性精神障害」の等級判定における総合評価の考慮要素(特有の考慮要素)】

●症状性を含む器質性精神障害について総合評価を行う場合にあっては、「精神障害」「知的障害」「発達障害」の区分に捉われず、後述する各分野の考慮すべき要素のうち、該当又は類似するものを考慮して評価される。

 

【「病状性を含む器質性精神障害」の等級判定における総合評価の考慮要素(精神の障害(てんかんを除く。)共通)】

●精神の障害用の診断書の記載項目のうち「日常生活能力の程度」及び「日常生活能力の判定」については、等級の目安を得る際に考慮されるため、これら2項目以外のものについて、次の5つの分野に区分し、総合評価の際に各分野の様々な要素が考慮される。なお、診断書以外の資料も総合評価の判断資料となりうる。

※診断書の記載全てが考慮要素となるわけではない。すなわち、記載事項全てが必ずしも等級判定に影響を与えるものではない。したがって、次に掲げる考慮すべき要素(総合評価の際に考慮することが妥当と考えられる要素)の例や等級判定の具体例は、あくまで一般的な例示に過ぎない。個別の事案に即して総合評価されるため、必ずしも具体例の通りの等級判定がなされるとは限らない。

 

1.現在の病状又は病態像(病状性を含む器質性精神障害の場合)(第10欄ア・イ・カ 等)

(1)病状性を含む器質性精神障害とその他認定対象の精神疾患が複数併存している場合、併合(加重)認定は行われず、諸症状を総合的に判断して認定される(第8節2B(1))。

(2)「ひきこもり」は、精神障害の病状の影響により継続して日常生活に制限が生じている場合に考慮される。

(3)「統合失調症」に該当又は類似する場合の考慮要素

 ⓵ 療養及び症状の経過(発病時からの状況、最近1年程度の症状の変動状況)

 ② 妄想・幻覚などの異常体験の有無

 ③ 自閉・感情の平板化・意欲の減退などの陰性症状(残遺状態)の有無

 <1級又は2級検討例>

  例)陰性症状(残遺状態)が長期間持続し、自己管理能力や社会的役割遂行能力に著しい制限が認められる場合

(4)気分(感情)障害に該当又は類似する場合の考慮要素

 ⓵ 現在の症状

 ② 症状の経過(病相期間、頻度、発病時からの状況、最近1年程度の症状の変動状況等)

 ③ 日常生活活動等の状態

 <1級又は2級検討例>

  例)適切な治療を行っても症状が改善せず、重篤な躁や鬱の症状が長期間持続したり、頻繁に繰り返している場合

(4)身体所見(神経学的な所見を含む。)(第10欄オ)

 ・身体所見(神経学的な所見を含む。)すなわち、身体的機能の考慮は、認定医の努力義務とされているが(第8節2B(6)第1文)、当該考慮が漏れている場合、不服申立ての際には主張すべき事項となりうる。

(5)臨床検査(第10欄カ)

 ※「臨床検査」:心理テスト、認知検査等。

(6)福祉サービスの利用状況(第10欄キ)

 ※「福祉サービス」:障害者自立支援法に規定する自立訓練、共同生活援助、共同生活介護、在宅介護、その他障害福祉サービス等。

(7)現症時の日常生活活動能力及び労働能力(第11欄)

(8)予後(第12欄)

 ・予後は、必須記載事項として考慮される(同欄朱書)。

 例1)不良:病状の進行の見通し。

 例2)不詳:予後が診断時に判断できない場合。

 

2.療養状況(精神障害共通)

(1)通院の状況(頻度、治療内容等)

(2)薬物治療を行っている場合

 ⓵ 薬物治療の目的

 ② 薬物治療の内容(薬の種類、処方量、血中濃度、処方期間)

 ③ 服薬状況(自己管理能力、断薬の有無等)

(3) 通院や薬物治療が困難又は不可能な場合

 ⓵ 通院や薬物治療が困難又は不可能な理由

 ② 他の治療の有無及びその内容

(4)入院時の状況

 ⓵ 入院期間

 ② 院内での病状の経過

 ③ 入院の理由等

 <1級検討例>

  例)病棟内で本人の安全確保等のため常時個別の援助が継続して必要な状態である場合

(5)在宅での療養状況

 <1級又は2級検討例>

  例)在宅で家族や重度訪問介護等から常時援助を受けている場合

 

3.生活環境(精神の障害共通)

(1)独居の場合

 ⓵ 独居の理由

 ② 独居になった時期

 ③ 独居でも生活支援がある場合:その支援の状況

 <2級検討例>

  例)日常的に家族等の援助や福祉サービスを受けることによって生活できている場合

 ④ 独居だが生活支援がない場合:その支援の必要性

 <2級検討例>

  例)現に家族等の援助や福祉サービスを受けていないが、それらの支援が必要な状態である場合

(2)独居でない場合:単身で生活するとした場合に必要となる支援の状況

 ・入所施設やグループホーム、日常生活上の援助を行える家族との同居等、支援が常態化した環境下では日常生活が安定している場合でも、単身で生活すると仮定した場合に必要となる支援の状況が考慮される。

 

4.就労(作業)状況(精神の障害共通)

(1)「労働に従事」したからといって直ちに「日常生活能力が向上した」と判断されることはない。現に労働に従事している場合、「療養状況」に加え「仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等」も吟味される。

(2)援助や配慮が常態化した環境下では安定した就労ができている場合でも、その援助や配慮がないと仮定した場合に予想される状態が考慮される。

(3)相当程度の援助を受けて就労している場合、考慮される。

 <1級又は2級検討例>

  例1)「就労系障害福祉サービス(就労継続支援A型、就労継続支援B型)」を受けている場合

  例2)「障害者雇用制度」によって就労している場合

  例3)「就労移行支援」を受けている場合

 <2級検討例>

  例4)障害者雇用制度を利用しない一般企業や自営・家業等で就労している場合でも、就労系障害福祉サービスや障害者雇用制度における支援と「同程度」の援助を受けて就労している場合

(4)就労の影響により、就労以外の場面での日常生活能力が著しく低下していることが客観的に確認できる場合、「就労の場面」及び「就労以外の場面」の両方の状況が考慮される。

(5)一般企業(障害者雇用枠制度による就労を除く。)での就労の場合、月収の状況だけでなく、 就労の実態を総合的にみて、等級判定される。

(6)安定した就労ができている(1年を超える就労の継続ができている)場合でも、その間の就労の頻度や継続を支える援助や配慮の状況も踏まえ、就労の実態が不安定な場合、それが考慮される。

(7)発病後も継続雇用されている場合、従前の就労状況を参照しつつ、現在の仕事の内容や仕事場での援助の有無等の状況が考慮される。

(8)精神障害による出勤状況への影響(頻回の欠勤・早退・遅刻等)が考慮される。

(9)仕事場での臨機応変な対応や意思疎通に困難な状況が見られる場合、その状況が考慮される。

 

5.その他(病状性を含む器質性精神障害の場合)

(1)「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」に齟齬がある(整合性が低く、参考となる目安がない)場合、必要に応じ診断書作成医に内容確認等がなされたうえで「日常生活能力の程度」及び「日常生活能力の判定」以外の診断書の記載内容から様々な要素が考慮される。

 ※「内容確認等」:医師照会等。

(2)日常生活能力の「判定平均」が低い場合でも、各障害の特性に応じて特定の項目に著しく偏りがあり、日常生活に大きな支障が生じていると考えられる場合、その状況が考慮される。

(3)精神障害の「依存症」の場合、「精神病性障害を示さない急性中毒や明らかな身体依存の見られないもの」は認定対象外であり考慮する必要がないため、認定対象外か否かを確認するという点でまず考慮され、それ以外の状態のものが等級判定において考慮される。

 

【1級】(「病状性を含む器質性精神障害」の障害の程度)

<1級相当の「症状性を含む器質性精神障害」>

●「精神の障害であつて、前各号と同程度以上と認められる程度のもの」すなわち、精神障害(病状性を含む器質性精神障害)の原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等を総合的にみて、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。

 →障害等級1級10号(国年令別表第1級10号、認定基準第3第1章第8節1、併合判定参考表障害1号-9)

 例)高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため、常時の援助が必要なもの(第8節2B(2)、障害1号-9)。

 

【1級の目安】(等級ガイドライン表1参照)

・日常生活能力の程度:(4)以上

・日常生活能力の判定平均:3.0以上

 

【2級】(「病状性を含む器質性精神障害」の障害の程度)

<2級相当の「症状性を含む器質性精神障害」>

●「精神の障害であつて、前各号と同程度以上と認められる程度のもの」すなわち、精神の障害で日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限をを加えることを必要とする程度のもの。すなわち、精神障害(病状性を含む器質性精神障害)の原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等を総合的にみて、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの。

 →障害等級2級16号(国年令別表第2級16号、認定基準第3第1章第8節1、併合判定参考表4号-8)

 例)認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受けるもの(8節2B(2)、障害4号-8)。

 

【2級の目安】(等級ガイドライン表1参照)

・日常生活能力の程度:(3)以上

・日常生活能力の判定平均:2.0以上

 

【3級】(「病状性を含む器質性精神障害」の障害の程度)

※「病状性を含む器質性精神障害」については、3級13号、14号及び障害手当金の認定もありうる(認定基準第3第1章第8節2B(2))。

 

<3級相当の「症状性を含む器質性精神障害」>

●「精神に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」すなわち、知的障害の原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等を総合的にみて、労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの。

 →障害等級3級13号(厚年令別表第1第13号、認定基準第3第1章第8節1、併合判定参考表障害7号-9)

 例)認知障害のため、労働が著しい制限を受けるもの(第8節2B(2)、障害7号-9)。

 

<経過観察に付される3級相当の「症状性を含む器質性精神障害」>

●「傷病が治らないで、精神に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」すなわち、精神障害(症状性を含む器質性精神障害)の原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等を総合的にみて、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの(治らないもの)。

 →障害等級3級14号(厚年令別表第1第14号、認定基準第3第1章第8節1、併合判定参考表障害8号-12)

 例)認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、労働が制限を受けるものであって、治らないもの(第8節2B(2)、障害8号-12)。

 

【3級の目安】(等級ガイドライン表1参照)

・日常生活能力の程度:(2)以上

・日常生活能力の判定平均:1.5以上

 

【障害手当金】(「病状性を含む器質性精神障害」の障害の程度)

<障害手当金相当の「病状性を含む器質性精神障害」>

●「精神に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」すなわち、精神障害の原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等を総合的にみて、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの。

 →障害手当金第22号(厚年令別表第2第22号、認定基準第3第1章第8節1、併合判定参考表障害8号-12)

 例)認知障害のため、労働が制限を受けるもの(第8節2B(2)、障害8号-12)。

 

 

8-4:精神障害(てんかん)の障害状態要件

■精神障害の原因となった請求傷病(てんかん)による障害の状態が、障害認定時期に政令別表に定める障害の程度に該当するものであること(国年令別表、厚年令別表第1、同第2、認定基準第3第1章第8節1)。

 

【「てんかん」の等級判定方法】

●請求傷病が「てんかん」の場合、等級ガイドラインは適用されず、認定基準に従う。

てんかん発作が生じて精神神経症状及び認知障害が相俟って出現している期間と発作間欠期(発作のない期間)とでは日常生活能力に大きな差がある。したがって、等級ガイドラインを当て嵌めるのは不適切となる。そこで、認定基準で定めている、てんかん発作の重症度や頻度等を踏まえて等級判定が行われる。

 

【「てんかん」の等級判定における総合評価の考慮要素】(第8節2C(3)等)

1.現在の病状又は病態像(てんかんの場合)(第10欄ア・イ・カ等)

(1)「てんかん」とその他認定対象の精神疾患が複数併存している場合、併合(加重)認定は行われず、諸症状を総合的に判断して認定される(第8節2C(3)第3文)。

(2)てんかん発作の重症度

 ・意識障害の有無、生命の危険性の有無、社会生活での危険性の有無等が重視される。

(3)てんかん発作の頻度(年間 回、月平均 回、週平均 回 程度)

 ・発作回数は、過去2年間の状態あるいは、概ね今後2年間に予想される状態が重視される(記入上の注意)。

(4)社会的活動能力の損減

 ・「てんかん」は、発作と精神神経症状及び認知障害が相まって出現する場合がある(第8節2C(2)(注2))。そこで、発作間欠期の精神神経症状や認知障害の結果、日常生活動作がどの程度損なわれ、そのためにどのような社会的不利益を被っているか、すなわち「社会的活動能力の損減」が重視される(同節2C(3)第1文)。

  ※「精神神経症状」:抑うつ状態、躁うつ状態、幻覚妄想状態等、精神運動興奮状態及び昏迷の状態、統合失調症等残遺状態、意識障害が該当すると解する(第10欄アⅠ~Ⅵ・イ参照)。

  ※「認知障害」:認知症(同欄アⅦ・イ)。

 ・様々なタイプのてんかん発作が出現し、発作間欠期に精神神経症状や認知障害を有する場合、治療及び病状の経過、日常生活状況等によっては、更に上位等級に認定される場合がある(同前第2文)。

(5)予後(第12欄)

 ・予後は、必須記載事項として考慮される(同欄朱書)。

 例1)不良:病状の進行の見通し。

 例2)不詳:予後が診断時に判断できない場合。

 

<てんかん発作のタイプ>

A:意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作

B:意識障害の有無を問わず、転倒する発作

C:意識を失い、行為が途絶するが、倒れない発作

D:意識障害はないが、随意運動が失われる発作

 

抗てんかん薬の服用や外科的治療によって、てんかん発作が抑制されている場合、原則として認定対象外となる(第8節2C(4))。つまり、請求傷病を「てんかん」とする障害年金を受給することはできない。

 

2.日常生活状況(第10欄ウ)

(1)家庭及び社会生活についての具体的な状況(第10欄ウ1)

 ① 現在の生活環境(入院・入所・在宅・その他)

  ※「入院」又は「入所」の場合、施設名も考慮される。

  ※「その他」の場合、その具体的な生活環境(及び施設名)も考慮される。

 ② 全般的状況:家族及び家族以外の者との対人関係を含む具体的な状況。

(2)日常生活能力の判定(第10欄ウ2)

 ・判断に際し、単身で生活すると仮定した場合に可能かどうかで判断される。

 ① 適切な食事:配膳等の準備も含めて適当量をバランス良く摂ることがほぼできる等。

 ② 身辺の清潔保持:洗面、洗髪、入浴等の身体衛生保持や着替え等ができる。自室の清掃や片付けができる等。

 ③ 金銭管理と買い物:金銭を独力で適切に管理し、やりくりがほぼできる。一人で買い物が可能であり、計画的な買い物がほぼできる等。

 ④ 通院と服薬(要・不要):規則的に通院や服薬を行い、病状等を主治医に伝えることができる等。

 ⑤ 他人との意思伝達及び対人関係:他人の話を聞く、自分の意思を相手に伝える、集団的行動が行える等。

 ⑥ 身辺の安全保持及び危機対応:事故等の危険から身を守る能力がある、通常と異なる事態となった時に他人に援助を求める等を含めて、適正に対応することができる等。

 ⑦ 社会性:銀行での金銭の出し入れや公共施設等の利用がほぼ一人で可能。社会生活に必要な手続きが行える等。

 

3.日常生活能力の程度(第10欄ウ3)

・てんかん発作間欠期に精神神経症状や認知障害を有する場合、障害の状態を最も適切に記載できる(精神障害)又は(知的障害)について、該当するものが考慮される。

 

【1級】(「てんかん」の障害の程度)

<1級相当の「てんかん」>

●「精神の障害であつて、前各号と同程度以上と認められる程度のもの」すなわち、精神の障害で日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。すなわち、精神障害(てんかん)の原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等を総合的にみて、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。

 →障害等級1級10号(国年令別表第1級10号、認定基準第3第1章第8節1、併合判定参考表障害1号-9)

 例)十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが月に1回以上あり、かつ、常時の援助が必要のもの(第8節2C(2)、障害1号-9)。

 

<てんかん発作のタイプ>

A:意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作

B:意識障害の有無を問わず、転倒する発作

 

【2級】(「てんかん」の障害の程度)

<2級相当の「てんかん」>

●「精神の障害であつて、前各号と同程度以上と認められる程度のもの」すなわち、精神の障害で日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。すなわち、精神障害(てんかん)の原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等を総合的にみて、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの。

 →障害等級2級16号(国年令別表第2級16号、認定基準第3第1章第8節1、併合判定参考表障害4号-8)

 例1)十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが年に2回以上あり、かつ、日常生活が著しい制限を受けるもの(第8節2C(2)、障害4号-8)。

 例2)十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のC又はDが月に1回以上あり、かつ、日常生活が著しい制限を受けるもの(第8節2C(2)、障害4号-8)。

 

<てんかん発作のタイプ>

A:意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作

B:意識障害の有無を問わず、転倒する発作

C:意識を失い、行為が途絶するが、倒れない発作

D:意識障害はないが、随意運動が失われる発作

 

【3級】(「てんかん」の障害の程度)

※「てんかん」については、3級13号及び障害手当金の認定はない(認定基準第3第1章第8節2C(2))。

 

<経過観察に付される3級相当の「てんかん」>

●「傷病が治らないで、精神に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」すなわち、精神障害(てんかん)の原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等を総合的にみて、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの(治らないもの)。

 →障害等級3級14号(厚年令別表第1第14号、認定基準第3第1章第8節1、併合判定参考表障害8号-12)

 例1)十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが年に2回未満あり、かつ、労働が制限を受けるもの(治らないもの)(第8節2C(2)、障害8号-12)。

 例2)十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のC又はDが月に1回未満あり、かつ、労働が制限を受けるもの(治らないもの)(第8節2C(2)、障害8号-12)。

 

<てんかん発作のタイプ>

A:意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作

B:意識障害の有無を問わず、転倒する発作

C:意識を失い、行為が途絶するが、倒れない発作

D:意識障害はないが、随意運動が失われる発作

 

 

8-5:「知的障害」の障害状態要件

■知的障害(精神遅滞)の原因となった請求傷病(染色体異常等)による障害の状態が、障害認定時期に政令別表に定める障害の程度に該当するものであること(国年令別表、厚年令別表第1、同第2、認定基準第3第1章第8節1)。

 

【「知的障害」の等級判定方法(精神の障害(てんかんを除く。)共通)】

●「知的障害」の等級は、等級ガイドライン〔表1〕(障害等級の目安)を参考に、様々な要素を考慮し、認定医の専門的な判断に基づいて、総合的に判定(総合評価)される。

 

【「知的障害」の等級判定における総合評価の考慮要素(精神の障害(てんかんを除く。)共通)】

●精神の障害用の診断書の記載項目のうち「日常生活能力の程度」及び「日常生活能力の判定」については、等級の目安を得る際に考慮されるため、これら2項目以外のものについて、次の5つの分野に区分し、総合評価の際に各分野の様々な要素が考慮される。なお、診断書以外の資料も総合評価の判断資料となりうる。

※診断書の記載全てが考慮すべき要素となるわけではない。すなわち、記載事項全てが必ずしも等級判定に影響を与えるものではない。したがって、次に掲げる考慮すべき要素(総合評価の際に考慮することが妥当と考えられる要素)の例や等級判定の具体例は、あくまで一般的な例示に過ぎない。個別の事案に即して総合評価されるため、必ずしも具体例の通りの等級判定がなされるとは限らない。

 

1.現在の病状又は病態像(知的障害の場合)(第10欄ア・イ・カ等)

(1)知的障害とその他認定対象の精神疾患が複数併存している場合、併合(加重)認定は行われず、諸症状を総合的に判断して認定される(第8節2D(2))。

(2)「ひきこもり」は、精神障害の病状の影響により継続して日常生活に制限が生じている場合に考慮される。

(3)「不適応行動」を伴う場合、診断書の記載欄⑩(障害の状態)ア( 現在の病状又は状態像)において「Ⅶ 知能障害等」と合致する具体的記載がある場合、それが考慮される。

(4)身体所見(神経学的な所見を含む。)(第10欄オ)

(5)臨床検査(第10欄カ)

 ※「臨床検査」:心理テスト、認知検査等(知能指数又は精神年齢を含む)。

 ・知的障害の場合、「知能指数」と「検査日」は、必ず考慮される(記入上の注意)。

(6)現症時の日常生活活動能力及び労働能力(第11欄)

 ・現症時の日常生活活動能力及び労働能力は、必ず考慮される。

(7)予後(第12欄)

 ・予後は、必須記載事項として考慮される(同欄朱書)。

 例1)不良:病状の進行の見通し。

 例2)不詳:予後が診断時に判断できない場合。

 

2.療養状況(知的障害の場合)

・著しい不適応行動を伴う場合や精神疾患が併存している場合、その療養状況が考慮される。

(1)通院の状況(頻度、治療内容等)

(2)薬物治療を行っている場合

 ⓵ 薬物治療の目的

 ② 薬物治療の内容(薬の種類、処方量、血中濃度、処方期間)

 ③ 服薬状況(自己管理能力、断薬の有無等)

(3) 通院や薬物治療が困難又は不可能な場合

 ⓵ 通院や薬物治療が困難又は不可能な理由

 ② 他の治療の有無及びその内容

 

3.生活環境(精神の障害共通)

(1)独居の場合

 ⓵ 独居の理由

 ② 独居になった時期

 ③ 独居だが生活支援がある場合:その支援の状況

 <2級検討例>

  例)日常的に家族等の援助やを福祉サービスを受けることによって生活できている場合

 ④ 独居だが生活支援がない場合:その支援の必要性

 <2級検討例>

  例)現に家族等の援助や福祉サービスを受けていないが、それらの支援が必要な状態である場合

(2)独居でないが生活支援がある場合、その支援の状況が考慮される。

 ⓵ 在宅での援助の状況

 <1級又は2級検討例>

  例)在宅で、家族や重度訪問介護等から常時個別の援助を受けている場合

 ② 施設入所の有無、入所時の状況

 <1級検討例>

  例)入所施設において、常時個別の援助が必要である場合  

ただし、入所施設やグループホーム、日常生活上の援助を行える家族との同居等、支援が常態化した環境下では日常生活が安定している場合でも、単身で生活するとした場合に必要となる支援の状況を基準に考慮される。

 

4.就労(作業)状況(精神の障害共通)

(1)「労働に従事」したからといって直ちに「日常生活能力が向上した」と判断されることはない。現に労働に従事している場合、「療養状況」に加え「仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等」も吟味される。

(2)援助や配慮が常態化した環境下では安定した就労ができている場合でも、その援助や配慮がないと仮定した場合に予想される状態が考慮される。

(3)相当程度の援助を受けて就労している場合、それが考慮される。

 <1級又は2級検討例>

  例1)「就労系障害福祉サービス(就労継続支援A型、就労継続支援B型)」を受けている場合

  例2)「障害者雇用制度」によって就労している場合

  例3)「就労移行支援」を受けている場合

 <2級検討例>

  例4)障害者雇用制度を利用しない一般企業や自営・家業等で就労している場合でも、就労系障害福祉サービスや障害者雇用制度における支援と「同程度」の援助を受けて就労している場合

(4)就労の影響により、就労以外の場面での日常生活能力が著しく低下していることが客観的に確認できる場合、「就労の場面」及び「就労以外の場面」の両方の状況が考慮される。

(5)一般企業(障害者雇用枠制度による就労を除く。)での就労の場合、月収の状況だけでなく、 就労の実態を総合的にみて、等級判定される。

(6)仕事の内容が専ら単純かつ反復的な業務であれば、それが考慮される。

 <2級検討例>

  例)一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労を含む。)でも、仕事の内容が、保護的な環境下での専ら単純かつ反復的な業務である場合

(7)仕事場での意思疎通の状況が考慮されます。

 <2級検討例>

  例)一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労を含む。)でも、他の従業員との意思疎通が困難で、かつ、不適切な行動がみられること等により、常時の管理・指導が必要である場合

 

5.その他(知的障害の場合)

(1)「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」に齟齬がある(整合性が低く、参考となる目安がない)場合、必要に応じ診断書作成医に内容確認等がなされたうえで「日常生活能力の程度」及び「日常生活能力の判定」以外の診断書の記載内容から様々な要素が考慮される。

 ※「内容確認等」:医師照会等。

(2)日常生活能力の「判定平均」が低い場合でも、各障害の特性に応じて特定の項目に著しく偏りがあり、日常生活に大きな支障が生じていると考えられる場合、その状況が考慮される。

(3)発育・養育歴、教育歴等が考慮される。

 <2級検討例>

  例)特別支援教育又はそれに相当する支援の教育歴がある場合

(4)療育手帳の有無や区分が考慮される。

 <1級又は2級検討例>

  例)療育手帳の判定区分が中度以上(知能指数がおおむね50以下)の場合

 <2級検討例>

  例)療育手帳の判定区分が軽度だが不適応行動等により日常生活に著しい制限が認められる場合

(5)中高年になってから判明し請求する知的障害については、幼少期の状況が考慮される。

 <2級検討例>

  例)療育手帳がないが、幼少期から知的障害があることが、養護学校や特殊学級の在籍状況、通知表等から客観的に確認できる場合

 

【1級】(「知的障害」の障害の程度)

<1級相当の「知的障害」>

●「精神の障害であつて、前各号と同程度以上と認められる程度のもの」すなわち、精神の障害で日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。すなわち、知的障害の原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等を総合的にみて、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。

 →障害等級1級10号(国年令別表第1級10号、認定基準第3第1章第8節1、併合判定参考表障害1号-9)

 例)知的障害があり、食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が不可能か著しく困難なため、日常生活が困難で常時援助を必要とするもの(第8節2D(2)、障害1号-9)。

 

【1級の目安】(等級ガイドライン表1参照)

・日常生活能力の程度:(4)以上

・日常生活能力の判定平均:3.0以上

 

【2級】(「知的障害」の障害の程度)

<2級相当の「知的障害」>

●「精神の障害であつて、前各号と同程度以上と認められる程度のもの」すなわち、精神の障害で日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。すなわち、知的障害の原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等を総合的にみて、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。

 →障害等級2級16号(国年令別表第2級16号、認定基準第3第1章第8節1、併合判定参考表4号-7)

 例)知的障害があり、食事や身のまわりのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため、日常生活に際して援助が必要なもの(第8節2D(2)、障害4号-7)。

 

【2級の目安】(等級ガイドライン表1参照)

・日常生活能力の程度:(3)以上

・日常生活能力の判定平均:2.0以上

 

【3級】(「知的障害」の障害の程度)

※「知的障害」については、3級14号及び障害手当金の認定はない(認定基準第3第1章第8節2D(2))。

 

<3級相当の知的障害>

●「精神に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」すなわち、知的障害の原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等を総合的にみて、労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの。

 →障害等級3級13号(厚年令別表第1第13号、認定基準第3第1章第8節1、併合判定参考表障害7号-9)

 例)知的障害があり、労働が著しい制限を受けるもの(第8節2D(2)、障害7号-9)。

 

【3級の目安】(等級ガイドライン表1参照)

・日常生活能力の程度:(2)以上

・日常生活能力の判定平均:1.5以上

 

 

8-6:「発達障害」の障害状態要件

■発達障害の原因となった請求傷病(自閉症等)による障害の状態が、障害認定時期に政令別表に定める障害の程度に該当するものであること(国年令別表、厚年令別表第1、同第2、認定基準第3第1章第8節1)。

 

※「発達障害」:自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの(第8節2E(1))。

 

【「発達障害」の等級判定方法(精神の障害(てんかんを除く。)共通)】

・「発達障害」の等級は、等級ガイドライン〔表1〕(障害等級の目安)を参考に、様々な要素を考慮し、認定医の専門的な判断に基づいて、総合的に判定(総合評価)される。

 

【「発達障害」の等級判定における総合評価の考慮要素(精神の障害(てんかんを除く。)共通)】

●精神の障害用の診断書の記載項目のうち「日常生活能力の程度」及び「日常生活能力の判定」については、等級の目安を得る際に考慮されるため、これら2項目以外のものについて、次の5つの分野に区分し、総合評価の際に各分野の様々な要素が考慮される。なお、診断書以外の資料も総合評価の判断資料となりうる。

※診断書の記載全てが考慮すべき要素となるわけではない。すなわち、記載事項全てが必ずしも等級判定に影響を与えるものではない。したがって、次に掲げる考慮すべき要素(総合評価の際に考慮することが妥当と考えられる要素)の例や等級判定の具体例は、あくまで一般的な例示に過ぎない。個別の事案に即して総合評価されるため、必ずしも具体例の通りの等級判定がなされるとは限らない。

 

1.現在の病状又は病態像(発達障害の場合)(第10欄ア・イ・カ等)

(1)発達障害とその他認定の対象となる精神疾患が複数併存している場合、併合(加重)認定は行われず、諸症状を総合的に判断して認定される(第8節2E(2)後段)。

(2)「ひきこもり」は、精神障害の病状の影響により継続して日常生活に制限が生じている場合に考慮される。

(3)「不適応行動」を伴う場合、診断書の記載(第10欄ア)において「Ⅷ 発達障害関連症状」と合致する具体的記載がある場合、それが考慮される。

(4)臭気、光、音、気温などの感覚過敏があり、日常生活に制限が認められる場合、それが考慮される。

(5)身体的所見(神経学的な所見を含む。)(第10欄オ)

(6)臨床検査(第10欄カ)

 ※「臨床検査」:心理テスト、認知検査等(知能指数又は精神年齢を含む。)

 ・発達障害の場合、たとえ知能指数が高くても、日常生活能力が低い(特に対人関係や意思疎通を円滑に行うことができない)場合、それが考慮される(第8節2E(2)前段)。

(7)現症時の日常生活活動能力及び労働能力(第11欄)

 ・現症時の日常生活活動能力及び労働能力は、必ず考慮される。

(8)予後(第12欄)

 ・予後は、必須記載事項として考慮される(同欄朱書)。

 例1)不良:病状の進行の見通し。

 例2)不詳:予後が診断時に判断できない場合。

 

2.療養状況(発達障害の場合)

・著しい不適応行動を伴う場合や精神疾患が併存している場合、その療養状況が考慮される。

(1)通院の状況(頻度、治療内容等)

(2)薬物治療を行っている場合

 ⓵ 薬物治療の目的

 ② 薬物治療の内容(薬の種類、処方量、血中濃度、処方期間)

 ③ 服薬状況(自己管理能力、断薬の有無等)

(3) 通院や薬物治療が困難又は不可能な場合

 ⓵ 通院や薬物治療が困難又は不可能な理由

 ② 他の治療の有無及びその内容

 

3.生活環境(精神の障害共通)

(1)独居の場合

 ⓵ 独居の理由

 ② 独居になった時期

 ③ 独居だが生活支援がある場合:その支援の状況

 <2級検討例>

  例)日常的に家族等の援助やを福祉サービスを受けることによって生活できている場合

 ④ 独居だが生活支援がない場合:その支援の必要性

 <2級検討例>

  例)現に家族等の援助や福祉サービスを受けていないが、それらの支援が必要な状態である場合

(2)独居でないが生活支援がある場合、その支援の状況が考慮される。

 ⓵ 在宅での援助の状況

 <1級又は2級検討例>

  例)在宅で、家族や重度訪問介護等から常時個別の援助を受けている場合

 ② 施設入所の有無、入所時の状況

 <1級検討例>

  例)入所施設において、常時個別の援助が必要である場合

ただし、入所施設やグループホーム、日常生活上の援助を行える家族との同居等、支援が常態化した環境下では日常生活が安定している場合でも、単身で生活するとした場合に必要となる支援の状況を基準に考慮される。

 

4.就労(作業)状況(精神の障害共通)

(1)「労働に従事」したからといって直ちに「日常生活能力が向上した」と判断されることはない。現に労働に従事している場合、「療養状況」に加え「仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等」も吟味される。

(2)援助や配慮が常態化した環境下では安定した就労ができている場合でも、その援助や配慮がないと仮定した場合に予想される状態が考慮される。

(3)相当程度の援助を受けて就労している場合、それが考慮される。

 <1級又は2級検討例>

  例1)「就労系障害福祉サービス(就労継続支援A型、就労継続支援B型)」を受けている場合

  例2)「障害者雇用制度」によって就労している場合

  例3)「就労移行支援」を受けている場合

 <2級検討例>

  例4)障害者雇用制度を利用しない一般企業や自営・家業等で就労している場合でも、就労系障害福祉サービスや障害者雇用制度における支援と「同程度」の援助を受けて就労している場合

(4)就労の影響により、就労以外の場面での日常生活能力が著しく低下していることが客観的に確認できる場合、「就労の場面」及び「就労以外の場面」の両方の状況が考慮される。

(5)一般企業(障害者雇用枠制度による就労を除く。)での就労の場合、月収の状況だけでなく、 就労の実態を総合的にみて、等級判定される。

(6)仕事の内容が専ら単純かつ反復的な業務であれば、それが考慮される。

 <2級検討例>

  例)一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労を含む。)でも、仕事の内容が、保護的な環境下での専ら単純かつ反復的な業務である場合

(7)執着が強く、臨機応変な対応が困難である等により常時の管理・指導が必要な場合、それが考慮される。

 <2級検討例>

  例)一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労を含む。)でも、執着が強く、臨機応変な対応が困難であること等により、常時の管理・指導が必要である場合

(8)仕事場での意思疎通の状況が考慮される。

 <2級検討例>

  例)一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労を含む。)でも、他の従業員との意思疎通が困難で、かつ、不適切な行動がみられること等により、常時の管理・指導が必要である場合

 

5.その他(発達障害の場合)

(1)「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」に齟齬がある(整合性が低く、参考となる目安がない)場合、必要に応じ診断書作成医に内容確認等がなされたうえで「日常生活能力の程度」及び「日常生活能力の判定」以外の診断書の記載内容から様々な要素が考慮される。

 ※「内容確認等」:医師照会等。

(2)日常生活能力の「判定平均」が低い場合でも、各障害の特性に応じて特定の項目に著しく偏りがあり、日常生活に大きな支障が生じていると考えられる場合、その状況が考慮される。

(3)発育・養育歴、教育歴に加え、専門機関による発達支援、発達障害自立訓練等の支援が考慮される。

 2級検討例)特別支援教育又はそれに相当する支援の教育歴がある場合

(4)知的障害を伴う発達障害の場合、発達障害の症状も勘案して療育手帳が考慮される。

 <1級又は2級検討例>

  例)療育手帳の判定区分が中度より軽いが、発達障害の症状により日常生活に著しい制限が認められる場合

(5)知的障害を伴わない発達障害の場合、社会的行動や意思疎通能力の障害が顕著であれば、それが考慮される。

(6)青年期以降に判明した発達障害の場合、幼少期の状況、特別支援教育又はそれに相当する支援の教育歴が考慮される。

 

【1級】(「発達障害」の障害の程度)

<1級相当の「発達障害」>

●「精神の障害であつて、前各号と同程度以上と認められる程度のもの」すなわち、精神の障害で日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。すなわち、発達障害の原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等を総合的にみて、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。

 →障害等級1級10号(国年令別表第1級10号、認定基準第3第1章第8節1、併合判定参考表障害1号-9)

 例)発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの(第8節2E(4)、障害1号-9)。

 

【1級の目安】(等級ガイドライン表1参照)

・日常生活能力の程度:(4)以上

・日常生活能力の判定平均:3.0以上

 

【2級】(「発達障害」の障害の程度)

<2級相当の「発達障害」>

●「精神の障害であつて、前各号と同程度以上と認められる程度のもの」すなわち、精神の障害で日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。すなわち、発達障害の原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等を総合的にみて、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。

 →障害等級2級16号(国年令別表第2級16号、認定基準第3第1章第8節1、併合判定参考表障害4号-8)

 例)発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの(第8節2E(4)、障害4号-8)。

 

【2級の目安】(等級ガイドライン表1参照)

・日常生活能力の程度:(3)以上

・日常生活能力の判定平均:2.0以上

 

【3級】(「発達障害」の障害の程度)

※「発達障害」については、3級14号及び障害手当金の認定はない(認定基準第3第1章第8節2E(4))。

 

<3級相当の「発達障害」>

●「精神に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」すなわち、発達障害の原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等を総合的にみて、労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの。

 →障害等級3級13号(厚年令別表第1第13号、認定基準第3第1章第8節1、併合判定参考表障害7号-9)

 例)発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの(第8節2E(4)、障害7号-9)。

 

【3級の目安】(等級ガイドライン表1参照)

・日常生活能力の程度:(2)以上

・日常生活能力の判定平均:1.5以上