障害状態要件(音声・言語機能障害)

6.「音声・言語機能障害」の障害状態要件

※上記画像と本文の内容とは無関係です。

 

【注1】以下、根拠条文等について、次のように略記する場合があります。

・「節」は「障害認定基準」、「欄」は「診断書」を指すものとします。

 例1)「認定基準第3第1章第6節」→「第6節」

 例2)「音声・言語機能等の障害用の診断書(様式120号の2)第10欄」→「第10欄」

  ※音声・言語機能障害の場合、前記様式を用います。

  ※複数の障害が併存する重複障害で請求する場合、様式の異なる複数の診断書を用いる場合があります。

  →診断書の様式が異なる場合、同種の記載欄の番号が本頁記載のものとは異なる場合があります。

【注2】本頁の例示は、認定基準の例示及び公開情報から推察し構築したものも含む場合があります。

 ※「公開情報」:障害年金の認定に関する専門家会合の議事録等。

 

「音声・言語機能障害」の障害状態要件

■「音声・言語機能障害(①構音障害又は音声障害、②失語症又は③聴覚障害による障害)」の原因となった請求傷病による障害の状態が、障害認定時期に政令別表に定める障害の程度に該当すること(国年令別表、厚年令別表第1、同第2、認定基準第3第1章第6節1)。

 

※「請求傷病」:音声・言語機能障害の原因傷病。

 例1)喉頭腫瘍

 例2)喉頭摘出術後遺症

 例3)上下顎欠損

 例4)唇顎口蓋裂

 例5)脳血管障害(脳卒中、認知症等)

 例6)感音性難聴(による二次障害)

 例7)髄膜炎

 例8)メニエール病

 例9)小脳出血

 例10)小脳疾患

 例11)顔面神経麻痺

 例12)パーキンソン病

 例13)進行性球麻痺

 例14)喉頭筋麻痺

 例15)進行性筋ジストロフィー

 例16)筋委縮性側索硬化症

※「音声・言語機能障害」:音声又は言語機能障害。発音に関わる機能又は音声言語の理解と表出、すなわち「話す・聞く」に関わる機能の障害。症状や障害部位に応じ、次の3つに区分される(第6節2(1)柱書)。

 ①「構音障害又は音声障害」

 ②「失語症」

 ③「聴覚障害による障害」

※「発音」:喉頭レベル以上の構音器官(口唇、舌、下顎、口蓋等)における発音(構音)。

※「音声言語」:話し言葉。

※「理解」:意味把握。単語や文が理解できること(聴覚的理解)。

※「表出」:意味生成。単語や文が言えること。

※「構音障害又は音声障害」:障害発生原因の観点から、次の2つに分類できる(同(1)ア)。

 ① 器質性構音障害:歯、顎、口腔(舌、口唇、口蓋等)、咽頭、喉頭、気管等の発声器官の形態異常により、発音に関わる機能に障害が生じた状態のもの。

 ② 運動障害性構音障害:運動機能障害により、発音に関わる機能に障害が生じた状態のもの。

  原因疾患例)脳血管障害、顔面神経麻痺、パーキンソン病、小脳疾患、球麻痺等。 

※「失語症」:大脳の言語野の後天性脳損傷(脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷や脳炎等)により、一旦獲得された言語機能に障害が生じた状態のもの(同(1)イ)。

※「聴覚障害による障害」:先天的な聴覚障害により音声言語の表出(話す・聞く)ができないものや、中途の聴覚障害によって発音に障害が生じた状態のもの(聴覚性構音障害)(同(1)ウ)。いわば、聴覚障害を一次障害とする二次障害(音声又は言語機能障害)である。

 

<構音障害、音声障害又は聴覚障害による障害の評価要素>

1.発音不能な語音(4種の語音)

・発音不能な語音(4種の語音)が、評価の「参考」とされる(第6節2(5))。すなわち、4種の語音は、評価項目とされるものではない(語音数を等級に結び付けることはしない)。構音障害、音声障害又は聴覚障害による障害のいずれについても、「会話状態」(会話による意思疎通の程度)で評価される。その客観的な裏付けとして、発音不能な語音(4種の語音)が確認される。

 ※「4種の語音」:次の4種が確認される。

  ①「口唇音」:ま行音、ぱ行音、ば行音、わ行音、ふ。

  ②「歯音、歯茎音」:さ行音、た行音、ら行音等。

  ③「歯茎硬口蓋音」:しゃ、ちゃ、じゃ等。

  ④「軟口蓋音」:か行音、が行音等。

2.発音に関する検査結果(4種の語音及び他の発音)

・4種の語音及び他の発音についても確認される。すなわち、発音に関する検査を受けた場合、その結果も確認される。したがって、診断書に記載しきれない補足情報を含む或は簡潔に纏められた語音発語明瞭度検査等の結果を別添して請求することは、考慮要素として主張する有効な手段であるといえる。

 ※「発音に関する検査」:発音の状態を確認する検査。語音発語明瞭度検査等がある。

 

<失語症の評価要素>

1.失語症の障害の程度

・失語症の障害の程度が、評価の「参考」とされる(第6節2(6))。すなわち、失語症の障害の程度が評価項目とされるものではない。つまり、音声言語の表出(話す・聞く)及び理解の程度が確認される。

2.失語症に関する検査結果

・失語症に関する検査を受けた場合、その結果も確認される。したがって、診断書に記載しきれない補足情報を含む或は簡潔に纏められた標準失語症検査等の結果を別添して請求することは、考慮要素として主張する有効な手段であるといえる。

 ※「失語症に関する検査」:標準失語症検査(SLTA)、国立リハ版失語症選別検査等。

3.文字言語(読み書き)の障害を伴う場合

・失語症が、音声言語の障害の程度と比較して、文字言語(読み書き)の障害の程度が重い場合、その症状も勘案し、総合的に認定される(同(7))。すなわち、「話す・聞く」の障害は殆どなくても「読み書き」の障害が重い場合、その症状も勘案し、総合的に認定される。

 ※「失語症に関する検査」:標準失語症検査(SLTA)、WAB失語症検査、老研版失語症鑑別診断検査等。

 

<歯の障害のみの評価要素>

1.治療後の状態で評価される場合

・歯の障害のみの場合、補綴(ほてつ)等(義歯等)の治療を行った結果により、認定される(同(9))。

2.治療前の状態で評価される場合

・口蓋の欠損障害(歯以外にも跨る大きな欠損障害。必然的に歯の欠損障害を伴うもの。例えば、上顎の欠損等)で人工物を装着又は補助用具を使用している場合(顎義歯、エピテーゼ等の顎顔面補綴物)、長時間話すことができない、話としては理解できるが音の質が違う等の問題があるため、装着又は使用前(治療前)の状態で評価される(2014.11.10 障害年金の認定(言語機能の障害)に関する専門家会合(第4回)議事録参考)。

 

<併合認定の取扱い>

・音声又は言語機能の障害(特に構音障害)と咀嚼・嚥下機能の障害が併存する場合、併合認定による(同(10))。

・音声又は言語機能の障害(特に失語症)と肢体の障害又は精神の障害が併存する場合、併合認定による(同前)。

 

【2級】(音声又は言語機能の障害に係る障害の程度)

※音声又は言語機能の障害のみでは、1級認定はない(認定基準第3第1章第6節1)。重複障害(複数障害)の場合であれば、併合(加重)認定により併合1級が認定される場合がある。しかしながら、請求方法や書類整備の巧拙の影響が大きい。重複障害の障害状態要件を確認し、理解する必要があるためである。

 例1)重度のブローカ失語症(2級相当)+肢体の麻痺(2級相当)→併合1級。

 例2)重度のウェルニッケ失語症(2級相当)+精神の障害(2級相当)→併合1級。

 

<音声又は言語機能障害(重度)>

●「音声又は言語機能に著しい障害を有するもの」すなわち、①発音に関わる機能を喪失したもの、又は②話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方が殆どできないため、日常会話が誰とも成立しないもの。

 →障害等級2級5号(国年令別表第2級5号、認定基準第3第1章第6節1・2(2)、併合判定参考表障害2号-4)

 <音声機能喪失>

 例1)発音に関わる機能を喪失したもの(第6節2(2)、障害2号-4)。

  例1-1)喉頭全摘出手術の結果、発音に関わる機能を喪失したもの(第6節2(8)ア、障害2号-4)。

  ※喉頭全摘出手術をしたものは、手術後に食道発声法の習得や人工喉頭の使用によって代替音声を獲得した場合も含めて「発音に関わる機能を喪失したもの」(音声機能喪失)と認められ、2級認定される。

  ※「代替音声」:食道発声、電気式人工喉頭発声、シャント発声等。

  例1-2)喉頭は残っているが声帯が動かない状況で気管切開され、音声機能を喪失しているもの(専門家会合)。

 例2)話すこと「又は」聞いて理解することが殆どできないため、日常会話が誰とも成立しないもの(第6節2(2)、障害2号-4)。

 例3)話すこと「及び」聞いて理解することが殆どできないため、日常会話が誰とも成立しないもの(第6節2(2)、障害2号-4)。

 

【3級】(音声又は言語機能の障害に係る障害の程度)

<音声又は言語機能障害(中等度)>

●「言語の機能に相当程度の障害を残すもの」すなわち、話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方に多くの制限があるため、日常会話が、互いに内容を推論したり、尋ねたり、見当を付けること等で、部分的に成り立つもの。

 →障害等級3級3号(厚年令別表第1第3号、認定基準第3第1章第6節1・2(3)、併合判定参考表障害6号-2)

 <音声又は言語機能障害(3級相当)>

 例1)話すこと「又は」聞いて理解することに多くの制限があるため、日常会話が互いに内容を推論したり、尋ねたり、見当を付けること等で、部分的に成り立つもの(第6節1・2(3)、障害6号-2)。

 <音声又は言語機能障害(3級相当)>

 例2)話すこと「及び」聞いて理解することに多くの制限があるため、日常会話が互いに内容を推論したり、尋ねたり、見当を付けること等で、部分的に成り立つもの。(第6節1・2(3)、障害6号-2)。

 

【障害手当金】(音声又は言語機能の障害に係る障害の程度)

<音声又は言語機能障害(軽度)>

●「言語の機能に障害を残すもの」すなわち、話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方に一定の制限があるものの、日常会話が、互いに確認すること等で、ある程度成り立つもの。

 →障害手当金7号(厚年令別表第2第7号、認定基準第3第1章第6節1・2(4)、併合判定参考表障害10号-4)

 <発声又は聴解機能障害(障害手当金相当)>

 例1)話すこと「又は」聞いて理解することに一定の制限があるため、日常会話が互いに確認すること等で、ある程度成り立つもの(第6節2(4)、障害10号-4)。

 <発声及び聴解機能障害(障害手当金相当)>

 例2)話すこと「及び」聞いて理解することに一定の制限があるため、日常会話が互いに確認すること等で、ある程度成り立つもの(第6節2(4)、障害10号-4)。