障害状態要件(重複障害)

19.「重複障害」の障害状態要件

※上記画像と本文の内容とは無関係です。

 

【目次】

19-1:「重複障害」の障害状態要件

19-2:「併合判定参考表(障害番号区分早見表)」

19-3:「障害の併合」を求める裁定請求と権利処理

 

【注1】以下、根拠条文等について、次のように略記する場合があります。

・「節」は「障害認定基準」、「欄」は「診断書」を指すものとします。

 例1)「認定基準第3第1章第19節」→「第19節」又は「第1章第19節」(第2章と区別したい場合)等。

 例2)「血液・造血器その他の障害」の診断書(様式120号の7)第19欄→「第19欄」

 ※重複障害の場合、現症時の障害の状態を最も的確に表わすため、通常は様式の異なる複数の診断書を用います。

【注2】本頁の例示は、認定基準の例示及び公開情報から推察し構築したものも含む場合があります。

 ※「公開情報」:障害年金の認定に関する専門家会合の議事録等。

 

19-1:「重複障害」の障害状態要件

■「重複障害」の障害の状態が、障害認定時期に政令別表に定める障害の程度に該当するものであること(国年令別表、厚年令別表第1、認定基準第3第1章第19節1)。

 

※「重複障害」:2以上(複数)の障害がある(身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する)場合。

 

●同一人について、複数の障害がある場合の障害の程度の認定は、認定基準第3第1章「障害等級認定基準」に定めるところによるほか、第3第2章「併合等認定基準」に定めるところによる。ただし、第1章第10節~18節の内科的疾患が併存している場合及び第1章各節の認定要領に特に定められている場合、総合認定による(第2の3(2))。

 

●重複障害の障害の程度は、併合認定、加重認定又は総合認定(及び差引認定)により判定される。

・併合(加重)認定後、差引認定される場合がある。総合認定後も同様と解する。差引認定は請求人に極めて不利。

・併合認定には、制限(上限適用)を受けるものや、特例によるものがある(後述参照)。

 

併合(加重)認定

※「併合認定」:重複障害の等級認定方法の一つ。前発障害と後発障害のいずれか又は両方が2級未満の軽度障害のものを併合して等級認定する場合を指す。併合等級は3級~1級となり得る。

※「加重認定」:重複障害の等級認定方法の一つ。前発障害(2級以上該当)と後発障害(2級以上該当)を併合して等級認定する場合を指す。併合等級は常に1級となる。

 

■併合(加重)認定対象の各障害から構成される重複障害は、併合(加重)認定により等級が判定される。

 

<併合(加重)認定対象>

・併合(加重)認定対象となる障害の状態は、国年令別表、厚年令別表第1及び第2(以下「施行令別表」と略す場合がある。)又は併合判定参考表(第2章別表1)(以下「施行令別表等」と略す場合がある。)に明示されているもののほか、施行令別表等に明示されている程度に満たないものも含む場合がある(後述参照)。

 

<併合(加重)認定方法の概略>

・原則として、併合判定参考表(第2章別表1)から併合対象の障害番号を求め、当該障害番号を併合(加重)認定表(同章別表2。以下「認定表」と略す場合がある。)に照らして併合番号を求め(3以上の重複障害の場合、程度が軽いものから順次併合番号を求める作業を繰り返し)、最終的に得た併合番号に応じた併合等級が認定される。

認定表の併合番号 施行令別表の併合後の障害の程度
併合番号1号 国年令別表【1級】(併合1級)
併合番号2号 国年令別表【2級】(併合2級)
併合番号3号 国年令別表【2級】(併合2級)
併合番号4号 国年令別表【2級】(併合2級)
併合番号5号 厚年令別表第1【3級】(併合3級)
併合番号6号 厚年令別表第1【3級】(併合3級)
併合番号7号 厚年令別表第1【3級】(併合3級)
併合番号8号 厚年令別表第2【障害手当金】(併合障害手当金)(※1)
併合番号9号 厚年令別表第2【障害手当金】(併合障害手当金)(※1)
併合番号10号 厚年令別表第2【障害手当金】(併合障害手当金)(※1)
併合番号11号 厚年令別表不該当(不支給相当)
併合番号12号 厚年令別表不該当(不支給相当)

 ※1:認定表による併合結果で併合番号7号の場合、併合3級となるが、その等級で認定されるとは限らない。重複障害について3級14号(厚年令別表第1第14号)の認定も許容されているが(第1章19節1)、3級14号の障害の程度は、本来的には併合判定参考表及び認定表では障害手当金相当であり、「傷病が治ったもの」には障害手当金が支給され、「傷病が治らないもの」には暫定的に3級障害年金が支給され経過観察(翌年度の更新時に「傷病が治ったもの」と認められる場合、支給停止となる。)に付されるものである。そのため、同一部位に障害が併存する場合、認定表による併合結果が施行令別表に明示されているものとの均衡を失い易く、併合番号7号の結果に拘わらず、併合認定の特例(後述参照)により併合障害手当金となる場合がある。一方、併合番号7号の結果であっても、併合認定の特例が適用されない場合、併合3級14号の認定もあり得る。他方、併合番号8号の結果の場合、認定表の構成に照らせば、併合3級14号の認定はあり得ないと解する。

 ※「傷病が治ったもの」:器質的欠損や変形等の場合は、医学的に傷病が治ったとき、又はその症状が安定し、長期にわたってその疾病の固定性が認められ、医療効果が期待できない状態に至った場合。

 

併合認定の留意点

<繰上げ障壁の高さ>

●併合対象のうち最上位の等級を一つ繰り上げるための障壁は意外に高く、殆どは当該最上位の等級のまま認定されることになる(後述参照)。

 

<3級障害と2級障害で併合1級となる場合>

3級障害と2級障害で併合1級となるためには、3級障害が併合判定参考表の障害5号に該当している場合(3以上の重複障害の場合、最終併合の前段階で併合番号5号に該当し、残る併合対象が2級障害の場合を含む。)に限られる。障害5号以外の3級障害(障害6号~10号)と2級障害を併合しても、併合2級で頭打ちとなる。

・障害5号に該当する3級障害は、次の表の4区分(両眼視力障害、両耳聴覚障害)に限られる。

 

【併合判定参考表で障害5号に該当する3級障害】

障害番号区分 障害の状態
障害5号-1 両眼の視力がそれぞれ0.06以下のもの
障害5号-2 一眼の視力が 0.02以下に減じ、かつ、他眼の視力が0.1以下に減じたもの
障害5号-3 一両耳の平均純音聴力レベル値が80デシベル以上のもの
障害5号-4 両耳の平均純音聴力レベル値が50デシベル以上80デシベル未満で、かつ、最良語音明瞭度が30%以下のもの

 

<3級障害と3級障害で併合2級となる場合>

3級障害同士で併合2級となるためには、片方又は双方が併合判定参考表の障害5号又は6号に該当している場合(3以上の重複障害の場合、最終併合の前段階で片方又は双方が認定表の併合番号5号又は6号に該当している場合を含む。)に限られる。

・障害5号に該当する3級障害は、上記表の4区分(両眼視力障害、両耳聴覚障害)に限られる。

・障害6号に該当する3級障害は、下記表の9区分(両眼視力障害、咀嚼・言語機能障害、肢体の障害)に限られる。

 

【併合判定参考表で障害6号に該当する3級障害】

障害番号区分 障害の状態
障害6号-1 両眼の視力が0.1以下に減じたもの
障害6号-2 そしゃく又は言語の機能に相当程度の障害を残すもの
障害6号-3 脊柱の機能に著しい障害を残すもの
障害6号-4 一上肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの
障害6号-5 一下肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの
障害6号-6 両上肢のおや指を基部から欠き、有効長が0のもの
障害6号-7 一上肢の5指又はおや指及びひとさし指を併せ一上肢の4指を近位指節間関節(おや指にあっては指節間関節)以上で欠くもの
障害6号-8 一上肢のすべての指の用を廃したもの
障害6号-9 一上肢のおや指及びひとさし指を基部から欠き、有効長が0のもの

 

<併合(加重)認定表の結果が全てではない>

●併合対象の組合せによっては、施行令別表等により制限や調整を受け、認定表による結果通りとならない等級で認定される場合がある。

 →後述の「併合認定の特例」参照。

 

<差引認定の適用の有無>

●前発障害と同一部位に後発障害が生じている場合、差引認定により等級が繰り下がる場合が極めて多くなる。

 →後述の「差引認定」参照。

 

<手指の機能障害・欠損障害を含む重複障害について、併合2級とみなされる場合>

●次に掲げる障害をそれぞれ併合した場合及び次の障害と併合判定参考表の障害5号ないし障害7号の障害と併合した場合、認定表による結果に拘らず、併合して2級とみなされる(第2章別表2注3)。

 ① 両上肢のおや指の用を全く廃したもの

 ② 一上肢のおや指及び中指を基部から欠き、有効長が0のもの

 ③ 一上肢のおや指及びひとさし指又は中指の用を全く廃したもの

 

<手指の機能障害・欠損障害に係るその他障害を含む重複障害について>

※「その他障害」:2級未満の軽度の障害(不支給相当も含む)。

●併合判定参考表に明示されていない程度の後発障害であっても、等級の繰上げに寄与する場合がある。

 →後述の「併合認定の特例」例2)「一上肢の小指の用を廃したもの」参照。

 

併合(加重)認定が行われる場合
1.障害認定日において認定対象となる障害が複数ある場合(併合認定)

●障害認定日において認定対象となる障害が複数ある場合、原則として、併合認定される(第2章第1節(1))。

・一つの傷病による重複障害の初回認定の場面で行われる最も基本的な認定方法である。

 ※「障害認定日」:認定日請求の場合。事後重症請求の場合は「請求日」と読み替える。

 ※「請求日」:裁定請求書の受理日(65歳到達日前日までの受付日)。

 ※「例外」:咀嚼機能障害と嚥下機能障害とは、併合認定されない(第1章第4節2(10))。

 ※「認定対象となる障害が複数ある場合」:次のような場合があるが、これらに限られない。

 

<眼の障害同士が併存する重複障害>

 例1)視力障害、視野障害、まぶたの欠損障害、調節機能障害、輻湊機能障害、まぶたの運動障害、眼球の運動障害又は瞳孔の障害が併存する場合(第1章第1節2(4))。

 

<糖尿病による代謝障害と複数の糖尿病性合併症による障害との重複障害>

 例2)厚生年金保険の加入中に初診日がある糖尿病による代謝障害の程度が障害認定日において等級非該当(3級未満)であったものが、その後代謝障害のみで3級相当に至るとともに、糖尿病性網膜症で両眼がそれぞれ0.06以下となり、糖尿病性腎症で人工透析療法も実施するに至ったため、65歳到達日前日までに事後重症請求を行った場合。

 重複障害を構成する各障害を併合判定参考表(第2章別表1)から発生順で整理すると、次の表が得られる。  

<原因疾患>
障害部位
障害の状態 併合判定参考表
(障害番号区分)
<糖尿病>
(一次障害)
代謝障害
身体の機能に労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの(例えば、糖尿病について、検査日より前に90日以上継続して必要なインスリン治療を行ってもなお血糖のコントロールが困難なものであって、一定の要件を満たすもの) 障害10号-15
<糖尿病性網膜症>
(二次障害1)
両眼の視力障害
両眼の視力がそれぞれ0.06以下のもの 障害5号-1
<糖尿病性腎症>
(二次障害2)
腎臓の機能障害
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの(例えば、人工透析療法施行中のもの) 障害4号-7

・糖尿病による障害の程度は、合併症の有無及びその程度等を十分考慮して、総合的に認定される(第1章第15節2(3))。すなわち、糖尿病による障害とその合併症による障害との間では、総合認定により等級が判定される。

・しかしながら、糖尿病性合併症による障害同士では、併合認定される場合がある。本例示の場合、認定基準では別個の認定要領が適用される糖尿病性網膜症による視力障害と糖尿病性腎症による腎機能障害とは、併合認定される(同節2(2)(6))。

・よって、上記表の障害5号と障害4号を認定表(第2章別表2)に当て嵌めて併合番号1号が得られる結果、併合1級11号と認定される。

・なお、各障害の初診日は、糖尿病の初診日に紐付けられた相当因果関係が認められるため、いずれも同日となる。つまり、各障害の原因疾患は元を辿れば同一傷病(糖尿病)として捉えることができるため、基準傷病以外の傷病(前発傷病)と基準傷病とは別傷病であることを前提とする「初めて2級」には該当しない。換言すれば、糖尿病の初診日が立証できないからといって、糖尿病及びその合併症による障害について初めて2級請求をすることはできない。

 

 <聴覚障害と平衡機能障害が併存する重複障害>

 例3)聴覚の障害(内耳の傷病による障害)+平衡機能障害(第1章第2節2(8))

 <音声・言語機能障害を含む重複障害>

 例4)音声・言語機能障害(構音障害)+咀嚼・嚥下機能障害(同章第6節2(10))

 例5)音声・言語機能障害(失語症)+肢体の障害(同前)

 例6)音声・言語機能障害(失語症)+精神の障害(同前)

 <呼吸器機能障害と外部障害が併存する重複障害>

 例7)加療による胸郭変形+肩関節の運動障害(同章第10節2(6))

 

2.初めて2級に該当する場合(併合認定)

●初めて2級による年金の支給事由が生じた場合、併合認定が行われる(第2章第1節(2))。

 前発障害(2級未満のもの(過去2級以上であったものを除く。)に限る。初診日要件及び保険料納付要件は問わない。複数の場合、その全てのもの。)及び基準障害を併せて、初めて2級以上に該当するに至った場合、併合認定により、当該障害を併合した程度の障害基礎年金又は障害厚生年金が支給される。

 つまり、初めて2級に該当する場合の併合認定は、初めて2級請求に対する等級認定の場面で行われるものであり、併合前2級未満の前発障害(過去2級以上であったものを除く。)の全てと基準障害(後発障害)を併せて、初めて併合後2級以上の受給権を得るものである。

 なお、前発障害と基準障害の区分は、初診日で判断される。また、納付要件等は、基準障害で確認される。

 ※「初めて2級による年金」:基準傷病以外の傷病(初診日が基準傷病の初診日以前にある前発傷病)により障害の状態にあるものが、基準傷病に係る障害認定日以後65歳到達日前日までの間において、初めて、基準傷病による障害(基準障害)と基準傷病以外の傷病(複数の場合、全ての前発傷病)による障害(前発障害)とを併合して2級以上に該当するに至った場合に支給される障害基礎年金及び障害厚生年金(認定基準第1の7、国年法30条の3、厚年法47条の3)。支給される年金額の観点で換言すれば、初めて2級請求による①2級以上の障害基礎年金、②2級以上の障害厚生年金、又は③2級以上の障害基礎年金及び障害厚生年金が支給されるものである。

※「基準傷病」:前発傷病による障害(前発障害)と、新たに発した傷病(初診日が前発傷病の初診日以後にあるものに限る。)による障害(基準障害)を併合して、初めて、2級以上に該当する至った場合における当該傷病(認定基準第1の7(2))。簡単に言えば、初めて2級請求における後発傷病のことである。前発傷病と後発傷病が同日に発生し、初診日が同日となることもあり得るため、当該新たに発した傷病(基準傷病)の初診日は、前発傷病の初診日「以後」にあるものに限られる。前発傷病と基準傷病が別傷病でそれぞれの障害が別部位となる場合のほか、前発傷病と基準傷病が同一傷病でそれぞれの障害が同一部位であっても、初めて2級請求によるものであれば、併合等級の認定場面で差引認定の適用を受けることはない(第2章第1節3)。

 

 例1)右手のおや指及びひとさし指を合わせ一上肢の4指の用を廃し、両眼の視力が0.1になった場合。

 重複障害を構成する各障害を併合判定参考表から発生順で整理すると、次の表が得られる。

障害部位 障害の状態 併合判定参考表
(障害番号区分)
<前発障害>
右手指の機能障害
右手のおや指及びひとさし指を併せ一上肢の4指の用を廃したもの 障害7号-5
<基準障害>
両眼の視力障害
両眼の視力が0.1以下に減じたもの 障害6号-1

・認定表に照らし、上記表の障害6号(3級相当)と障害7号(3級相当)で併合番号4号(2級相当)を求め、併合2級が認定される(第2章第2節1「2つの障害が併存する場合」)。

 

3.2級以上の受給権者に対し、更に2級以上の支給事由が生じた場合(加重認定)

●障害基礎年金受給権者及び障害厚生年金受給権者(障害等級が1級又は2級の場合に限る。)に対し、更に障害基礎年金又は障害厚生年金(障害等級が1級又は2級の場合に限る。)を支給すべき事由が生じた場合、加重認定が行われる(第2章第1節(3))。加重認定の結果は、差引認定がされない限り、併合後の障害等級は1級となる。

 

 例1)左下肢を大腿部から切断し、両眼の視力が0.1になり、右上肢のひとさし指、なか指及び小指を近位指節間関節より切断し、更に、左上肢のおや指を指節間関節より切断した場合。

 重複障害を構成する各障害を併合判定参考表から重度順で整理すると、次の表が得られる。

障害部位 障害の状態 併合判定参考表
(障害番号区分)
左下肢の欠損障害 一下肢を足関節以上で欠くもの 障害4号-6
両眼の視力障害 両眼の視力が0.1以下に減じたもの 障害6号-1
右手指の欠損障害 ひとさし指を併せ一上肢の3指を近位指節間関節以上で欠くもの 障害7号-4
左手指の欠損障害 一上肢のおや指を指節間関節以上で欠くもの 障害9号-8

・認定表に照らし、上記表の最下位(4位)の障害9号とその直近位(3位)の障害7号で併合番号7号(3級相当)を求め、これと残る直近位(2位)の障害6号で併合番号4号(2級相当)を求め、更にこれと残る最上位(1位)の障害4号で併合番号1号(1級相当)を求め、併合1級と認定される(第2章第2節2「3つ以上の障害が併存する場合」)。尚、本例示の障害部位は、全て相互に別部位の関係にある。

 

4.併合結果の調整を要する場合(併合認定の特例)

●同一部位に複数の障害が併存する場合や、認定表による併合結果が国年令別表、厚年令別表第1又は厚年令別表第2(以下「施行令別表」と略す。)に明示されているものと均衡を失する場合、明示されている等級を上限とし(併合認定の制限。第2章第1節(4))、併合対象が施行令別表又は併合判定参考表(以下「施行令別表等」と略す。)に明示されている場合、施行令別表等による併合認定が行われ(同章第2節3(1))、また、認定表による併合結果が施行令別表に明示されているものと均衡を失する場合、明示されているものとの均衡を失うことのないよう併合認定が行われる(同前(2))。

 即ち、通常は認定表の結果通りに併合認定されるのだが、場合によっては認定表の結果に拘わらず、施行令別表に明示されているものの等級を用いたり、施行令別表等に明示されているものとの均衡を失わないような調整をした併合認定が行われることがある。つまり、最終結果が認定表の結果より良くなる場合もあれば、悪くなる場合もある。

 

併合認定の特例

併合認定の特例が適用される場合には、次の2つがある。

 

1.併合後の障害の状態の程度が、施行令別表等に明示されている場合(第2章第2節2(1))

●併合後の障害の状態の程度が、施行令別表等に明示されている場合、認定表による併合結果に拘わらず、施行令別表等による、即ち、施行令別表等に明示された記載例の等級を用いた併合認定が行われる(同前)。

 ※「施行令別表等」:国年令別表、厚年令別表第1、厚年令別表第2又は併合判定参考表。

 

 例1)左下肢の5趾を失った後、更に右下肢の5趾を失った場合。

 重複障害を構成する各障害を併合判定参考表から発生順で整理すると、次の表が得られる。

障害部位 障害の状態 併合判定参考表
(障害番号区分)
<前発障害>
左足趾の欠損障害
一下肢のすべての指を欠くもの(一下肢の5趾を中足趾節関節以上で欠くもの) 障害8号-11
<後発障害>
右足趾の欠損障害
一下肢のすべての指を欠くもの(一下肢の5趾を中足趾節関節以上で欠くもの) 障害8号-11

・認定表に照らし、上記表の障害8号同士を当て嵌めると、併合番号7号(併合3級)となるはずである。

・しかしながら、当該併合状態は、国年令別表で「両下肢のすべての指を欠くもの」(2級11号)と明示されている。

・よって、国年令別表に従い、併合2級が認定される(第2章第2節3(1)認定例1)。

 

 例2)右上肢のおや指及びひとさし指と、左上肢の小指以外の4指の用を廃したものに、更に右上肢のおや指及びひとさし指以外の3指と、左上肢の小指の用を廃した場合(結果として両上肢のすべての指の用を廃した場合)。

 重複障害を構成する各障害を併合判定参考表から発生順で整理すると、次の表が得られる。

障害部位 障害の状態 併合判定参考表
(障害番号区分)
<前発障害1>
右手指の機能障害
一上肢のおや指及びひとさし指の用を廃したもの 障害8号-9
<前発障害2>
左手指の機能障害
おや指及びひとさし指を併せ一上肢の4指の用を廃したもの 障害7号-5
<後発障害1>
右手指の機能障害
おや指及びひとさし指以外の一上肢の3指の用を廃したもの 障害10号-13
<後発障害2>
左手指の機能障害
一上肢の小指の用を廃したもの 該当なし

・認定表に照らし、上記表の前発障害1(障害8号)と前発障害2(障害7号)から併合番号7号(併合3級)となるものに対し、更に、上記表の後発障害1(障害10号)と後発障害2(併合判定参考表に明示されている程度に満たない障害)が加わった場合、併合判定参考表の2級障害3号-3の「両上肢のすべての指の用を廃したもの」に該当する。

 この場合、認定表による併合結果に拘わらず、併合2級15号と認定される(第2章第2節3(1)認定例2)。

・なお、本例示の場合、先発障害1と後発障害1とは右上肢に係る同一部位の重複障害となり、また、先発障害2と後発障害2とは左上肢として同一部位の重複障害となる。このため、差引認定の可能性を検討する必要がある。

 しかしながら、前発障害1及び2で併合3級に該当するものに対し、後発障害1及び2を加えて「初めて2級」に該当する。よって、差引認定は適用されない(第2章第3節3)。

 

2.認定表の結果が、施行令別表に明示されているものとの均衡を失する場合(第2章第2節3(2))

●同一部位に併存する重複障害について、認定表による併合結果が、施行令別表に明示されているものとの均衡を失する場合、当該明示されているものとの均衡を失うことのないよう調整して併合認定される(同前)。

 ※「施行令別表」:国年令別表、厚年令別表第1又は厚年令別表第2。

 

 例1)左手関節が用を廃し、左肘関節に著しい障害が併存する場合。

 重複障害を構成する各障害を併合判定参考表から重度順で整理すると、次の表が得られる。

障害部位 障害の状態 併合判定参考表
(障害番号区分)
左手関節の機能障害 一上肢の3大関節のうち、1関節の用を廃したもの 障害8号-3
左肘関節の機能障害 一上肢の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害を残すもの 障害10号-5

・認定表に照らし、上記表の障害8号と障害10号で併合番号7号(3級相当)となる。

・しかしながら、本例示の併合した障害の状態は、厚年令別表第1の3級5号において、一上肢の3級機能障害の程度の下限を示す「一上肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの」と明示されている程度まで至るものではない。即ち、併合判定参考表でいう障害8号以上同士が併存することが原則として要求される。

・本例示では障害8号と障害10号の併合であるから、当該原則との均衡調整に服するため、障害8号と障害9号の併合でない限り、認定表による併合結果に拘わらず、併合番号8号(障害手当金相当)で頭打ちとされ、併合障害手当金が認定される(第2章第2節3(3)認定例1)。

 

 例2)左足関節が強直し、左下肢が4センチメートル短縮している場合。

 重複障害を構成する各障害を併合判定参考表から重度順で整理すると、次の表が得られる。

障害部位 障害の状態 併合判定参考表
(障害番号区分)
左足関節の機能障害 一下肢の3大関節のうち、1関節の用を廃したもの 障害8号-4
左下肢の短縮障害 一下肢を3センチメートル以上短縮したもの 障害10号-7

・認定表に照らし、上記表の障害8号と障害10号で併合番号7号(3級相当)となる。

・しかしながら、本例示の障害の状態は、厚年令別表第1の3級6号において、一下肢の3級機能障害の程度の下限を示す「一下肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの」と明示されている程度まで至るものではない。即ち、併合判定参考表の障害8号以上同士の併存が原則として要求される。

・本例示では障害8号と障害10号の併合であるから、当該原則との均衡調整に服するため、障害8号と障害9号の併合でない限り、認定表の結果に拘わらず、併合番号8号(障害手当金相当)で頭打ちとされ、併合障害手当金が認定される(第2章第2節3(3)認定例2)。

 

総合認定

重複障害について総合認定が適用される場合
1.内科的疾患が併存している場合(第2章第1節2前段)

 ※「内科的疾患が併存している場合」:第1章第10節~第18節に掲げられている内科的疾患が併存している場合(認定基準第2の3(2)但書)を指す。具体的には、心血管疾患、呼吸器疾患、糖尿病、腎疾患、肝疾患、癌、難病その他の疾患等が併存している場合である。内臓疾患による内部障害が複数ある場合、即ち、内部障害同士の重複障害は、総合認定により併合等級を判定する趣旨と解する。

 

 例1)糖尿病+糖尿病性腎症

 例2)腎疾患+肝疾患

 例3)肺結核+合併症(他の結核又は他の疾病)(第1章第10節2(4))

 

2.認定要領(第1章各節2)において特に定められている場合(第2章第1節2後段)

 例1)脊柱運動機能障害+神経機能障害(第1章第7節第3の2(2)オ) 

 例2)脳の器質障害同士(神経障害+精神障害)(同章第9節2(2))

 例3)糖尿病による代謝障害+糖尿病性合併症による障害(同章第15節2(3))

  なお、所定の糖尿病性合併症同士では、併合認定が行われる(同節2(6)~(9))。

 例4)癌性・医原性全身衰弱+癌性・医原性機能障害(第1章第16節2(7))

 

差引認定

 差引認定とは、異なる時期に身体の同一部位に複数の障害が生じた場合、現在の障害の程度(複数の障害が混在した状態)から前発障害の程度を差し引くことにより、後発障害の程度(障害等級)を認定する方法である。

 障害年金制度は、障害の発生ごとに障害等級を認定し、受給権が発生する仕組みである。異なる時期に複数の障害が発生した場合、各々の障害の受給権の有無が確認され、各々の障害の程度(等級)が認定される。

 例えば、前発障害(耳の障害)に後発障害(眼の障害)が加わった場合、耳と眼の障害について、各々の受給権の有無が確認され、各々の障害の程度(等級)が認定される。

 しかしながら、身体の同一部位に複数の障害が発生し、混在している状態の場合、前発障害と後発障害の程度を医学的に切り分けることは一般には困難な状況となる。だからといって前発障害と後発障害の程度を切り分けて評価しないとすると、前発障害(障害認定対象外とすべきもの)の程度を混在させたまま後発障害の程度を評価することになる。例えば、初診日要件や保険料納付要件を満たしていない(本来であれば受給対象とならない)前発障害の程度を含めた等級認定がなされる虞がある。また、前発障害と後発障害の加入制度が異なる場合、例えば、前発障害は国年加入、後発障害は厚年加入の場合、厚年独自給付の3級障害厚生年金や障害手当金は後発障害のみについて認定すべき場合となるが、前発障害の程度の影響を受け易い下位の等級ほど後発障害の程度を適切に認定することが困難となる。

 そこで、異なる時期に身体(眼・耳・肢体)の同一部位に複数の障害が生じ、前発障害と後発障害の程度を医学的に切り分けることが一般に困難な場合であっても、後発障害の程度(等級)を適切に認定するため、現在の障害の程度(複数の障害が混在した状態)から前発障害の程度を差し引くことにより、後発障害の程度(障害等級)を認定する手法として、差引認定を適用することとした。 

 なお、同一部位に複数の障害が併存する場合の併合(加重)認定は、併合(加重)認定表を準用して行われる(第2章別表4注2)。すなわち、同一部位に複数の障害が併存する場合において、複数の障害を個々の障害ごとに単独等級を認定する(分離評価する)場合がある一方、複数の障害を併合評価する手法(総合認定や併合(加重)認定)も併用して併合等級を認定する場合(分離評価と併合評価の組合せ)もあることを意味する。後者のうち併合(加重)認定を行う場合、併合(加重)認定表を用いて併合等級を認定するのである。

 問題は、同一部位に複数の障害が併存する場合に差引認定を適用することの全てが適切な等級認定に繋がるとは限らないということである。というのは、差引認定は、現在の障害の程度から等級認定対象外となるべき前発障害を差し引くものであるが、この前発障害(差引対象)の範囲に曖昧なところがある。にもかかわらず、障害部位が同一である場合は一律、差引認定の対象となってしまうのである。なので、差引認定後の支給年金の障害等級が、現在の障害の状態に相当する等級よりも低い等級になる場合があった。国会で指摘されるに至って漸く障害認定基準が改正され、平成29年9月1日現在の障害認定基準においては、指摘された問題に関する限り、結果の妥当性は得られるようになったと考えられる。 

 

差引認定が適用される場合

●前発障害と同一部位に後発障害が加わった場合、差引認定が適用される(第2章第1節3)。

※「前発障害」:障害認定の対象とならない障害(同前(1))。障害認定対象外の既発障害。

 ※「障害認定対象とならない障害」:次のようなものがある。

 例1)前発障害が保険料納付要件等の受給要件を満たしておらず、障害年金を受給していないもの。

 例2)前発障害と後発障害の加入制度が異なる場合(前発障害は国年加入、後発障害は厚年加入の場合)。

 例3)前発障害について障害手当金を受給済の場合。

※「後発障害」:新たな障害(同前(1))。

※「同一部位」:次の(1)又は(2)のいずれかに該当するもの(同(2))。

(1)障害箇所(上肢又は下肢については、それぞれ1側)が同一の場合。

 ※「障害箇所」:障害のある箇所。障害箇所と病変箇所(病変部位)とは必ずしも一致しない。

  →病変部位が異なっても、障害箇所が同一である限り、差引認定の対象となりうる。

  →機能障害の場合、障害箇所が同一にされてしまう懸念がある。

 ※「それぞれ1側」:障害箇所が左右で異なる場合、別部位として取り扱われる。逆に、側が共通する限り、同一部位として取り扱われる。すなわち、同側内で切り離し評価はされない。

 例1)右手指の欠損障害と右肘の関節機能障害(右上肢として同一部位)。

 例2)脳性麻痺による両下肢麻痺と脊髄損傷による両下肢麻痺(両下肢として同一部位)。

 例3)脳梗塞による右半身の不全麻痺と脳出血による四肢麻痺(右上下肢として同一部位)。

 ※「障害箇所が同一」:身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が同一。

(2)相対性器官(眼又は耳)については、両側をもって同一の場合(障害箇所が左右で異なっても同一とされる)。

 例4)事故1による左眼失明(左視神経損傷)と事故2による右眼視力障害(相対性器官として同一部位)。

 例5)左特発性難聴と右進行性感音性難聴(相対性器官として同一部位)。

 

差引認定が適用されない場合

●「初めて2級による年金」に該当する場合、差引認定は適用されない(第2章第4節3)。すなわち、前発障害(他の障害)と後発障害(基準障害)については、障害部位の異同を問わず、差引認定は適用されない。

※「初めて2級による年金」:既に基準傷病以外の傷病により障害の状態にあるものが、基準傷病に係る障害認定日以後65歳到達日の前日までの間において、初めて、基準障害と他の障害とを併合して障害等級が1級又は2級に該当する程度の障害の状態に至った場合に支給される障害基礎年金及び障害厚生年金(認定基準第1の7(3))。

※「基準傷病」:既に発している傷病による障害と、新たに発した傷病(既に発している傷病の初診日以後に初診日のある傷病に限る。)による障害を併合して、初めて、障害等級が1級又は2級に該当する程度の障害の程度に至った場合における新たに発した当該傷病(同(1))。

 

●身体の同一部位に複数の障害が生じた場合であっても、前発障害と後発障害の程度を医学的に切り分けることができるため後発障害の程度が判断できる場合(現在の状態は前発障害の有無に関わらず全て後発障害によって生じたものと医学的に判断できる場合等)、差引認定は適用されない(平成29年6月9日「差引認定基準の見直しに関する専門家ヒアリング」資料2参照)。

 

差引認定の具体的方法1/差引残存率による場合

●原則として、差引残存率に応じて、後発障害の程度(等級)が認定される(第2章第4節1)。

※「差引残存率」(C)=「現在の障害の活動能力減退率」(A)-「前発障害の活動能力減退率」(B)。

※「現在の障害の活動能力減退率」(A):前発障害と後発障害が混在した現在の状態(障害部位が重複している部分があり、医学的に切り分けることが困難な状態)の活動能力減退率。併合判定参考表(第2章別表1)から現在の障害の状態が該当する障害番号区分を求め、当該番号区分を別表3(第2章別表3「現在の活動能力減退率及び前発障害の活動能力減退率」表。以下【活動能力減退率表】と略す。)に当て嵌めて求めたもの。

※「前発障害の活動能力減退率」(B):前発障害の状態の活動能力減退率。併合判定参考表から前発障害が該当する障害番号区分を求め、当該障害番号区分を【活動能力減退率表】に当て嵌めて求めたもの。

※「差引残存率に応じて」:差引残存率を【差引結果認定表】(後述参照。第2章別表4より作成。)に当て嵌めて後発障害の程度(等級)を求める差引認定の具体的方法の一つであることを示す。差引残存率が用いられるということは、併合判定参考表において後発障害の状態が該当する障害番号区分が得られないため、「後発障害の活動能力減退率」(D)が下記【活動能力減退率表】から得られなかったことを意味する。

 

【活動能力減退率表】(平成29年9月1日現在。従前と変更点なし。第2章別表3より作成。)

併合判定参考表(別表1)
【障害番号(区分)】
現在の障害又は後発障害の
活動能力減退率(A又はD)
前発障害の
活動能力減退率(B)
【障害1号-(1~9)】 134% 95%
【障害1号-(10~13)】 119% 95%
【障害2号-(全区分:1~6)】 105% 84%
【障害3号-(全区分:1~6)】 92% 74%
【障害4号-(全区分:1~8)】 79% 63%
【障害5号-(全区分:1~4)】 73% 44%
【障害6号-(全区分:1~9)】 67% 40%
【障害7号-(全区分:1~9)】 56% 34%
【障害8号-(全区分:1~12)】 45% 18%
【障害9号-(全区分:1~14)】 35% 14%
【障害10号-(全区分:1~16)】 27% 11%
【障害11号-(全区分:1~8)】 20% 8%
【障害12号-(全区分:1~11)】 14% 6%
【障害13号-(全区分:1~12)】 9% 4%

※「現在の障害又は後発障害の活動能力減退率」は、原典(第2章別表3)で表記されている「現在の活動能力減退率」と同等のものとして解釈し用いている。現在の障害、前発障害あるいは後発障害であれ、本来的には、併合番号参考表の障害番号に対応する活動減退率は同じ数値(%)で評価されるべきにも見えるが、そうすると差引認定の結果が請求人にとって極めて不利になるため、前発障害(差引対象)については、現在の障害や後発障害に比べて活動能力減退率は低目の(請求人にとって有利な)数値が設定されている。障害の程度の評価は、複数障害で加味する場面では加算的評価がされる(全部ないし部分的に加算される)のに対し、複数障害から差引く場面では、減算評価される(減算対象の全部が減算される)、すなわち、等級は上がりにくく下がりやすい仕組みが採用されている。

 

【差引結果認定表】(平成29年9月1日現在。第2章別表4より作成)

差引残存率(C=D)又は
後発障害の活動能力減退率(C<D)
差引認定後の後発障害の程度
100%以上 国年令別表【1級9号又は11号】
99%~70% 国年令別表【2級15号又は17号】
69%~42%(治ったもの) 厚年令別表第1【3級12号】
69%~24%(治らないもの) 厚年令別表第1【3級14号】
41%~24%(治ったもの) 厚年令別表第2【障害手当金21号】

※「差引残存率又は後発障害の活動能力減退率」は、原典(第2章別表3)で表記されている「差引残存率」と同義のものとして解釈し用いている。

※「治ったもの」:次の①又は②に至ったもの(治癒)。

 ①器質的欠損若しくは変形又は機能障害を残している場合で、医学的に傷病が治ったとき(医学的な治癒)。

 ②症状が安定し、長期にわたってその疾病の固定性が認められ、医療効果が期待し得ない状態(症状固定)。

※「治らないもの」:医学的な治癒にも症状固定にも至っていないもの。 

※従前(平成29年9月1日前)の認定基準では、差引認定後の支給年金(差引認定後の前発年金と後発年金が「併合」や「支給の選択」になった結果、実際に支給される年金)の障害等級が、現在の障害の状態に相当する等級よりも低い等級になるという不合理な結果となる場合があったが、昭和61年以降も見直されず、国会の指摘を受けるに至った。

 そこで、平成29年9月1日以降、かかる不合理な結果を防止する2つの見直しが行われた。すなわち、差引結果認定表(第2章別表4)の差引残存率を下げる(差引認定後の後発障害の程度を現在の障害の程度の範囲内で従前よりも重く評価する方向で見直す。)ことに加え、一定の場合、すなわち、併合判定参考表に掲げる障害の状態の該当番号(障害番号)に対応する現在の障害の状態(程度)に比べて前発障害の状態(程度)が軽度であるものについては、現在の障害の程度に占める後発障害の影響が大きいものと評価し、後発障害の程度(等級)を現在の障害の程度と同じ等級に一致させる認定(後発障害の程度の評価の底上げ調整)を行うこととした。

 

<差引認定の具体的方法1の適用例1(両眼視力障害:外傷による左眼失明+糖尿病性網膜症による両眼視力低下)>

 例1-1)外傷による左眼失明後、糖尿病性網膜症による視力低下が加わった場合(前後の障害は、相対性器官の眼の障害として同一部位に生じているため、差引認定が適用される。)

 併合判定参考表(別表1)と前記【活動能力減退率表】から現在の障害に混在する各障害の障害番号区分及び活動能力減退率を整理すると、下記表【検討表1-1】が得られる。

【検討表1-1】 

検討対象 障害の状態(程度) 併合判定参考表
(障害番号区分)
活動能力
減退率
現在の障害
(A)
【外傷による左眼の視力障害と糖尿病による両眼の視力障害が混在した状態】両眼の視力障害(両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの) 障害2号-1 105%
前発障害
(B)
【外傷による左眼の視力障害(左眼失明)】一眼が失明したもの(一眼の視力が0.02以下に減じたもの) 障害8号-1 18%
後発障害
(C=D)
【糖尿病性網膜症による視力障害】「現在の障害の程度」-「前発障害の程度」=「後発障害の程度」(=差引残存率) 別表1に(D)
の状態の明示なし
87%
(C)

・A(105%)-B(18%)=C(87%)=D(87%)

・前発障害と後発障害の発生に相当因果関係はない(別傷病である)と判断することができる。

・後発障害の状態(程度)は、併合判定参考表(別表1)に明示がない。

・したがって、後発障害(D)の程度は、差引残存率(C:87%)を【差引結果認定表】に当て嵌めて求めるという具体的方法1が適用される。これにより、後発障害の程度(等級)は、差引残存率に応じて2級15号(国年令別表15号)に該当する(別表4)。

・また、併合判定参考表(別表1)によれば、現在の障害の状態は障害2号、前発障害の状態は障害8号に該当するため、後発障害の下限の等級は2級となるが(別表4注1参照表)、具体的方法1による結果(2級)と一致するため(別表4)、後記【等級下限調整表】による差引認定の具体的方法3の適用はない。

・よって、当該具体的方法1に従い、後発障害の等級は、2級15号(国年令別表15号)が単独認定される(別表4)。

 

<差引認定の具体的方法1の適用例2(両眼視力障害:左眼視力障害と右眼視力障害)>

 例1-2)交通事故1による左視神経損傷(左眼失明)後(年金受給はなく)、交通事故2により右眼の視力低下が加わった場合(左眼の前発障害と右眼の後発障害は、相対性器官の眼の障害として同一部位に生じているため、差引認定が適用される。)

 併合判定参考表(別表1)と前記【活動能力減退率表】から現在の障害に混在する各障害の障害番号区分及び活動能力減退率を整理すると、下記表【検討表1-2】が得られる。

【検討表1-2】

検討対象 障害の状態(程度) 併合判定参考表
(障害番号区分)
活動能力
減退率
現在の障害
(A)
【両眼の視力・視野障害】身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの 障害4号-7 79%
前発障害
(B)
【外傷1による左視神経損傷(左眼失明)】一眼が失明したもの(一眼の視力が0.02以下に減じたもの) 障害8号-1 18%
後発障害
(C=D)
【外傷2による右眼視力障害】「現在の障害の程度」-「前発障害の程度」=「後発障害の程度」(=差引残存率) 別表1に(D)
の状態の明示なし
61%
(C)

・A(79%)-B(18%)=C(61%)=D(61%)

・前発障害と後発障害の発生に相当因果関係はない(別傷病である)と判断することができる。

・後発障害の状態(程度)は併合判定参考表(別表1)に明示がない。

・したがって、後発障害(D)の程度は、差引残存率(C:61%)を【差引結果認定表】に当て嵌めて求めるという具体的方法1が適用される。これにより、後発障害の程度(等級)は、差引残存率に応じて3級12号又は14号(厚年令別表第1第12号又は第14号)に該当する(別表4)。なお、両眼の視力障害は、差引認定が適用されない場合、3級障害は3級1号(厚年令別表第1第1号)でのみ認定されるが、差引認定が適用される場合、3級12号又は14号(厚年令別表第1第12号又は第14号)で認定されることがある(最終的な等級認定はこれと異なる場合がある)。

・しかしながら、併合判定参考表(別表1)において、現在の障害の状態が障害4号、前発障害の状態が障害8号に該当する場合、後発障害の下限の等級は2級であるため(別表4注1参照表)、後記【等級下限調整表】による差引認定の具体的方法3が適用される。すなわち、3級(別表4)から2級(別表4注1参照表)へ底上げ調整される。

・よって、後発障害の等級は、2級15号が単独認定される(別表4注1参照表)。

 

<差引認定の具体的方法1の適用例3(両耳聴覚障害:左突発性難聴と右進行性音性難聴)>

 例1-3)左特発性難聴による聴覚障害で障害手当金を受給済みの者に、右進行性感音性難聴が加わった場合(左耳の前発障害と右耳の後発障害は、相対性器官の耳の障害として同一部位に生じているため、差引認定が適用される。)

 併合判定参考表(別表1)と前記【活動能力減退率表】から現在の障害に混在する各障害の障害番号区分及び活動能力減退率を整理すると、下記表【検討表1-3】が得られる。

【検討表1-3】

検討対象 障害の状態(程度) 併合判定参考表
(障害番号区分)
活動能力
減退率
現在の障害
(A)
【両耳聴覚障害】両耳の平均純音聴力レベル値が70デシベル以上のもの 障害7号-1 56%
前発障害
(B)
【左特発性難聴による聴覚障害】一耳の平均純音聴力レベル値が90デシベル以上のもの 障害9号-5 14%
後発障害
(C=D)
【右進行性感音性難聴による聴覚障害(治らないもの)】「現在の障害の程度」-「前発障害の程度」=「後発障害の程度」(=差引残存率) 別表1に(D)
の状態の明示なし
42%
(C)

・A(56%)-B(14%)=C(42%)=D(42%)

・本例示の場合、前発障害と後発障害の発生に相当因果関係はない(別傷病である)ものとして取り扱われると解する。仮に左耳と右耳の障害の原因傷病が同一だとすれば、事後重症による額改定の適否を問う場面(本例示の場合、前発障害(障害9号)について障害手当金を受給済みであるから、一時金である障害手当金から3級への額改定は有り得ない。)であって、差引認定の適用が問われる場面ではない。相対性器官である耳について原因傷病の同一性の判断をなすことは困難であろうから、相当因果関係の有無の判断は回避されるものと考えられる。

・後発障害(D)の状態(程度)は、併合判定参考表(別表1)に明示がない。

・したがって、後発障害(D)の程度は、差引残存率(C:42%)を【差引結果認定表】に当て嵌めて求めるという具体的方法1が適用される(別表4)。

・本例示の場合、後発傷病は「治っていない(悪化の可能性あり)」と判断することができるから、後発障害(治らないもの)の程度(等級)は、差引残存率に応じて3級14号(厚年令別表第1第14号)に該当する(別表4)。

・また、併合判定参考表(別表1)によれば、現在の障害の状態は障害7号、前発障害の状態は障害9号に該当するため、後発障害の下限の等級は3級となるが(別表4注1参照表)、差引認定の具体的方法1による結果に一致する等級であるから(別表4)、後記【等級下限調整表】による差引認定の具体的方法3の適用はなく、当該具体的方法1による結果に従うことになる。

・よって、後発障害の等級は、3級14号(厚年令別表第1第14号)が単独認定される(別表4)。

 

<差引認定の具体的方法1の適用例4(四肢高度障害:脳梗塞による右片麻痺+脳出血による四肢麻痺)>

 例1-4)脳梗塞による右半身の不全麻痺について障害厚生年金2級の受給権者に、脳出血による四肢麻痺が加わった場合(前後の障害は、右上下肢の障害として重なる部分が同一部位のため、差引認定が適用される)。

 併合判定参考表(別表1)と前記【活動能力減退率表】から現在の障害に混在する各障害の障害番号区分及び活動能力減退率を整理すると、下記表【検討表1-4】が得られる。

【検討表1-4】

検討対象 障害の状態(程度) 併合判定参考表
(障害番号区分)
活動能力
減退率
現在の障害
(A)
【四肢高度障害】四肢の機能に相当程度の障害を残すもの(身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの) 障害1号-8 134%
前発障害
(B)
【脳梗塞による右片麻痺】両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの(身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの) 障害4号-7 63%
後発障害
(C>D)
【脳出血による四肢麻痺】四肢に機能障害を残すもの(身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの) 障害4号-7
(C)
71%
(C)

・A(134%)-B(63%)=C(71%)>D(63%)

・前発障害と後発障害の発生に相当因果関係はない(別傷病である)と判断することができる。

・併合判定参考表(別表1)によれば、後発障害の状態は障害4号-7に明示されているが、当該明示されている後発障害の活動能力減退率(D:63%)は、差引認定の具体的方法1による差引残存率(C:71%)よりも小さい。したがって、後述する差引認定の具体的方法2の適用はない。

・併合判定参考表(別表1)によれば、現在の障害の状態は障害1号に該当し、また、前発障害の状態は障害4号に該当する(障害6号以下でない)。したがって、後記【等級維持調整表】による差引認定の具体的方法3の適用はない。

・よって、後発障害の程度(等級)は、差引残存率(C:71%)を【差引結果認定表】に当て嵌めるという具体的方法1が適用される結果、差引残存率に応じて2級15号(国年令別表2級15号)が単独認定される。これにより、前発2級の障害厚生年金と後発2級の障害厚生年金の受給権が併存することになるが、いずれを支給選択しても、その等級は維持されることになる。

 

差引認定の具体的方法2/後発障害の活動能力減退率による場合

●後発障害の状態が、併合判定参考表(第2章別表1)に明示されており、かつ、後発障害の活動能力減退率(D)が差引残存率(C)より大きい場合、当該明示されている後発障害の活動能力減退率(D)により、後発障害の程度(等級)が認定される(第2章第4節2、前記【活動能力減退率表】及び【差引結果認定表】参照)。

 

<差引認定の具体的方法2の適用例1(右上肢5指欠損:2指欠損+3指欠損)>

 例2-1)厚生年金保険加入前、右手の親指の指節間関節及び小指の近位指節間関節(PIP)より切断していた者が、厚生年金保険加入後、事故により右手の人差指、中指及び薬指を近位指節間関節(PIP)より切断した場合(前後の障害は、右上肢の障害として同一部位に生じているため、差引認定が適用される)。

 併合判定参考表(第2章別表1)と【活動能力減退率表】から現在の障害に混在する各障害の障害番号区分及び活動能力減退率を整理すると、下記表【検討表2-1】が得られる。

【検討表2-1】

検討対象 障害の状態(程度) 併合判定参考表
(障害番号区分)
活動能力
減退率
現在の障害
(A)
【右全指IP・PIP欠損障害】一上肢の5指を近位指節間関節(おや指にあっては指節間関節)以上で欠くもの 障害6号-7 67%
前発障害
(B)
【右母指及び小指IP・PIP欠損障害】一上肢のおや指を指節間関節欠き、かつ、ひとさし指以外の1指を近位指節間関節以上で欠くもの 障害8号-8 18%
後発障害
(C<D)
【右示指、中指及び環指PIP欠損障害】ひとさし指を併せ一上肢の3指を近位指節間関節以上で欠くもの 障害7号-4
(D)
56%
(D)

・A(67%)-B(18%)=C(49%)<D(56%)

・前発障害と後発障害の発生に相当因果関係はない(別傷病である)と判断することができる。

・併合判定参考表(別表1)によれば、現在の障害の状態は障害6号に該当し、また、前発障害の状態は障害8号に該当するため、一見すると後述【等級維持調整表】による差引認定の具体的方法3の適用があるようにみえる。しかしながら、現在の障害の程度は障害6号であるのに対し後発障害の程度は障害7号であって、いずれも3級相当である(現在の障害と後発障害の等級は一致している)ため、当該具体的方法3が適用されることはない。

・差引認定の具体的方法1によれば、差引残存率(C:49%)を【差引結果認定表】に当て嵌めるので、後発障害の程度は(手指の欠損障害なので、いずれ創面が治癒し症状固定(治ったもの)として)3級12号相当となる。しかしながら、後発障害の状態は併合判定参考表(別表1)の障害7号-4に明示されており、かつ、当該明示されている状態(程度)に相当する後発障害の活動能力減退率(D:56%)は差引残存率(C:49%)よりも大きい。したがって、差引認定は、後発障害の活動能力減退率(D:56%)を【差引結果認定表】当て嵌めるという具体的方法2が採用される。よって、後発障害の程度(等級)は、3級8号(厚年令別表第1第8号)が単独認定される(第2章第4節認定例1)。

 

<差引認定の具体的方法2の適用例2(両下肢機能全廃:先天性脳性麻痺+事故による脊髄損傷)>

 例2-2)先天性の脳性麻痺により、両下肢に機能障害がある者(20歳前傷病による障害基礎年金2級の受給権者)が、厚生加入中に事故で脊髄損傷し両下肢の機能を完全に廃した場合(前後の障害は、両下肢の障害として同一部位のため、差引認定が適用される)。

 併合判定参考表(別表1)と前記【活動能力減退率表】から現在の障害に混在する各障害の障害番号区分及び活動能力減退率を整理すると、下記表【検討表2-2】が得られる。

【検討表2-2】

検討対象 障害の状態(程度) 併合判定参考表
(障害番号区分)
活動能力
減退率
現在の障害
(A)
【両下肢機能全廃】両下肢の機能に著しい障害を有するもの(両下肢の用を全く廃したもの) 障害1号-6 134%
前発障害
(B)
【先天性の脳性麻痺による両下肢の機能障害】両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの(身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの) 障害4号-7 63%
後発障害
(C<D)
【事故による脊髄損傷】両下肢の機能に著しい障害を有するもの(両下肢の用を全く廃したもの) 障害1号-6
(D)
134%
(D)

・A(134%)-B(63%)=C(71%)<D(134%)

・前発障害と後発障害の発生に相当因果関係はない(別傷病である)と判断することができる。

・併合判定参考表(別表1)によれば、現在の障害の状態は障害1号に該当し、また、前発障害の状態は障害4号に該当する(障害6号以下でない)ため、後記【等級維持調整表】による差引認定の具体的方法3は適用されない。

・差引認定の具体的方法1によれば、差引残存率(C:71%)を【差引結果認定表】に当て嵌めるので、後発障害の程度は2級15号相当となる。しかしながら、後発障害の状態は前発障害の影響を受けることなく生じたものであると判断でき、その状態は併合判定参考表(別表1)の障害1号-6に明示されており、かつ、後発障害の活動能力減退率(D:134%)は差引残存率(C:71%)よりも大きい。したがって、差引認定は、後発障害の活動能力減退率(D:134%)を【差引結果認定表】当て嵌めるという具体的方法2が採用される。よって、後発障害の程度(等級)は、1級6号(国年令別表1級6号)が単独認定される(第2章第4節認定例2)。

 

差引認定の具体的方法3/後発障害の程度が調整される場合

●【差引結果認定表】による後発障害の程度が、次の表【等級下限調整表】の第1欄及び第2欄の区分に応じた、第3欄に掲げる後発障害の程度と異なる場合、後発障害の程度は第3欄に掲げる等級で認定される(第2章別表4注1)。

 

【等級下限調整表】(2017年9月1日現在。第2章別表4注1参照表より作成。)

第1欄
(現在の障害の状態)
併合判定参考表【障害番号】
第2欄
(前発障害の状態)
併合判定参考表【障害番号】
第3欄
(後発障害の程度)
施行令別表【等級区分】
1級相当【障害1号】 【障害6号~13号】 国年令別表【1級9号又は11号】
2級相当【障害2号~4号】 【障害7号~13号】 国年令別表【2級15号又は17号】
3級相当【障害5号~7号】 【障害8号~13号】 厚年令別表第1【3級12号】

 従前(平成29年9月1日前)の認定基準では、差引認定後の支給年金(差引認定後の前発年金と後発年金が「併合」や「支給の選択」になった結果、実際に支給される年金)の障害等級が、現在の障害の状態に相当する等級よりも低い等級になるという不合理な結果となる場合があったが、昭和61年以降も見直されず、国会の指摘を受けるに至った。

 そこで、平成29年9月1日以降、かかる不合理な結果を防止する2つの見直しが行われた。すなわち、差引結果認定表(第2章別表4)の差引残存率を下げる(差引認定後の後発障害の程度を現在の障害の程度の範囲内で従前よりも重く評価する方向で見直す。)ことに加え、一定の場合、すなわち、併合判定参考表に掲げる障害の状態の該当番号(障害番号)に対応する現在の障害の状態(程度)に比べて前発障害の状態(程度)が軽度であるものについては、現在の障害の程度に占める後発障害の影響が大きいものと評価し、後発障害の程度(等級)を現在の障害の程度と同じ等級に一致させる認定(後発障害の程度の評価の底上げ調整)を行うこととした。

 

【1級】(「重複障害」の障害の程度)

<1級相当の身体機能若しくは病状又は精神の重複障害>

●「身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの」

すなわち、身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合であって、その状態が日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。

 →障害等級1級9号・11号(国年令別表1級9号・11号、認定基準第3第1章第19節1、第2章別表4)

 

【2級】(「重複障害」の障害の程度)

<2級相当の身体機能若しくは病状又は精神の重複障害>

●「身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの」

すなわち、身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合であって、日常生活に著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。

 →障害等級2級15号・17号(国年令別表第2級15号・17号、認定基準第3第1章第19節1、第2章別表4)

 

【3級】(「重複障害」の障害の程度)

<3級相当の身体機能の重複障害>

●「身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」

 →障害等級3級12号(厚年令別表第1第12号、認定基準第3第1章第19節1、第2章別表4)

 

<3級相当の精神又は神経の重複障害>

●「精神又は神経系統に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」

 →障害等級3級13号(厚年令別表第1第13号、認定基準第3第1章第19節1)

 

<暫定的に3級認定される障害手当金相当の身体機能又は精神若しくは神経の重複障害>

●「身体の機能又は精神若しくは神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの」

 →障害等級3級14号(厚年令別表第1第14号、認定基準第3第1章第19節1、第2章別表4)

 

【障害手当金】(「重複障害」の障害の程度)

<障害手当金相当の身体機能の重複障害>

●「身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」

 →障害手当金21号(厚年令別表第2第21号、認定基準第3第1章第19節1、第2章別表4)

 

<障害手当金相当の精神又は神経の重複障害>

●「精神又は神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」

 →障害手当金22号(厚年令別表第2第22号、認定基準第3第1章第19節1)

 

 

19-2:「併合判定参考表(障害番号区分早見表)」

※本頁掲載の「併合判定参考表」は、次の5つの資料に基づいて、障害別に分けて再整理したものである。

 ① 認定基準第2章別表1(併合判定参考表の障害番号区分)

 ② 国年令別表(1級及び2級の区分)

 ③ 厚年令別表第1(3級の区分)

 ④ 厚年令別表第2(障害手当金の区分)

 ⑤ 認定基準第1章各節1及び2(認定基準及び認定要領)

 

<本頁掲載の「併合判定参考表」(障害番号区分早見表)の主な3つの利点>

 ① 障害別に整理したので、併合判定参考表における各障害の障害番号区分を容易に見つけることができる。

 ② 障害の状態が併合判定参考表に明示されているものか否かについて、網羅的に確認でき、判断し易い。

 ③ 施行令別表の等級区分を同時に確認でき、併合認定の特例の適用の有無も、判断し易い。

 

1.「眼の障害」に係る併合判定参考表における障害番号区分

●眼の障害は、多面的に評価されるゆえ細分化された異なる種類の眼の障害同士で併合認定されるという特殊性をもつ。即ち、視力障害、視野障害、まぶたの欠損障害、眼の調節機能・輻湊機能障害、まぶたの運動障害、眼球の運動障害又は瞳孔の障害が併存する場合、併合認定される(認定基準第3第1章第1節2(4))。

 

(1)「両眼の視力障害」の障害番号区分

【併合判定参考表(両眼の視力障害用)】

併合判定参考表
【障害番号区分】
施行令別表
【等級区分】
障害の状態
1級
【1号-1】
国年令別表
【1級1号】
両眼が失明したもの
1級
【1号-10】
国年令別表
【1級1号】
両眼の視力の和が0.04以下のもの
2級
【2号-1】
国年令別表
【2級1号】
両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの
3級
【5号-1】
厚年令別表第1
【3級1号】
両眼の視力がそれぞれ0.06以下のもの★★
3級
【5号-2】
厚年令別表第1
【3級1号】
一眼の視力が0.02以下に減じ、かつ、他眼の視力が0.1以下に減じたもの★★
3級
【6号-1】
厚年令別表第1
【3級1号】
両眼の視力が0.1以下に減じたもの★
障害手当金
【9号-1】
厚年令別表第2
【障害手当金1号】
両眼の視力が0.6以下に減じたもの

※両眼の視力障害のみでは、3級14号の適用はなく、3級1号で処理される(認定基準第3第1章第1節1)。

※★★:3級障害5号は、他の障害(2級障害)がある場合、併合認定により併合繰上げが認められうる(併合1級)。また、他の障害(3級障害)がある場合、併合認定により併合繰上げが認められうる(併合2級)。

※★:3級障害6号は、他の障害(3級障害)がある場合、併合認定により併合繰上げが認められうる(併合2級)。

 

(2)「一眼の視力障害」の障害番号区分

【併合判定参考表(一眼の視力障害用)】

併合判定参考表
【障害番号区分】
施行令別表
【等級区分】
障害の状態
障害手当金
【障害8号-1】
厚年令別表第2
【障害手当金2号】
一眼の視力が0.02以下に減じたもの
障害手当金
【障害9号-2】
厚年令別表第2
【障害手当金2号】
一眼の視力が0.06以下に減じたもの
障害手当金
【障害10号-1】
厚年令別表第2
【障害手当金2号】
一眼の視力が0.1以下に減じたもの
(等級非該当)
【障害13号-1】
(障害認定対象外)
該当なし
一眼の視力が0.6以下に減じたもの

※一眼の視力障害のみでは、1級~3級の認定はない(認定基準第3第1章第1節1)。

※等級非該当の一眼の視力障害でも、他の障害との併合認定により等級は認定されうる。

 

(3)「視野障害」の障害番号区分

【併合判定参考表(視野障害用)】

併合判定参考表
【障害番号区分】
施行令別表
【等級区分】
障害の状態
2級
【障害4号-7】
国年令別表
【2級15号】
求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、Ⅰ/2の視標で両眼の視野がそれぞれ5度以内に収まるもの
2級
【障害4号-7】
国年令別表
【2級15号】
求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、両眼の視野がそれぞれⅠ/4の視標で中心10度以内に収まるもので、かつ、Ⅰ/2の視標で中心10度以内の8方向の残存視野の角度の合計が56度以下のもの
障害手当金
【障害9号-4】
厚年令別表第2
【障害手当金4号】
両眼による視野が2分の1以上欠損したもの又は両眼の視野が10度以内のもの
(等級非該当)
【障害13号-2】
(障害認定対象外)
該当なし
一眼の半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの

※視野障害のみでは、1級及び3級の認定はない(認定基準第3第1章第1節1)。

※等級非該当の視野障害でも、他の障害との併合認定により等級は認定されうる。

 

(4)「まぶたの欠損障害」の障害番号区分

【併合判定参考表(まぶたの欠損障害用)】

併合判定参考表
【障害番号区分】
施行令別表
【等級区分】
障害の状態
障害手当金
【障害9号-3】
厚年令別表第2
【障害手当金3号】
両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
(等級非該当)
【障害11号-3】
(障害認定対象外)
該当なし
一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
(等級非該当)
【障害13号-3】
(障害認定対象外)
該当なし
両眼のまぶたの一部に欠損を残すもの

※まぶたの欠損障害のみでは、1級~3級の認定はない(認定基準第3第1章第1節1)。

※等級非該当のまぶたの欠損障害でも、他の障害との併合認定により等級は認定されうる。

 

(5)「眼の調整機能・輻輳機能障害」の障害番号区分

【併合判定参考表(眼の調整機能・輻輳機能障害用)】

併合判定参考表
【障害番号区分】
施行令別表
【等級区分】
障害の状態
障害手当金
【障害10号-2】
厚年令別表第2
【障害手当金5号】
両眼の調整機能及び輻輳機能に著しい障害を残すもの
(等級非該当)
【障害11号-1】
(障害認定対象外)
該当なし
両眼の調節機能に著しい障害を残すもの
(等級非該当)
【障害11号-2】
(障害認定対象外)
該当なし
一眼の調節機能に著しい障害を残すもの

※眼の調整機能・輻輳機能障害のみでは、1級~3級の認定はない(認定基準第3第1章第1節1)。

※等級非該当の眼の調整機能・輻輳機能障害でも、他の障害との併合認定により等級は認定されうる。

 

(6)「まぶたの運動障害」の障害番号区分

【併合判定参考表(まぶたの運動障害用)】

併合判定参考表
【障害番号区分】
施行令別表
【等級区分】
障害の状態
障害手当金
【障害10号-15】
厚年令別表第2
【障害手当金21号】
まぶたの運動障害のうち、眼瞼痙攣等で常時両眼のまぶたに著しい運動障害を残すことで作業等が続けられない程度のもの
(等級非該当)
【障害11号-2】
(障害認定対象外)
該当なし
両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
(等級非該当)
【障害12号-2】
(障害認定対象外)
該当なし
一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

※まぶたの運動障害のみでは、1級~3級の認定はない(認定基準第3第1章第1節1)。

※等級非該当のまぶたの運動障害でも、他の障害との併合認定により等級は認定されうる。

 

(7)「眼球の運動障害」の障害番号区分

【併合判定参考表(眼球の運動障害用)】

併合判定参考表
【障害番号区分】
施行令別表
【等級区分】
障害の状態
障害手当金
【障害10号-15】
厚年令別表第2
【障害手当金21号】
眼球の運動障害のうち、麻痺性斜視で複視が強固のため片眼に眼帯をしないと生活ができないため、労働が制限される程度のもの
(等級非該当)
【障害11号-1】
(障害認定対象外)
該当なし
両眼の運動機能に著しい障害を残すもの

※眼球の運動障害のみでは、1級~3級の認定はない(認定基準第3第1章第1節1)。

※等級非該当の眼球の運動障害でも、他の障害との併合認定により等級は認定されうる。

 

(8)「瞳孔の障害」の障害番号区分

【併合判定参考表(瞳孔の障害用)】

併合判定参考表
【障害番号区分】
施行令別表
【等級区分】
障害の状態
障害手当金
【障害10号-15】
厚年令別表第2
【障害手当金21号】
瞳孔の障害のうち、散瞳している状態で瞳孔の対光反射の著しい障害により羞明(まぶしさ)を訴え、労働に支障を来す程度のもの

※瞳孔の障害のみでは、1級~3級の認定はない(認定基準第3第1章第1節1)。

 

2.「聴覚障害」に係る併合判定参考表における障害番号区分

(1)「両耳の聴覚障害」の障害番号区分

【併合判定参考表(両耳の聴覚障害用)】

併合判定参考表
【障害番号区分】
施行令別表
【等級区分】
障害の状態
1級
【障害1号-2】
国年令別表
【1級2号】
両耳の平均純音聴力レベル値が100デシベル以上のもの
2級
【障害3号-1】
国年令別表
【2級2号】
両耳の平均純音聴力レベル値が90デシベル以上のもの
2級
【障害3号-2】
国年令別表
【2級15号】
両耳の平均純音聴力レベル値が80デシベル以上で、かつ、最良語音明瞭度が30%以下のもの
3級
【障害5号-3】
厚年令別表第1
【3級2号】
両耳の平均純音聴力レベル値が80デシベル以上のもの★★
3級
【障害5号-4】
厚年令別表第1
【3級2号】
両耳の平均純音聴力レベル値が50デシベル以上80デシベル未満で、かつ、最良語音明瞭度が30%以下のもの★★
3級
【障害7号-1】
厚年令別表第1
【3級2号】
両耳の平均純音聴力レベル値が70デシベル以上のもの
3級
【障害7号-2】
厚年令別表第1
【3級2号】
両耳の平均純音聴力レベル値が50デシベル以上で、かつ、最良語音明瞭度が50%以下のもの

※両耳の聴覚障害(3級2号)の障害の状態は「両耳の聴力が、40センチメートル以上では通常の話声を解することができない程度に減じたもの」を意味するが、併合認定の場面では、上記4つの障害番号区分に分けられる。

※両耳の聴覚障害のみでは、障害手当金の認定はない(認定基準第3第1章第2節1)。

※★★:3級障害5号は、他の障害(2級障害)がある場合、併合認定により併合繰上げが認められうる(併合1級)。また、他の障害(3級障害)がある場合、併合認定により併合繰上げが認められうる(併合2級)。

 

(2)「一耳の聴覚障害」の障害番号区分

【併合判定参考表(一耳の聴覚障害用)】

併合判定参考表
【障害番号区分】
施行令別表
【等級区分】
障害の状態
障害手当金
【障害9号-5】
厚年令別表第2
【障害手当金6号】
一耳の平均純音聴力レベル値が90デシベル以上のもの
障害手当金
【障害10号-3】
厚年令別表第2
【障害手当金6号】
一耳の平均純音聴力レベル値が80デシベル以上のもの
(等級非該当)
【障害11号-4】
(障害認定対象外)
該当なし
一耳の平均純音聴力レベル値が70デシベル以上のもの

※一耳の聴覚障害のみでは、1級~3級の認定はない(認定基準第3第1章第2節1)。

※一耳の聴覚障害(障害手当金6号)の障害の状態は「一耳の聴力が、耳殻に接しなければ大声による話を解することができない程度に減じたもの」を意味するが、併合認定の場面では、障害9号と障害10号に分けられる。

※等級非該当の一耳の聴覚障害でも、他の障害との併合認定により等級は認定されうる。

 

3.「鼻腔機能障害」に係る併合判定参考表における障害番号区分

【併合判定参考表(鼻腔機能障害用)】

併合判定参考表
【障害番号区分】
施行令別表
【等級区分】
障害の状態
障害手当金
【障害9号-7】
厚年令別表第2
【障害手当金8号】
鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの(鼻軟骨の全部又は大部分を欠損し、かつ、鼻呼吸障害のあるもの)

※鼻腔機能障害のみでは、1級~3級の認定はない(認定基準第3第1章第3節1)。

※臭覚脱失(臭いが分からないもの)は、障害認定対象外であるが(同節2(2))、併合認定の対象にもならない。

 

4.「平衡機能障害」に係る併合判定参考表における障害番号区分

【併合判定参考表(平衡機能障害用)】

併合判定参考表
【障害番号区分】
施行令別表
【等級区分】
障害の状態
2級
【障害2号-2】
国年令別表
【2級3号】
平衡機能に著しい障害を有するもの(四肢体幹に器質的異常がない場合に、閉眼で起立・立位保持が不能又は開眼で直線を歩行中に10メートル以内に転倒あるいは著しくよろめいて歩行を中断せざるを得ない程度のもの)
3級
【障害7号-9】
厚年令別表第1
【3級12号】
中等度の平衡機能の障害(閉眼で起立・立位保持が不安定で、開眼で直線を10メートル歩いたとき、多少転倒しそうになったりよろめいたりするがどうにか歩き通す程度のもの)のために、労働能力が明らかに半減しているもの
障害手当金
【障害8号-12】
厚年令別表第2
【障害手当金22号】
神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの(めまいの自覚症状が強い、他覚所見として眼振その他平衡機能検査の結果に明らかな異常所見が認められ、かつ、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもの)

※平衡機能障害のみでは、1級の認定はない(認定基準第3第1章第4節1)。

※平衡機能障害のみでは、3級14号の認定はないと解する(同節1及び2(4))。

 

5.「咀嚼・嚥下機能障害」に係る併合判定参考表における障害番号区分

【併合判定参考表(咀嚼・嚥下機能障害用)】

併合判定参考表
【障害番号区分】
施行令別表
【等級区分】
障害の状態
2級
【障害2号-3】
国年令別表
【2級4号】
そしゃくの機能を欠くもの(①流動食以外は摂取できないもの、②経口的に食物を摂取することができないもの、又は③経口的に食物を摂取することが極めて困難なもの)
3級
【障害6号-2】
厚年令別表第1
【3級3号】
そしやくの機能に相当程度の障害を残すもの(①経口摂取のみでは十分な栄養摂取ができないためにゾンデ栄養の併用が必要なもの、又は②全粥又は軟菜以外は摂取できない程度のもの)★
障害手当金
【障害10号-4】
厚年令別表第2
【障害手当金7号】
そしゃくの機能に障害を残すもの(ある程度の常食は摂取できるが、そしゃく・嚥下が十分できないため、食事が制限される程度のもの)

※咀嚼・嚥下機能障害のみでは、1級の認定はない(認定基準第3第1章第5節1)。

※咀嚼・嚥下機能障害のみでは、3級14号の認定はない(同前)。

※嚥下機能障害のみでは、等級が認定されることはなく、併合認定の対象となることもない。

※咀嚼機能障害と嚥下機能障害とは、併合認定されず、総合認定される(同節2(5))。

※障害9号-6(そしゃく及び言語の機能に障害を残すもの)は、言語機能障害を含むため、上記表から掲載を除外した。障害10号-4(そしゃくの機能に障害を残すもの)と障害10号-4(言語の機能に障害を残すもの)を併合すると併合番号は、併合(加重)認定表(別表2)では9号となるため、併合判定参考表(別表1)の障害9号-6と矛盾しない。障害9号-6の存在意義はない(障害10号-4のみで処理可能。第5節1とも整合する)。

※★:3級障害6号は、他の障害(3級障害)がある場合、併合認定により併合繰上げが認められうる(併合2級)。

 

6.「音声・言語機能障害」に係る併合判定参考表における障害番号区分

【併合判定参考表(音声・言語機能障害用)】

併合判定参考表
【障害番号区分】
施行令別表
【等級区分】
障害の状態
2級
【障害2号-4】
国年令別表
【2級5号】
音声又は言語の機能に著しい障害を有するもの(発音に関わる機能を喪失するか、話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方がほとんどできないため、日常会話が誰とも成立しないもの)
3級
【障害6号-2】
厚年令別表第1
【3級3号】
言語の機能に相当程度の障害を残すもの(話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方に多くの制限があるため、日常会話が、互いに内容を推論したり、たずねたり、見当をつけることなどで部分的に成り立つもの)★
障害手当金
【障害10号-4】
厚年令別表第2
【障害手当金7号】
言語の機能に障害を残すもの(話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方に一定の制限があるものの、日常会話が、互いに確認することなどで、ある程度成り立つもの)

※音声・言語機能障害のみでは、1級の認定はない(認定基準第3第1章第6節1)。

※音声・言語機能障害のみでは、3級14号の認定はない(同前)。

※音声・言語機能障害(特に構音障害)と咀嚼・嚥下機能障害とは併存することが多く、その場合は併合認定される。また、音声・言語機能の障害(特に失語症)と肢体の障害又は精神の障害とは併存することが多いが、その場合も併合認定される(同節2(10))。

※障害9号-6(そしゃく及び言語の機能に障害を残すもの)は、咀嚼機能障害を含むため、上記表から掲載を除外した。障害10号-4(言語の機能に障害を残すもの)と障害10号-4(そしゃくの機能に障害を残すもの)を併合すると併合番号は、併合(加重)認定表(別表2)では9号となるため、併合判定参考表(別表1)の障害9号-6と矛盾しない。障害9号-6の存在意義はない(障害10号-4のみで処理可能。第6節1とも整合する)。

※★:3級障害6号は、他の障害(3級障害)がある場合、併合認定により併合繰上げが認められうる(併合2級)。

 

音声・言語機能障害を含む併合認定例

 例1)音声・言語機能障害(構音障害)+「聴覚障害」

 例2)音声・言語機能障害(構音障害)+「咀嚼・嚥下機能障害」

 例3)音声・言語機能障害(失語症)+「肢体の障害」

  →「音声又は言語機能の障害用」の診断書(様式120号の2)に加え、

   「肢体の障害用」の診断書(様式120号の3)も別途必要となる。

 例4)音声・言語機能障害(失語症)+「精神障害(高次脳機能障害)」

  →「音声又は言語機能の障害用」の診断書(様式120号の2)に加え、

   「精神の障害用」の診断書(様式120号の4)も別途必要となる。

 

7-1.「上肢の障害」に係る併合判定参考表における障害番号区分

(1)「上肢関節の機能障害・欠損障害」の障害番号区分

【併合判定参考表(上肢関節の機能障害・欠損障害用)】

併合判定参考表
【障害番号区分】
施行令別表
【等級区分】
障害の状態
1級
【障害1号-3】
国年令別表
【1級4号】
両上肢を肘関節以上で欠くもの
1級
【障害1号-4】
国年令別表
【1級3号】
両上肢の機能に著しい障害を有するもの(両上肢の用を全く廃したもの、すなわち、両上肢の3大関節中それぞれ2関節以上の関節が全く用を廃したもの)
2級
【障害4号-2】
国年令別表
【2級8号】
一上肢の機能に著しい障害を有するもの(一上肢の用を全く廃したもの、すなわち、一上肢の3大関節中いずれか2関節以上の関節が全く用を廃したもの)
2級
【障害4号-7】
国年令別表
【2級15号】
両上肢の機能に相当程度の障害を残すもの(例えば、両上肢の3大関節中それぞれ1関節の他動可動域が、参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの)
3級
【障害6号-4】
厚年令別表第1
【3級5号】
一上肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの(関節の他動可動域が健側の他動可動域の半分以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの(例えば、常時(起床より就寝まで)固定装具を必要とする程度の動揺関節))★
3級
【障害7号-8】
厚年令別表第1
【3級12号】
一上肢の機能に相当程度の障害を残すもの(一上肢の3大関節中1関節が不良肢位で強直しているもの)又は両上肢に機能障害を残すもの(例えば、両上肢の3大関節中それぞれ1関節の筋力が半減しているもの)
障害手当金
【障害8号-3】
厚年令別表第2
【障害手当金10号】
一上肢の3大関節のうち、1関節の用を廃したもの(関節の他動可動域が健側の他動可動域の半分以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの(例えば、常時(起床より就寝まで)固定装具を必要とする程度の動揺関節))
障害手当金
【障害10号-5】
厚年令別表第2
【障害手当金10号】
一上肢の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害を残すもの(関節の他動可動域が健側の他動可動域の3分の2以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの(例えば、常時ではないが、固定装具を必要とする程度の動揺関節、習慣性脱臼))
障害手当金
【10号-15】
厚年令別表第2
【障害手当金21号】
一上肢に機能障害を残すもの(例えば、①一上肢の3大関節中1関節の筋力が半減しているもの、②前腕の他動可動域が健側の他動可動域の4分の1以下に制限されたもの)
(等級非該当)
【12号-3】
(障害認定対象外)
該当なし
一上肢の3大関節のうち、1関節に機能障害を残すもの(関節の他動可動域が健側の他動可動域の5分の4以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの(例えば、固定装具を必要としない程度の動揺関節、習慣性脱臼))

※上肢関節の機能障害・欠損障害のみでは、3級14号の認定はない(認定基準第3第1章第7節第1の1)。

※等級非該当の上肢関節の機能障害・欠損障害でも、他の障害との併合認定により等級は認定されうる。

※「(上肢の)3大関節」:肩関節、肘関節及び手関節(手首)。

※「参考可動域」:認定基準(別紙)「肢体の障害関係の測定方法」に記載のもの。

※「2関節以上の関節が全く用を廃したもの」:3大関節中(両上肢の場合それぞれ、一上肢の場合いずれか)2関節以上について、①不良肢位で強直しているもの、②関節の他動可動域が参考可動域の半分以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの、又は③筋力が著減又は消失しているもの(認定基準第3第1章第7節第1の2(1)ア・イ)。

※★:3級障害6号は、他の障害(3級障害)がある場合、併合認定により併合繰上げが認められうる(併合2級)。

 

(2)「手指の機能障害」の障害番号区分

【併合判定参考表(上肢手指の機能障害用)】

併合判定参考表
【障害番号区分】
施行令別表
【等級区分】
障害の状態
1級
【障害1号-12】
国年令別表
【1級5号】
両上肢のすべての指の用を全く廃したもの
2級
【障害3号-3】
国年令別表
【2級15号】
両上肢のすべての指の用を廃したもの
2級
【障害3号-5】
国年令別表
【2級7号】
両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の用を全く廃したもの
2級
【障害4号-3】
国年令別表
【2級10号】
一上肢のすべての指の用を全く廃したもの
3級
【障害6号-8】
厚年令別表第1
【3級9号】
一上肢のすべての指の用を廃したもの★
3級
【障害7号-5】
厚年令別表第1
【3級9号】
おや指及びひとさし指を併せ一上肢の4指の用を廃したもの
障害手当金
【障害8号-9】
厚年令別表第2
【障害手当金17号】
一上肢のおや指及びひとさし指の用を廃したもの
障害手当金
【障害8号-10】
厚年令別表第2
【障害手当金16号】
おや指又はひとさし指を併せ一上肢の3指以上の用を廃したもの
障害手当金
【障害9号-9】
厚年令別表第2
【障害手当金18号】
一上肢のおや指の用を全く廃したもの
障害手当金
【障害9号-12】
厚年令別表第2
【障害手当金18号】
一上肢のおや指を併せ2指の用を廃したもの
障害手当金
【障害10号-11】
厚年令別表第2
【障害手当金18号】
一上肢のおや指の用を廃したもの
障害手当金
【障害10号-12】
厚年令別表第2
【障害手当金17号】
ひとさし指を併せ一上肢の2指の用を廃したもの
障害手当金
【障害10号-13】
厚年令別表第2
【障害手当金16号】
おや指及びひとさし指以外の一上肢の3指の用を廃したもの
(等級非該当)
【障害11号-6】
(障害認定対象外)
該当なし
一上肢のひとさし指の用を廃したもの
(等級非該当)
【障害11号-7】
(障害認定対象外)
該当なし
おや指及びひとさし指以外の一上肢の2指の用を廃したもの
(等級非該当)
【障害12号-6】
(障害認定対象外)
該当なし
一上肢のなか指又はくすり指の用を廃したもの
(等級非該当)
【障害13号-5】
(障害認定対象外)
該当なし
一上肢のおや指の指骨の一部を欠くもの
(等級非該当)
【障害13号-6】
(障害認定対象外)
該当なし
一上肢のひとさし指の指骨の一部を欠くもの
(等級非該当)
【障害13号-7】
(障害認定対象外)
該当なし
一上肢のひとさし指の遠位指節間関節の屈伸が不能になったもの

※手指の機能障害のみでは、3級14号の認定はない(認定基準第3第1章第7節第1の1)。

※等級非該当の手指の機能障害でも、他の障害との併合認定により等級は認定されうる。

※「指の用を全く廃したもの」:指の著しい変形、麻痺による高度の脱力、関節の不良肢位強直、瘢痕による指の埋没又は不良肢位拘縮等により、指があってもそれがないのとほとんど同程度の機能障害があるもの(同2(1)カ)。

※「指の用を廃したもの」:指の末節骨の長さの半分以上を失い、又は中手指節関節(MP)若しくは近位指節間関節(PIP)(おや指にあっては指節間関節(IP))に著しい運動障害(他動可動域が健側の他動可動域の半分以下に制限されたもの)を残すもの(同ク)。

※「指骨の一部を欠くもの」:「末節骨の長さの半分未満を欠くもの」と解する(同ク(ア)参考)。「指骨」とは、本来は末節骨、中節骨及び基節骨から成るものを指すが、末節骨の長さの半分以上の「欠損障害」が「機能障害」として取り扱われていること、及び障害の程度の評価上の切り分けを考慮すると、ここでいう「指骨の一部を欠くもの」とは、末節骨の長さの半分未満を欠くものと解する。すなわち、手指の軽微な欠損障害は、機能障害として位置づけられており、この機能障害は、指の用を廃した程度の障害(末節骨の長さの半分以上の欠損障害)と、指の用を廃した程度未満の障害(指骨(末節骨の長さの半分未満)の欠損障害)とに分けて評価することが可能となる。

※★:3級障害6号は、他の障害(3級障害)がある場合、併合認定により併合繰上げが認められうる(併合2級)。

 

(3)「手指の欠損障害」の障害番号区分

【併合判定参考表(手指の欠損障害用)】

併合判定参考表
【障害番号区分】
施行令別表
【等級区分】
障害の状態
1級
【障害1号-11】
国年令別表
【1級4号】
両上肢のすべての指を欠くもの(基部から欠き、有効長が0のもの)
2級
【障害2号-5】
国年令別表
【2級9号】
両上肢のすべての指を失ったもの(近位指節間関節(おや指にあっては指節間関節)以上で欠くもの)
2級
【障害3号-4】
国年令別表
【2級6号】
両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠くもの(基部から欠き、有効長が0のもの)
2級
【障害4号-1】
国年令別表
【2級9号】
一上肢のすべての指を欠くもの(基部から欠き、有効長が0のもの)
3級
【障害6号-6】
厚年令別表第1
【3級12号】
両上肢のおや指を欠くもの(基部から欠き、有効長が0のもの)★
3級
【障害6号-7】
厚年令別表第1
【3級8号】
一上肢の5指又はおや指及びひとさし指を併せ一上肢の4指を失ったもの(近位指節間関節(おや指にあっては指節間関節)以上で欠くもの)★
3級
【障害6号-9】
厚年令別表第1
【3級8号】
一上肢のおや指及びひとさし指を欠くもの(基部から欠き、有効長が0のもの)★
3級
【障害7号-4】
厚年令別表第1
【3級8号】
一上肢のおや指及びひとさし指を失ったもの(近位指節間関節(おや指にあっては指節間関節)以上で欠くもの)、又はおや指若しくはひとさし指を併せ一上肢の3指を失ったもの(近位指節間関節(おや指にあっては指節間関節)以上で欠くもの)
障害手当金
【障害8号-8】
厚年令別表第2
【障害手当金14号】
一上肢のおや指を失い(指節間関節で欠き)、かつ、ひとさし指以外の1指を失ったもの(近位指節間関節以上で欠くもの)
障害手当金
【障害9号-8】
厚年令別表第2
【障害手当金18号】
一上肢のおや指を失ったもの(指節間関節以上で欠くもの)
障害手当金
【障害9号-10】
厚年令別表第2
【障害手当金14号】
ひとさし指を併せ一上肢の2指を失ったもの(近位指節間関節以上で欠くもの)
障害手当金
【障害9号-11】
厚年令別表第2
【障害手当金16号】
おや指及びひとさし指以外の一上肢の3指を失ったもの(近位指節間関節以上で欠くもの)
障害手当金
【障害10号-9】
厚年令別表第2
【障害手当金15号】
一上肢のひとさし指を失ったもの(近位指節間関節以上で欠くもの)
障害手当金
【障害10号-10】
厚年令別表第2
【障害手当金14号】
おや指及びひとさし指以外の一上肢の2指を失ったもの(近位指節間関節以上で欠くもの)
(等級非該当)
【障害11号-5】
(障害認定対象外)
該当なし
一上肢のなか指又はくすり指を失ったもの(近位指節間関節以上で欠くもの)
(等級非該当)
【障害13号-4】
(障害認定対象外)
該当なし
一上肢の小指を失ったもの(近位指節間関節以上で欠くもの)

※手指の欠損障害のみでは、3級14号の認定はない(認定基準第3第1章第7節第1の1)。

※等級非該当の手指の欠損障害でも、他の障害との併合認定により等級は認定されうる。

※手指の欠損障害については、指を「欠くもの」と「失ったもの」とでは、定義が明確に異なることに留意する必要がある。すなわち、「欠くもの」とは「基部から欠き、有効長が0のもの」を指すのに対し、「失ったもの」とは「近位指節間関節(おや指にあっては指節間関節)以上で欠くもの」を指す(第7節第1の2(2)ア・イ)。尚、かかる程度に至らない軽微な手指の欠損障害については、機能障害として取り扱われる(同(1)ク(ア)。

※★:3級障害6号は、他の障害(3級障害)がある場合、併合認定により併合繰上げが認められうる(併合2級)。

 

(4)「上肢の変形障害」の障害番号区分

【併合判定認定表(上肢の変形障害用)】

併合判定参考表
【障害番号区分】
施行令別表
【等級区分】
障害の状態
3級
【障害7号-3】
厚年令別表第1
【3級7号】
長管状骨(①上腕骨、又は②橈骨及び尺骨)に偽関節(骨幹部又は骨幹端部に限る。)を残し、運動機能に著しい障害を残すもの
障害手当金
【8号-6】
厚年令別表第2
【障害手当金13号】
一上肢(上腕骨、橈骨又は尺骨)に偽関節(骨幹部又は骨幹端部に限る。)を残すもの
障害手当金
【10号-8】
厚年令別表第2
【障害手当金13号】
長管状骨(上腕骨、橈骨又は尺骨)に著しい転位変形を残すもの
(等級非該当)
【12号-5】
(障害認定対象外)
該当なし
長管状骨(上腕骨、橈骨又は尺骨)に奇形を残すもの

※上肢の変形障害のみでは、1級及び2級の認定はない(認定基準第3第1章第7節第1の1)。

※上肢の変形障害のみでは、3級14号の認定はない(同前)。

※等級非該当の上肢の変形障害でも、他の障害との併合認定により等級は認定されうる。

※「長管状骨」とあるが、「両上肢又は一上肢の」ものなのか、「一上肢の」ものなのかは、認定基準では不明である。少しでも請求人側に有利な解釈を採るならば、「一上肢の」と解すべきであろう。もっとも、両上肢の変形障害だけでは一上肢の変形障害より上位の等級の認定は望めない(併合(加重)認定表参照)。3以上の重複障害の場合であれば、有り得るとしても稀にすぎない。尚、下肢の変形障害の場合も同様である。

 

7-2.「下肢の障害」に係る併合判定参考表における障害番号区分

(1)「下肢関節の機能障害」の障害番号区分

【併合判定参考表(下肢関節の機能障害用)】

併合判定参考表
【障害番号区分】
施行令別表
【等級区分】
障害の状態
1級
【1号-6】
国年令別表
【1級6号】
両下肢の機能に著しい障害を有するもの(両下肢の用を全く廃したもの、すなわち、両下肢の3大関節中それぞれ2関節以上の関節が全く用を廃したもの)
2級
【4号-5】
国年令別表
【2級12号】
一下肢の機能に著しい障害を有するもの(一下肢の用を全く廃したもの、すなわち、一下肢の3大関節中いずれか2関節以上の関節が全く用を廃したもの)
2級
【4号-7】
国年令別表
【2級15号】
両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの(例えば、両下肢の3大関節中それぞれ1関節の他動可動域が参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの)
3級
【6号-5】
厚年令別表第1
【3級6号】
一下肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの(関節の他動可動域が健側の他動可動域の半分以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの(例えば、常時(起床より就寝まで)固定装具を必要とする程度の動揺関節))★
3級
【7号-8】
厚年令別表第1
【3級12号】
一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの(例えば、一下肢の3大関節中1関節が不良肢位で強直しているもの)又は両下肢に機能障害を残すもの(例えば、両下肢の3大関節中それぞれ1関節の筋力が半減しているもの)
障害手当金
【8号-4】
厚年令別表第2
【障害手当金11号】
一下肢の3大関節のうち、1関節の用を廃したもの(関節の他動可動域が健側の他動可動域の半分以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの(例えば、常時(起床より就寝まで)固定装具を必要とする程度の動揺関節))
障害手当金
【10号-6】
厚年令別表第2
【障害手当金11号】
一下肢の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害を残すもの(関節の他動可動域が健側の他動可動域の3分の2以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの(例えば、常時ではないが、固定装具を必要とする程度の動揺関節、習慣性脱臼))
障害手当金
【10号-15】
厚年令別表第2
【障害手当金21号】
一下肢に機能障害を残すもの(例えば、一下肢の3大関節中1関節の筋力が半減しているもの)
(等級非該当)
【12号-4】
(障害認定対象外)
該当なし
一下肢の3大関節のうち、1関節に機能障害を残すもの(関節の他動可動域が健側の他動可動域の5分の4以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの(例えば、固定装具を必要としない程度の動揺関節、習慣性脱臼))

※下肢関節の機能障害のみでは、3級14号の認定はない(認定基準第3第1章第7節第2の1)。

※等級非該当の下肢関節の機能障害でも、他の障害との併合認定により等級は認定されうる。

※「参考可動域」:認定基準(別紙)「肢体の障害関係の測定方法」に記載のもの。

※「2関節以上の関節が全く用を廃したもの」:3大関節中(両下肢の場合それぞれ、一下肢の場合いずれか)2関節以上について、①不良肢位で強直しているもの、②関節の他動可動域が参考可動域の半分以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの、又は③筋力が著減又は消失しているもの。ただし、膝関節のみが100度屈曲位の強直である場合のように歩行時に(その両下肢又は一下肢を)使用できない場合、1関節のみが全く用を廃したものであっても、2関節以上の関節が全く用を廃したものと認定される(認定基準第3第1章第7節第2の2(1)ア・イ)。

※★:3級障害6号は、他の障害(3級障害)がある場合、併合認定により併合繰上げが認められうる(併合2級)。

 

(2)「下肢関節の欠損障害」の障害番号区分

【併合判定参考表(下肢関節の欠損障害用)】

併合判定参考表
【障害番号区分】
施行令別表
【等級区分】
障害の状態
1級
【障害1号-5】
国年令別表
【1級7号】
両下肢を膝関節以上で欠くもの
1級
【障害1号-3】
国年令別表
【1級7号】
両下肢を足関節以上で欠くもの
2級
【障害3号-6】
国年令別表
【2級11号】
両下肢をリスフラン関節以上で欠くもの
2級
【障害4号-6】
国年令別表
【2級13号】
一下肢を足関節(ショパール関節)以上で欠くもの
3級
【障害7号-6】
厚年令別表第1
【3級10号】
一下肢をリスフラン関節以上で欠くもの

※下肢関節の欠損障害のみでは、3級14号の認定はない(認定基準第3第1章第7節第2の1)。

※下肢関節の欠損障害のみでは、障害手当金の認定はない(同前)。

 

(3)「足趾の機能障害」の障害番号区分

【併合判定参考表(足趾の機能障害用)】

併合判定参考表
【障害番号区分】
施行令別表
【等級区分】
障害の状態
3級
【障害7号-7】
厚年令別表第1
【3級11号】
両下肢の10趾の用を廃したもの
障害手当金
【障害9号-14】
厚年令別表第2
【障害手当金20号】
一下肢の5趾の用を廃したもの
(等級非該当)
【障害11号-8】
(障害認定対象外)
該当なし
第1趾を併せ一下肢の2趾以上の用を廃したもの
(等級非該当)
【障害12号-7】
(障害認定対象外)
該当なし
一下肢の第1趾又は他の4趾の用を廃したもの
(等級非該当)
【障害13号-10】
(障害認定対象外)
該当なし
一下肢の第2趾の用を廃したもの
(等級非該当)
【障害13号-11】
(障害認定対象外)
該当なし
第2趾を併せ一下肢の2趾の用を廃したもの
(等級非該当)
【障害13号-12】
(障害認定対象外)
該当なし
一下肢の第3趾以下の3趾の用を廃したもの

※足趾の機能障害のみでは、1級及び2級の認定はない(認定基準第3第1章第7節第2の1)。

※足趾の機能障害のみでは、3級14号の認定はない(同前)。

※等級非該当の足趾の機能障害でも、他の障害との併合認定により等級は認定されうる。

※「趾の用を廃したもの」:第1趾は末節骨の半分以上、その他の趾は遠位指節間関節(DIP)以上を失ったもの又は中足趾節関節(MP)若しくは近位趾節間関節(PIP)(第1趾にあっては趾節間関節(IP))に著しい運動障害(他動可動域が健側の他動可動域の半分以下に制限されたもの)を残すもの(同第2の2(1)カ)。 

 

(4)「足趾の欠損障害」の障害番号区分

【併合判定参考表(足趾の欠損障害用)】

併合判定参考表
【障害番号区分】
施行令別表
【等級区分】
障害の状態
2級
【障害4号-4】
国年令別表
【2級11号】
両下肢のすべての指を欠くもの(両下肢の10趾を中足趾節関節以上で欠くもの)
障害手当金
【障害8号-11】
厚年令別表第2
【障害手当金19号】
一下肢のすべての指を欠くもの(一下肢の5趾を中足趾節関節以上で欠くもの)
障害手当金
【障害9号-13】
厚年令別表第2
【障害手当金19号】
一下肢の第1趾を併せ2以上の趾を中足趾節関節以上で欠くもの
障害手当金
【障害10号-14】
厚年令別表第2
【障害手当金19号】
一下肢の第1趾又は他の4趾を中足趾節関節以上で欠くもの
(等級非該当)
【障害12号-8】
(障害認定対象外)
該当なし
一下肢の第2趾を中足趾節関節以上で欠くもの
(等級非該当)
【障害12号-9】
(障害認定対象外)
該当なし
第2趾を併せ一下肢の2趾を中足趾節関節以上で欠くもの
(等級非該当)
【障害12号-10】
(障害認定対象外)
該当なし
一下肢の第3趾以下の3趾を中足趾節関節以上で欠くもの
(等級非該当)
【障害13号-9】
(障害認定対象外)
該当なし
一下肢の第3趾以下の1又は2趾を中足趾節関節以上で欠くもの

※足趾の欠損障害のみでは、1級及び3級の認定はない(認定基準第3第1章第7節第2の1)。

※等級非該当の足趾の欠損障害でも、他の障害との併合認定により等級は認定されうる。

 

(5)「下肢の変形障害」の障害番号区分

【併合判定参考表(下肢の変形障害用)】

併合判定参考表
【障害番号区分】
施行令別表
【等級区分】
障害の状態
3級
【障害7号-3】
厚年令別表第1
【3級7号】
長管状骨(大腿骨又は脛骨)に偽関節(骨幹部又は骨幹端部に限る。)を残し、運動機能に著しい障害を残すもの
障害手当金
【障害8号-7】
厚年令別表第2
【障害手当金13号】
一下肢(大腿骨又は脛骨)に偽関節(骨幹部又は骨幹端部に限る。)を残すもの
障害手当金
【障害10号-8】
厚年令別表第2
【障害手当金13号】
長管状骨(大腿骨又は脛骨)に著しい転位変形を残すもの
(等級非該当)
【障害12号-5】
(障害認定対象外)
該当なし
長管状骨(大腿骨又は脛骨)に奇形を残すもの

※下肢の変形障害のみでは、1級及び2級の認定はない(認定基準第3第1章第7節第2の1)。

※下肢の変形障害のみでは、3級14号の認定はない(同前)。

※等級非該当の下肢の変形障害でも、他の障害との併合認定により等級は認定されうる。

※「長管状骨」とあるが、「両下肢又は一下肢の」ものなのか、「一下肢の」ものなのかは、認定基準では不明である。少しでも請求人側に有利な解釈を採るならば、「一下肢の」と解すべきであろう。もっとも、両下肢の変形障害だけでは一下肢の変形障害より上位の等級の認定は望めない(併合(加重)認定表参照)。3以上の重複障害の場合であれば、有り得るとしても稀にすぎない。尚、上肢の変形障害の場合も同様である。

 

(6)「下肢の短縮障害」の障害番号区分

【併合判定参考表(下肢の短縮障害用)】

併合判定参考表
【障害番号区分】
施行令別表
【等級区分】
障害の状態
2級
【障害4号-5】
国年令別表
【2級12号】
一下肢が健側の長さの4分の1以上短縮したもの
3級
【障害7号-8】
厚年令別表第1
【3級7号】
一下肢が10センチメートル以上短縮したもの
障害手当金
【障害8号-5】
厚年令別表第2
【障害手当金12号】
一下肢が5センチメートル以上短縮したもの
障害手当金
【障害10号-7】
厚年令別表第2
【障害手当金12号】
一下肢が3センチメートル以上短縮したもの
(等級非該当)
【障害13号-8】
(障害認定対象外)
該当なし
一下肢が1センチメートル以上短縮したもの

※下肢の短縮障害のみでは、1級の認定はないと解する(認定基準第3第1章第7節第2の1)。下肢の短縮障害は、下肢長(上前腸骨棘と脛骨内果尖端を結ぶ直線距離)の左右差が歩行機能に及ぼす影響を重視するものといえる。仮に両下肢の短縮障害の場合でも、患側と患側の左右差が問われるはずなので、1級の認定はないことになる。

※等級非該当の下肢の短縮障害でも、他の障害との併合認定により等級は認定されうる。

 

7-3.「体幹・脊柱機能障害」に係る併合判定参考表における障害番号区分

【併合判定参考表(体幹・脊柱機能障害用)】

併合判定参考表
【障害番号区分】
施行令別表
【等級区分】
障害の状態
1級
【障害1号-7】
国年令別表
【1級8号】
体幹の機能に座っていることができない(腰掛、正座、あぐら、横すわりのいずれもができない)程度又は立ち上がることができない(臥位又は坐位から自力のみで立ち上れず、他人、柱、杖、その他の器物の介護又は補助によりはじめて立ち上ることができる)程度の障害を有するもの
1級
【障害1号-8】
国年令別表
【1級9号】
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
2級
【障害2号-6】
国年令別表
【2級14号】
体幹の機能に歩くことができない(室内においては、杖、松葉杖、その他の補助用具を必要とせず、起立移動が可能であるが、屋外ではこれらの補助用具の助けをかりる必要がある)程度の障害を有するもの
2級
【障害4号-7】
国年令別表
【2級15号】
日常生活における動作が一人でできるが非常に不自由な場合又はこれに近い状態
3級
【障害6号-3】
厚年令別表第1
【3級4号】
脊柱の機能に著しい障害を残すもの(脊柱又は背部・軟部組織の明らかな器質的変化のため、脊柱の他動可動域が参考可動域の2分の1以下に制限されたもの)★
障害手当金
【障害8号-2】
厚年令別表第2
【障害手当金9号】
脊柱の機能に障害を残すもの(①脊柱又は背部・軟部組織の明らかな器質的変化のため、脊柱の他動可動域が参考可動域の4分の3以下に制限されている程度のもの、②頭蓋・上位頸椎間の著しい異常可動性が生じたもの)

※体幹・脊柱機能障害のみでは、3級14号の認定はない(認定基準第3第1章第7節第3の1)。

※「参考可動域」:認定基準(別紙)「肢体の障害関係の測定方法」に記載のもの。

※★:3級障害6号は、他の障害(3級障害)がある場合、併合認定により併合繰上げが認められうる(併合2級)。

 

7-4.「肢体広域機能障害」に係る併合判定参考表における障害番号区分

【併合判定参考表(肢体広域機能障害用)】

併合判定参考表
【障害番号区分】
施行令別表
【等級区分】
障害の状態
1級
【障害1号-8】
国年令別表
【1級9号】
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの(例えば、①一上肢及び一下肢の用を全く廃したもの、②四肢の機能に相当程度の障害を残すもの)
2級
【障害4号-7】
国年令別表
【2級15号】
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの(例えば、①一上肢及び一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの、②四肢に機能障害を残すもの)
3級
【障害7号-8】
厚年令別表第1
【3級12号】
身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの(例えば、①一上肢及び一下肢に機能障害を残すもの)

※「肢体広域機能障害」:本サイトで認定基準上の「肢体の機能の障害」を便宜上読み替えた造語。「肢体の障害が上肢及び下肢などの広範囲にわたる障害」の略語を意味するものとして用いている。

※「広範囲」:「両上肢」「一上肢」「両下肢」「一下肢」「体幹及び脊柱」のうち、複数の範囲(認定基準第3第1章第7節第4の2(3)(注))。

※上肢及び下肢にわたる機能障害であって、上肢と下肢の障害の状態が異なる場合、障害の重い肢で等級が認定される(同前尚書)。

※肢体広域機能障害のみでは、3級14号及び障害手当金の認定はない(同節第4の1)。

 

8.「精神障害」に係る併合判定参考表における障害番号区分

【併合判定参考表(精神障害用)】

併合判定参考表
【障害番号区分】
施行令別表
【等級区分】
障害の状態
1級
【障害1号-9】
国年令別表
【1級10号】
精神の障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
2級
【障害4号-8】
国年令別表
【2級16号】
精神の障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
3級
【障害7号-9】
厚年令別表第1
【3級13号】
精神に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
3級
【障害8号-12】
厚年令別表第1
【3級14号】
精神に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの
障害手当金
【障害8号-12】
厚年令別表第2
【障害手当金22号】
精神に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの(病状性を含む器質性精神障害(高次脳機能障害を含む。)のうち、認知障害のため、労働が制限を受けるもの)

※精神障害のみであっても、3級14号の認定がありうる(認定基準第3第1章第8節1)。

※病状性を含む器質性精神障害(高次脳機能障害を含む。)のみ、障害手当金の認定がありうる(同節2B(2))。

 

9.「神経系統の障害」に係る併合判定参考表における障害番号区分

【併合判定参考表(神経系統の障害用)】

併合判定参考表
【障害番号区分】
施行令別表
【等級区分】
障害の状態
1級
【障害1号-8】
国年令別表
【1級9号】
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
2級
【障害4号-7】
国年令別表
【2級15号】
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
3級
【障害7号-8】
厚年令別表第1
【3級12号】
身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
3級
【障害7号-9】
厚年令別表第1
【3級13号】
神経系統に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
障害手当金
【障害8号-12】
厚年令別表第2
【障害手当金22号】
神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
障害手当金
【障害10号-15】
厚年令別表第2
【障害手当金22号】
身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
(等級非該当)
【障害12号-11】
(障害認定対象外)
該当なし
局部に頑固な神経症状を残すもの

※神経系統の障害のみでは、3級14号の認定はない(認定基準第3第1章第9節1)。

※等級非該当の神経系統の障害でも、他の障害との併合認定により等級は認定されうる。

 

10.「内科的疾患による機能障害」に係る併合判定参考表における障害番号区分

【併合判定参考表(内科的疾患による機能障害用)】

併合判定参考表
【障害番号区分】
施行令別表
【等級区分】
障害の状態
1級
【障害1号-8】
国年令別表
【1級9号】
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
2級
【障害4号-7】
国年令別表
【2級15号】
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
3級
【障害10号-15】
厚年令別表第1
【3級14号】
身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの

※「内科的疾患による機能障害」:身体機能障害のうち、内科的疾患による機能障害(内臓疾患による内部障害)のうち、認定基準第3第1章第10節~第18節に掲げられたもの(下記の9つに大別されるもの)を指すものと解する。

※内科的疾患による機能障害のみでは、障害手当金の認定はなく、3級14号で処理される。

※障害の程度の具体例については、下記の各障害の障害状態要件参照。

 ① 呼吸器疾患による障害

  →呼吸機能障害の障害状態要件参照。

 ② 心疾患による障害

  →循環器機能障害の障害状態要件参照。

 ③ 腎疾患による障害

  →腎機能障害の障害状態要件参照。

 ④ 肝疾患による障害

  →肝機能障害の障害状態要件参照。

 ⑤ 血液・造血器疾患による障害

  →血液・造血障害の障害状態要件参照。

 ⑥ 代謝疾患による障害

  →代謝障害の障害状態要件参照。

 ⑦ 悪性新生物による障害

  →悪性新生物による障害の障害状態要件参照。

 ⑧ 高血圧症による障害

  →高血圧症による障害の障害状態要件参照。

 ⑨ その他の疾患による障害

  →その他の障害の障害状態要件参照。

 

※内科的疾患による機能障害(内部障害)同士では、併合(加重)認定されず、総合認定される(第2章第1節2)。

 

19-3:「障害の併合」を求める裁定請求と権利処理

【用語の定義の整理】

・「障害の併合」とは、障害認定基準に基づいて、前発障害と後発障害から成る重複障害(複数障害)の障害の程度の判定方法(併合認定又は加重認定)により、上位等級(併合繰上げによる併合等級。障害等級が1級又は2級へ繰り上がるものに限る。)が認められる場合(狭義)をいう。併合(加重)認定表を用いて行われるものである。広義には、総合認定によるものや、障害手当金を認めるものも含まれると解する。ここでは狭義に解して事足りる。

・「障害年金の併合」とは、障害年金(障害給付)制度における併合、即ち、法令(国民年金法、厚生年金保険法)に基づいて、障害の併合が行われる場合をいい、①併合、②初めて2級、③併合改定、の3つの併合区分(権利処理区分)がある。本頁では便宜上、「併合」は「年金併合」と同義、「初めて2級」は「障害併合」と同義とし、併記する場合がある。適用場面を峻別するため、造語を便宜的に用いている。

・「併合(年金併合)」とは、併合請求(後発年金請求)に対し、年金の併合処理(併合等級による年金を決定する処理及び前発受給権を失権させる処理を併せたもの)を行うもの(権利処理区分)をいう。併合等級による受給権に一本化するものである。尚、事務管轄上の都合で実務上、前発年金の額改定で代替処理する場合がある。

・「初めて2級(障害併合)」とは、初めて2級請求(基準障害による年金請求)に対し、併合等級による年金を決定する処理及び前発受給権と併合等級の受給権を選択させる処理を併せたもの(権利処理区分)をいう。したがって、後発(基準)年金請求書、診断書及び選択申出書等の提出が必要となる。

・「併合改定」とは、額改定の一種であり、「その他障害」(2級未満の軽度後発障害。複数の場合もある。)による併合改定請求(前発年金の額改定請求及び後発年金請求)に対し、併合等級へ前発年金を額改定する処理(権利処理区分)をいう。その他障害は受給要件を満たすことが要求される。したがって、後発年金請求書、診断書及び額改定請求書等の提出が必要となる。尚、併合改定請求に額改定請求のみならず後発年金請求も含まれる(後発年金請求書の提出が要求される)のは、併合繰上げが認められず、併合改定の対象外とされた場合に後発年金の決定(裁定)を行い、前発年金と後発年金の選択が求められる場合を考慮したものと解する。この場合の後発年金は、3級の障害厚生年金に限られる。国年初診の後発障害(軽度障害)の場合、障害基礎年金非該当として不支給となる。

 

【3つの併合区分の比較表】

併合区分 併合等級の認定方法 年金の併合 額改定 年金の選択
併合(年金併合)
加重認定・併合認定 ×
初めて2級(障害併合) 併合認定 × ×
併合改定(額改定) 併合認定 × ×

 ※「○」:実施機関において行われる権利処理。

 ※「X」:実施機関において行われない権利処理。

 ※「△」:実施機関において実務上行われる場合がある権利処理(後述参照)。

 ※「実施機関」:各都道府県の事務センター又は日本年金機構本部。原則として、障害基礎年金は市区町村役場又は年金事務所、障害厚生年金は年金事務所が請求窓口となる。受理された請求に対し、障害基礎年金は日本年金機構の各都道府県にある事務センター、障害厚生年金は日本年金機構本部において、障害認定を含めて裁定が行われる。

 ※「併合認定」:併合等級(1級又は2級)が認められる場合に限られる。

 ※「加重認定」:併合等級(1級)が認められる場合に限られる。

 ※年金併合の場合、併合認定によるのは、前発年金が級落ち(改定後3級又は支給停止中)の場合である。

 

・「障害の併合を求める裁定請求」とは、後発(基準)障害に係る障害認定日請求又は事後重症請求(国年法30条~30条の3、厚年法47条~47条の3)を指し、20歳前障害による請求(国年法30条の4)は含まれないと解する。

 なぜなら、第一に、併合(年金併合)では、前発障害と後発障害の区分は受給権発生年月日で判断される。後発年金の受給権発生日は少なくとも20歳到達日(誕生日前日)以降であることが前提のため、後発障害が20歳前障害(20歳到達日「前」に初診日がある傷病による障害)となることは有り得ない(国年法30条の4第1項)。

 第二に、初めて2級(障害併合)では、後発年金請求において保険料納付要件等が問われる(国年法30条の3第2項、厚年法47条の3第2項)。20歳前障害は、保険料納付要件が問われないものである。

 第三に、併合改定では、後発障害はその他障害(2級未満の軽度障害)でなければならない(国年法34条4項、厚年法52条4項)。したがって、後発障害を20歳前障害(2級以上相当)とするわけにはいかない。

 そうすると、「後発障害」が20歳前障害である場合(必然的に前発障害と後発障害がいずれも20歳前障害となる場合)、障害年金の併合の対象とならない。

 これに対し「前発障害」が20歳前障害(2級以上該当)である場合、障害年金の併合(年金併合又は併合改定。障害併合を除く。)の対象となり得る。障害併合を除くのは、前発障害が2級以上該当では初めて2級(障害併合)の対象とならないからである。しかしながら、前発障害が20歳前傷病による2級未満の軽度障害の場合(20歳前障害による年金請求をしたことがない場合や、当該請求をしたものの障害基礎年金等級非該当として不支給処分を受けている場合)、後発障害(基準障害)による初めて2級(障害併合)の対象となり得ると解する。

 

【診断書の必要な枚数と現症日】

障害の併合を求める裁定請求 診断書の現症日と必要な枚数
併合請求(受給権者の後発年金請求) ●内部資料(受付・点検事務の手引き)に明記がないため、解釈論による。
1.併合請求(後発年金請求)が障害認定日請求である場合
(1)後発障害の障害認定日から1年以内に障害認定日請求をする場合
 次のA~Cの診断書が(原則として)必要と解する(Bの診断書は省略余地あり)。
 A「請求日前1月以内現症の前発傷病の診断書」各1枚(前発傷病数)
 B「障害認定日以降3月以内現症の後発傷病の診断書」1枚
 C「請求日前1月以内現症の後発傷病の診断書」1枚
(2)後発障害の障害認定日と請求日が1年以上離れている遡及認定日請求をする場合
 次のA~Cの診断書が必要と解する。
 A「請求日前1月以内現症の前発傷病の診断書」各1枚(前発傷病数)
 B「障害認定日以降3月以内現症の後発傷病の診断書」1枚
 C「請求日前1月以内現症の後発傷病の診断書」1枚
2.併合請求(後発年金請求)が事後重症請求である場合
 次のA及びCの診断書が必要と解する。
 A「請求日前1月以内現症の前発傷病の診断書」各1枚(前発傷病数)
 C「請求日前1月以内現症の後発傷病の診断書」1枚

※Aの診断書(直近の前発傷病の診断書)について
 直近の前発傷病の診断書(請求日前1月以内現症の前発傷病の診断書)については、提出不要と解釈したいところではある。
 しかしながら、他の請求態様と比べると、初めて2級請求の場合は「前発傷病」の診断書も要求されるし、また、併合改定請求の場合も「対象傷病」(全て)の診断書が要求されることとの均衡を図るべきである。複数の障害を併合した現在の障害の状態を把握するためには、重複障害を構成する各障害の直近の診断書でもって確認することが本筋と考えられる点では、各併合区分に共通するといえるからである。
 また、国年初診の後発障害の場合であって、前発年金に上乗せ障害厚生年金がある場合、併合処理が額改定処理に代替される場合がある。即ち、額改定処理では請求日1月以内現症の診断書が要求される。年金併合後の権利状態と額改定後の権利状態は同一視されるので、要求される診断書の現症も同様なものが要求されるであろう。
 当該代替処理が見込まれる場合、早期権利取得の観点からは、Aの診断書に加え、額改定請求書も請求時に提出しておくべきことになる。
 よって、併合請求(後発年金請求)が障害認定日請求の場合、遡及認定日請求か否かを問わず、A~Cの診断書全てが(原則として)必要であると解する。

※Bの診断書(障害認定日の後発傷病の診断書)について
 もっとも、請求日前1月以内に後発傷病の障害認定日がある場合、Bの診断書は不要と解する。Cの診断書(直近の後発傷病の診断書)で足りるからである。
 また、後発傷病の障害認定日が「障害認定日の特例」に該当する場合、Cの診断書の備考欄で「障害認定日の特例」の該当日及び該当状態を確認することができ、かつ、当該該当したことのみをもって障害認定を受けること(障害の状態次第で、術後の経過や予後等も加味した総合判断により上位等級が認定される場合があるが、そこまでの審査は希望しない旨)を承諾する書面(「遡及認定日にかかる申出書」)を提出する場合、Bの診断書の提出は省略可能と解する。当該Cの診断書で足りるからである。

※Cの診断書(直近の後発傷病の診断書)について
 直近の後発傷病の診断書(請求日前1月以内現症の後発傷病の診断書)が必要と解するのは、前発傷病の診断書と現症の許容範囲を合わせる趣旨による。
 通常の後発年金請求で要求されるのと同様で構わないとすれば、請求日前「3月」以内現症の後発傷病の診断書でよいことになる。併合請求の場合に添付する診断書の現症や枚数が内部資料(受付・点検事務の手引き)に明記されていない理由を鑑みると、現症について多少の幅をもつ運用を可能とする趣旨と解することもできそうである。
 しかしながら、後発傷病の障害認定日(又は事後重症の該当日)以降、速やかに併合請求の検討を行い、速やかな併合請求(後発年金請求)がなされることが想定されていると解釈するのが自然であり、併合請求(後発年金請求)が事後重症請求であることは想定されても、遡及認定日請求であることは想定されていないというべきである。
 もちろん、請求日前「1月」以内現症の診断書を揃えるのは(診断書作成担当医や請求人ないし代理人にとって)各種負担が大きいが、この点を不服申立ての理由とするのは得策ではなく、できるだけ現症日から早期に請求を行うべきなのである。
 併合(年金併合)後と併合改定(額改定)後の権利状態が同一視されることも考慮すると、Aの診断書(請求日前1月以内現症の前発傷病の診断書)が要求される理由と同様に、Cの診断書(請求日前1月以内現症の後発傷病の診断書)が要求されるものと解する。

 尚、前発年金が複数の前発傷病による複数の障害を併合して権利取得したものである場合、それぞれの前発傷病に係る診断書が必要と解する。また、後発傷病が複数の場合、それぞれの後発傷病について診断書及び年金請求書(別の併合請求)が必要となると解する。この場合は年金併合も受給権取得日順に多段階となり得る。先の併合が確定しないと後の併合も行えないはずである。もっとも、先の請求の権利確定前に後の請求を次々に行うことは、基本的には回避したい。請求月の確保目的で敢えて行う場合もある。

 実は、有利な併合等級による早期権利化及び費用極小化を図るためには、むしろ「削る」という高度な判断を的確に行えるか否かが鍵となるのである。
初めて2級請求(基準障害との併合による年金請求) ●「請求日前3月以内現症の対象傷病の診断書」各1枚(対象傷病数)
 ※「対象傷病」:前発障害の原因傷病(前発傷病)及び基準傷病。
 ただし、診断書の様式が同一であって、前発障害と基準障害の各状態を確認することができ、かつ、年金請求書の「傷病名」、「傷病の発生した日」及び「初診日」欄において、前発傷病及び基準傷病について各記載がある場合、1枚に纏めてよい。
併合改定請求(その他障害との併合による前発年金の額改定請求及び後発年金請求) ●「請求日前1月以内現症の対象傷病の診断書」各1枚(対象傷病数)
※「対象傷病」:前発年金の原因傷病(前発傷病)及びその他障害の原因傷病。

 

★障害の併合を求める裁定請求として、どのような請求方法を選んだらよいか。

次の3つに代表されるもののうち、該当しそうなものを参照し、より具体的に検討していくのがよいでしょう。

 

① 前発障害(2級該当)と後発障害(2級相当)の加重認定で併合等級(1級)を狙う場合

 →後述「1.併合請求-併合(年金併合)」参照。

② 前発障害(3級以下)と後発障害(3級相当)の併合認定で併合等級(2級)を狙う場合

 →後述「2.初めて2級請求-初めて2級(障害併合)」参照。

③ 前発障害(2級該当)と後発障害(3級相当)の併合認定で併合等級(1級)を狙う場合

 →後述「3.併合改定請求-併合改定」参照。

 

1.併合請求-併合(年金併合)

「併合請求」とは

前発年金との併合処理(年金併合)を求める後発年金請求をいう。

 

「併合(年金併合)」とは

「併合(年金併合)」とは、併合請求(後発年金請求)に対し、年金の併合処理(併合繰上げ後の併合等級による年金を決定する処理及び前発受給権を失権させる処理を併せた権利処理区分)をいう。併合等級による受給権に一本化するものである。尚、事務管轄上の都合で実務上、前発年金の額改定で代替処理する場合がある。 

 

「併合(年金併合)」の対象となる場合

●障害給付(障害基礎年金及び障害等級の1級又は2級の障害厚生年金をいう。尚、現在障害基礎年金が支給停止中のもの及び障害厚生年金が3級又は支給停止中であるが、過去に1級又は2級であったものを含む。)の受給権者に、更に障害給付(障害基礎年金及び障害等級が1級又は2級の障害厚生年金をいう。)を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害給付(併合後1級又は2級になるものに限る。)が支給される(国年法31条1項、厚年法47条の3第1項)。

【留意点】

 ・年金併合は、2級以上(過去2級以上であったものを含む。)の年金同士を併合する場合に行われる。

 ・前発と後発の障害部位が同一の場合、加重認定後の差引認定により、年金併合の対象となる可能性が激減する。即ち、併合3級以下となる可能性が激増する。

 ・年金併合において、前発障害と後発障害の区分は、受給権発生年月日で判断される。

 ・年金併合では、併合等級による年金の決定処理、前発年金の失権処理がなされる。

 ・年金併合の対象となる場合、後発年金の単独認定による支給決定(裁定)が行われることはない。

 ・年金併合では、一の実施機関で処理できない場合、前発年金の額改定で代替処理される場合がある(後述参照)。

 ・前発障害(改定後3級)の状態が該当する併合判定参考表の障害番号次第で、権利処理は異なる(後述参照)。

 

併合請求に対する権利処理

例1-1)前発年金(障基2級+障厚2級)+厚年初診の後発障害(2級相当)の場合-前発受給権者

●前発2級の障害基礎年金及び障害厚生年金の受給権者が、厚生年金保険加入中に初診日のある後発傷病による障害(2級相当)が生じたため、併合請求(後発障害厚生年金の裁定請求)をした場合(国年法31条1項、厚年法48条1項)

 ・前発障害(2級該当)は、単独認定により現在も2級と認められる(単独2級該当)。

 ・後発障害(2級相当)は、単独認定により2級と認められる(単独2級該当)。

 ・前発障害(障基・障厚2級該当)と後発障害(障基・障厚2級該当)は、年金併合の対象となる(国年法31条1項、厚年法48条1項)。

 ・前発障害(2級該当)と後発障害(2級該当)の加重認定により併合繰上げが認められる(併合1級該当)。

 ・そのため、併合1級の年金(障基1級+障厚1級)が決定(裁定)される。

 ・これに伴い、前発年金(障基2級+障厚2級)は失権する(国年法31条2項、厚年法48条2項)。

 →よって、併合1級の年金(障基1級+障厚1級)が支給される。

 

例1-2)前発年金(障基2級+障厚2級)+国年初診の後発障害(2級相当)の場合-前発受給権者

●前発2級の障害基礎年金及び障害厚生年金の受給権者が、国民年金のみ加入中に初診日のある後発傷病による障害(2級相当)が生じたため、併合請求(後発障害基礎年金の裁定請求)をした場合(国年法31条1項、厚年法52条の2第1項)

 ・前発障害(2級該当)は、単独認定により現在も2級と認められる(単独2級該当)。

 ・後発障害は、単独認定により2級と認められる(単独2級該当)。

 ・前発障害(障基・障厚2級該当)と後発障害(障基2級該当)は年金併合の対象となる(国年法31条1項)。

 ・前発障害(2級該当)と後発障害(2級該当)の加重認定により併合繰上げが認められる(併合1級該当)。

 ・そのため、併合1級の年金(障基1級+障厚1級)が支給決定(裁定)されるべきである。

 ・これに伴い、前発年金(障基2級+障厚2級)は失権するはずである(国年法31条2項、厚年法48条2項)。

 →よって、法律上は、併合1級の年金(障基1級+障厚1級)が支給されるべきところ、実務上は、前発年金(障基2級+障厚2級)の2級から1級への額改定後の年金(障基1級+障厚1級)が支給される(★注1)。

 具体的には、まず、事務センターが後発障害基礎年金請求を実体審査する。後発障害が単独認定により2級該当の場合、後発2級の障害基礎年金の支給決定(裁定)は行わず、後発障害基礎年金請求書、診断書及び認定表(写)を額改定請求書に添付し、日本年金機構本部へ送付する。機構本部でも、後発障害基礎年金の支給決定は行わず、前発障害(2級該当)と後発障害(2級該当)の加重認定後、前発年金(障基2級+障厚2級)を1級へ額改定し、額改定後の年金(障基1級+障厚1級)を支給するものとされる。尚、額改定前の内容の前発受給権は残らないため、失権規定(国年法31条2項、厚年法48条2項)に反するものではない。

 

★注1:当該実務処理は、一つの実施機関では権利処理が貫徹できない場合における事務管轄上の都合によるものであろう(参考文献:「国民年金・厚生年金保険障害給付(障害厚生)受付・点検事務の手引き」(日本年金機構本部障害年金業務部、平成25年9月))。次の2つの理由が考えられる。

 第一に、 後発障害基礎年金の決定処理の実施機関は事務センターとなるが、後発2級の障害基礎年金の支給決定(裁定)には前発2級の障害厚生年金の額改定を伴うため(厚年法52条の2第1項)、額改定処理については、機構本部が実施機関となる。つまり、事務センターのみでは権利処理を貫徹できない。

 第二に、法律上の要請である年金併合の結果として残る年金は、本事例の場合、2階建て年金一つである。そこで、本事例のような年金併合の対象となる場合については、実務上、機構本部で加重認定後に前発年金の2級から1級への額改定を行うことにより、法的要請による受給権と実務要請による受給権との内容(最終結果)を一致させれば、実質的な問題は生じない。新しいものに入れ替えたものを支給するのか、古いものを新しいものに書き換えて支給するのかの違いにすぎず、残る受給権の内容に違いはない。とはいえ、額改定請求書の提出を強いられることになる。

 

例1-3)前発年金(障基2級)+厚年初診の後発障害(2級相当)の場合-前発受給権者

●前発2級の障害基礎年金の受給権者が、厚生年金保険加入中に初診日のある後発傷病による障害(2級相当)が生じたため、併合請求(後発障害厚生年金の裁定請求)をした場合(国年法31条1項、厚年法52条の2第1項類推)

 ・前発障害(2級該当)は、単独認定により現在も2級と認められる(単独2級該当)。

 ・後発障害(2級相当)は、単独認定により2級と認められる(単独2級該当)。

 ・前発障害(障基2級該当)と後発障害(障基・障厚2級該当)は、年金併合の対象となる(国年法31条1項)。

 ・前発障害(2級該当)と後発障害(2級該当)の加重認定により併合繰上げが認められる(併合1級該当)。

 ・そのため、併合1級の年金(障基1級+障厚1級)が支給決定(裁定)される。

 ・これに伴い、前発年金(障基2級)は失権する(国年法31条2項)。

 →よって、併合1級の年金(障基1級+障厚1級)が支給される。

 

例1-4)前発年金(障基2級)+国年初診の後発障害(2級相当)の場合-前発受給権者

●前発2級の障害基礎年金の受給権者が、国民年金のみ加入中に初診日のある後発傷病による障害(2級相当)が生じたため、併合請求(後発障害基礎年金の裁定請求)をした場合(国年法31条1項)

 ・前発障害(2級該当)は、単独認定により現在も2級と認められる(単独2級該当)

 ・後発障害(2級相当)は、単独認定により2級と認められる(単独2級該当)。

 ・前発障害(障基2級該当)と後発障害(障基2級該当)は、年金併合の対象となる(国年法31条1項)。

 ・前発障害(2級該当)と後発障害(2級該当)の加重認定により併合繰上げが認められる(併合1級該当)。

 ・そのため、併合1級の年金(障基1級)が支給決定(裁定)される。

 ・これに伴い、前発年金(障基2級)は失権する(国年法31条2項)。

 →よって、併合1級の年金(障基1級)が支給される。

 

例1-5)前発年金(障基停止+障厚3級)+厚年初診の後発障害(2級相当)の場合-前発受給権者

●前発1級又は2級の障害基礎年金及び障害厚生年金の受給権者の障害が軽快し、3級に改定された後、その受給権者が、厚生年金保険加入中に初診日のある後発傷病による障害(2級相当)が生じたため、併合請求(後発障害厚生年金の裁定請求)をした場合(国年法31条1項、2項、36条2項但書、厚年法48条1項、2項)

 ・前発障害(3級へ改定後3級相当)は、単独認定により3級が認められる(単独3級該当)。

 ・後発障害(2級相当)は、単独認定により2級が認められる(単独2級該当)。

 ・前発障害(障基・障厚2級該当歴あり)+後発障害(障基・障厚2級該当)は、年金併合の対象となる(国年法31条1項、厚年法48条1項)。

(1)前発3級障害の状態が、併合判定参考表の障害5号に該当する場合

 ・後発障害は、単独認定により2級と認められる(単独2級該当)。

 ・前発障害(3級該当)と後発障害(2級該当)の併合認定により併合繰上げが認められる(併合1級該当)。

 ・そのため、併合1級の年金(障基1級+障厚1級)が支給決定(裁定)される。

 ・これに伴い、前発年金(障基停止+障厚3級)は失権する(国年法31条2項、厚年48条2項)。

 →よって、併合1級の年金(障基1級+障厚1級)が支給される。

(2)前発3級障害の状態が、併合判定参考表の障害6号~10号に該当する場合

 ・前発障害(3級該当)と後発障害(2級該当)の併合認定による併合繰上げは認められない(併合2級該当)。

 ・しかしながら、年金併合の対象なので、併合2級の年金(障基2級+障厚2級)が支給決定(裁定)される。

 ・これに伴い、前発年金(障基停止+障厚3級)は失権する(国年法31条2項、厚年48条2項)。

 →よって、併合2級の年金(障基2級+障厚2級)が支給される。

 

例1-6)前発年金(障基停止+障厚3級)+国年初診の後発障害(2級相当)の場合-前発受給権者

●前発1級又は2級の障害基礎年金及び障害厚生年金の受給権者の障害が軽快し、3級に改定された後、その受給権者が、国民年金のみ加入中に初診日のある後発傷病による障害(2級相当)が生じたため、併合請求(後発障害基礎年金の裁定請求)をした場合(国年法31条1項、2項、36条2項但書、厚年52条の2第1項)

 ・前発障害(3級へ改定後3級相当)は、単独認定により3級が認められる(単独3級該当)。

 ・後発障害(2級相当)は、単独認定により2級が認められる(単独2級該当)。

 ・前発障害(障基停止中)+後発障害(障基2級該当)は、年金併合の対象となる(国年法31条1項)。

(1)前発3級障害の状態が、併合判定参考表の障害5号に該当する場合

 ・前発障害(3級該当)と後発障害(2級該当)の併合認定により併合繰上げが認められる(併合1級該当)。

 ・そのため、併合1級の年金(障基1級+障厚1級)が支給決定(裁定)される。

 ・これに伴い、前発年金(障基停止+障厚3級)は失権する(国年法31条2項、厚年法48条2項)。

 →よって、法律上は、併合1級の年金(障基1級+障厚1級)が支給されるが、実務上は、前発年金(障基停止+障厚3級)の3級から1級への額改定後の年金(障基1級+障厚1級)が支給される(理由につき前掲★注1参照)。これを見込む場合、請求時に支給停止事由消滅届を提出する必要があると解する。

 具体的には、まず、事務センターが後発障害基礎年金請求を実体審査する。後発障害が単独認定により2級該当の場合、後発2級の障害基礎年金の支給決定(裁定)は行わず、後発障害基礎年金請求書、診断書及び認定表(写)を額改定請求書に添付し、日本年金機構本部へ送付する。機構本部でも、後発障害基礎年金の支給決定は行わず、前発障害(3級該当)と後発障害(2級該当)の併合認定後、前発年金(障基停止+障厚3級)を1級へ額改定し、額改定後の年金(障基1級+障厚1級)を支給するものとされる。この際、前発年金の支給停止部分は解除される。尚、額改定前の内容の前発受給権は残らないため、失権規定(国年法31条2項、厚年法48条2項)に反するものではない。

(2)前発3級障害の状態が、併合判定参考表の障害6号~10号に該当する場合

 ・前発障害(3級該当)と後発障害(2級該当)の併合認定による併合繰上げは認められない(併合2級該当)。

 ・しかしながら、年金併合の対象なので、併合2級の年金(障基2級+障厚2級)が支給決定(裁定)される。

 ・これに伴い、前発年金(障基停止+障厚3級)は失権する(国年法31条2項、厚年法48条2項)。

 →よって、法律上は、併合2級の年金(障基2級+障厚2級)が支給されるが、実務上は、前発年金(障基停止+障厚3級)の3級から2級への額改定後の年金(障基2級+障厚2級)が支給される(理由につき前掲★注1参照)。これを見込む場合、請求時に支給停止事由消滅届を提出する必要があると解する。

 具体的には、まず、事務センターが後発障害基礎年金請求を実体審査する。後発障害が単独認定により2級該当の場合、後発2級の障害基礎年金の支給決定(裁定)は行わず、後発障害基礎年金請求書、診断書及び認定表(写)を額改定請求書に添付し、日本年金機構本部へ送付する。機構本部でも、後発障害基礎年金の支給決定は行わず、前発障害(3級該当)と後発障害(2級該当)の併合認定後、前発年金(障基停止+障厚3級)を2級へ額改定し、額改定後の年金(障基2級+障厚2級)を支給するものとされる。この際、前発年金の支給停止部分は解除される。尚、額改定前の内容の前発受給権は残らないため、失権規定(国年法31条2項、厚年法48条2項)に反するものではない。

 

2.初めて2級請求-初めて2級(障害併合)

「初めて2級請求」とは

「初めて2級請求」とは、初めて1級又は2級に該当したことによる裁定請求(基準障害による年金請求)をいう。

障害等級の1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にある者(2級未満の軽度障害者。2級以上の該当歴がないものに限る。)が、後発傷病(基準傷病)により基準傷病の障害認定日以降65歳到達日前日までに、基準傷病による障害(基準障害)と他の障害(前発障害)とを併せ、初めて障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態に至ったときは請求することにより、当該障害を併合した障害の程度による障害給付が支給される。

 

「初めて2級(障害併合)」とは

「初めて2級(障害併合)」とは、初めて2級請求に対し、重複障害の併合認定により併合繰上げが認められた場合における併合等級(初めて1級又は2級該当)による年金(併合障害年金)を決定する処理、及び前発年金と併合障害年金を選択させる処理を併せた一連の権利処理をいうものと解する。

 

「初めて2級(障害併合)」の対象となる場合

●基準傷病の障害認定日以降65歳到達日前日までに、前発障害(2級未満の軽度障害。2級以上の該当歴がないもの。初診日要件及び保険料納付要件は問わない。)と基準障害を併せて、初めて2級以上に該当するに至った場合、請求することにより、当該障害を併合した障害の程度による年金(併合障害年金)が支給される。

【留意点】

 ・前発障害と基準障害の区分は、初診日により判断される。尚、初診日が同日の場合もあり得る。例えば、前発傷病が同日午前、基準傷病が同日午後に発生するような場合である。そのような場合も想定し、基準傷病の初診日は、前発傷病の「初診日以降」のものに限ると条文上も規定されている(国年法30条の3第1項、厚年法47条の3第1項)。

 ・前発障害は、初診日要件及び保険料納付要件は問われない。初めて2級請求の利点の一つである。

 ・前発障害は、2級未満であって、かつ、2級以上の該当歴がない軽度障害に限られる。単独では2級未満の軽度障害を複数併合して初めて2級に該当した場合に障害年金を支給する制度趣旨による。したがって、前発障害が2級相当であったが保険料納付要件が満たせず障害基礎年金請求を却下された者が、基準障害の発生を機に初めて2級請求をしても、初めて2級(障害併合)の対象とならず、後発障害に係る後発年金請求として単独認定の対象となる(前発障害は認定の対象とならない)と解する。

 ・基準障害は、初診日要件及び保険料納付要件を満たすことが必要である。基準障害を契機として初めて2級に該当した場合を保護する制度だからである。

 ・基準障害は、原則として、2級未満の軽度障害に限られると解する。本制度は、単独では2級未満の軽度障害を複数併合して初めて2級以上に該当した場合を保護するものだからである。しかしながら、基準障害が単独2級該当の場合を適用除外とする趣旨ではなく、基準障害が単独で2級該当の場合であっても、併合認定により併合等級が上位に繰り上がる場合(併合繰上げが認められる場合)、初めて2級(障害併合)の対象となり得ると解する。

 なぜなら、その他障害による併合改定(国年法34条4項、厚年法52条4項)の規定振り(後発障害である「その他障害」は2級未満に限定されている。)と異なり、基準障害による年金請求(国年法30条の3第1項、厚年法47条の3第1項)の規定上、基準障害は2級未満に限定されていない。

 また、後発障害の状態が3級相当か2級相当か微妙な場合、初めて2級請求をすべきか等、請求方法を検討することになるが、障害認定の結果どう転ぶか分からない状況下、基準障害が結果として2級に該当したからといって、初めて2級(障害併合)の対象外とされてしまうと、前発障害が無視されるだけでなく、差引認定が適用される懸念も生じることにもなる。もっとも、前発3級年金の受給権者の場合、基準障害との併合認定による併合2級も、後発障害との単独認定による単独2級も、もらえる年金額に変わりはない。併合繰上げがあればこそ「初めて2級(障害併合)」の意義が生じるのである。

 さらに、初めて2級には「初めて1級」も含まれるが、3級障害(軽度障害)同士では、併合(加重)認定表上、最上位となる併合番号は3号止まりのため、当該番号で1号を要求する併合1級(初めて1級)が認められることは、2つの障害の組合せを想定する限りは有り得ない。即ち、単独3級障害の複数の組合せで差引認定の適用を回避しつつ初めて1級該当となるためには、少なくとも3つ以上の別部位の3級障害(例えば、外部障害+内部障害+精神障害)が要求されるのである。前発3級障害と後発2級障害の場合ですら、前発障害が単独の障害である限り、併合繰上げが認められるためには、前発3級障害は併合判定参考表の障害5号に該当する場合に限定されている。基準障害で単独2級該当の場合を除くような解釈は、初めて2級(障害併合)の適用場面をあまりにも狭くしてしまうのである。

 そこで、併合繰上げが認められる場合に限り、基準障害が単独2級該当であっても、初めて1級又は2級に該当するものと解する。

 ・前発障害と基準障害の障害部位が同一の場合、併合認定後の差引認定から免れるのは、初めて2級(障害併合)の対象となる場合(初めて2級による年金の決定がされる場合)に限られる(認定基準第3第2章第1節3(3))。

 したがって、初めて2級請求をしたからといって、必ずしも差引認定から免れることができるとは限らない。前発障害と基準障害の障害部位が同一の場合、併合認定により併合繰上げが認められない限り、初めて2級(障害併合)の対象外となり、差引認定が適用されると解する。

 ・国年初診の基準障害の場合、上乗せ障害厚生年金がある2階建て年金が支給されるのは、前発年金(障厚3級)の受給権者(2級以上の該当歴がないもの)が初めて2級請求をした場合に限られる。初めて2級による年金は、前発年金に影響を与えることはないが、その成立過程において前発障害の程度からの影響を受けるにすぎない。前発年金は残るため、年金選択の対象となる。したがって、前発年金が2階建てだからといって、初めて2級による年金も2階建てとなるものではない。厚年初診の基準障害の場合であれば、初めて2級による年金も2階建てとなり得るのである。

 ・前発障害が3級に満たず、職権改定により障害厚生年金が支給停止中の場合であって、基準障害が単独2級以上該当の場合、基準障害の制度趣旨の原則論に従い、初めて2級(障害併合)の対象とならず、単独認定による後発年金の決定(裁定)がされるものと解する。

 ・前発受給権は残るため、後発(基準)年金請求書、診断書及び選択申出書等の提出が必要となる。

 

初めて2級請求に対する権利処理(前発受給権ありの場合)-前発受給権者

【留意点】

 ・初めて2級(障害併合)の対象となる場合、障害併合後も前発受給権は残るため、障害年金は選択支給となる。

 ・障害併合の権利処理においては、併合等級による年金の決定は行われるが、年金の併合や額改定は行われない。

 ・前後の3級障害の状態が該当する併合判定参考表の障害番号次第で、権利処理が異なる。

 

例2-1-1)前発年金(障厚3級)+厚年初診の後発障害(2級相当)の場合-前発受給権者

●前発3級の障害厚生年金の受給権者(2級以上の該当歴がないもの)が、厚生年金保険加入中に初診日のある後発傷病による障害(2級相当)が生じたため、初めて2級請求(基準障害による障害厚生年金の裁定請求)をした場合(厚年法47条の3第1項)

 ・前発障害(3級該当)は、単独認定により現在も3級が認められる(単独3級該当)。

 ・基準障害(2級相当)は、単独認定により2級が認められる(単独2級該当)。

(1)前発3級障害の状態が、併合判定参考表の障害5号に該当する場合

 ・前発障害(3級該当)と基準障害(2級該当)の併合認定により併合繰上げが認められる(初めて1級該当)。

 ・そのため、初めて1級年金(障基1級+障厚1級)が支給決定(裁定)される。

 ・したがって、後発年金の単独認定による支給決定(裁定)は、不要となり行われない。

 →よって、前発年金(障厚3級)と初めて1級年金(障基1級+障厚1級)の選択支給となる。

(2)前発3級障害の状態が、併合判定参考表の障害6号~10号に該当する場合

 ・前発障害(3級該当)と基準障害(2級該当)の併合認定による併合繰上げは認められない(併合2級該当)。

 ・そのため、初めて2級(障害併合)の対象とならない。

 ・したがって、初めて2級年金の支給決定(裁定)は、行われない。

 ・そこで、後発年金(障厚2級)が基準障害の単独認定により支給決定(裁定)される。

 →よって、前発年金(障厚3級)と後発年金(障厚2級)の選択支給となる。

 

例2-1-2)前発年金(障厚3級)+厚年初診の後発障害(3級相当)の場合-前発受給権者

●前発3級の障害厚生年金の受給権者(2級以上の該当歴がないもの)が、厚生年金保険加入中に初診日のある後発傷病による障害(3級相当)が生じたため、初めて2級請求(基準障害による障害厚生年金の裁定請求)をした場合(国年法30条の3、厚年法47条の3第1項)

 ・前発障害(3級該当)は、単独認定により現在も3級が認められる(単独3級該当)。

 ・基準障害(3級相当)は、単独認定により3級が認められる(単独3級該当)。

(1)前発障害と基準障害の少なくとも一方の3級障害の状態が、併合判定参考表の障害5号又は6号に該当する場合

 ・前発障害(3級該当)と基準障害(3級該当)の併合認定により併合繰上げが認められる(初めて2級該当)。

 ・そのため、初めて2級年金(障基2級+障厚2級)が支給決定(裁定)される。

 ・したがって、後発年金の単独認定による支給決定(裁定)は、不要となり行われない。

 →よって、前発年金(障厚3級)と初めて2級年金(障基2級+障厚2級)の選択支給となる。

(2)前発障害と基準障害の両方の3級障害の状態が、併合判定参考表の障害7号~10号に該当する場合

 ・前発障害(3級該当)と基準障害(3級該当)の併合認定による併合繰上げは認められない(併合3級該当)。

 ・そのため、初めて2級(障害併合)の対象とならない。

 ・したがって、初めて2級年金の支給決定(裁定)は、行われない。

 ・そこで、後発年金(障厚3級)が基準障害の単独認定により支給決定(裁定)される。

 →よって、前発年金(障厚3級)と後発年金(障厚3級)の選択支給となる。

 

例2-1-3)前発年金(障厚3級)+国年初診の後発障害(2級相当)の場合-前発受給権者

●前発3級の障害厚生年金の受給権者(2級以上の該当歴がないもの)が、国民年金のみ加入中に初診日のある後発傷病による障害(2級相当)が生じたため、初めて2級請求(基準障害による障害基礎年金の裁定請求)をした場合(国年法30条の3第1項)

 ・前発障害(3級該当)は、単独認定により現在も3級が認められる(単独3級該当)。

 ・基準障害(2級相当)は、単独認定により2級が認められる(単独2級該当)。

(1)前発3級障害の状態が、併合判定参考表の障害5号に該当する場合

 ・前発障害(3級該当)と基準障害(2級該当)の併合認定により併合繰上げが認められる(初めて1級該当)。

 ・そのため、初めて1級年金(障基1級)が支給決定(裁定)される。

 ・したがって、後発年金の単独認定による支給決定(裁定)は、不要となり行われない。

 →よって、前発年金(障厚3級)と初めて1級年金(障基1級)の選択支給となる。

(2)前発3級障害の状態が、併合判定参考表の障害6号~10号に該当する場合

 ・前発障害(3級該当)と基準障害(2級該当)の併合認定による併合繰上げは認められない(併合2級該当)。

 ・そのため、初めて2級(障害併合)の対象とならない。

 ・したがって、初めて2級年金の支給決定(裁定)は、行われない。

 ・そこで、後発年金(障基2級)が基準障害の単独認定により支給決定(裁定)される。

 →よって、前発年金(障厚3級)と後発年金(障基2級)の選択支給となる。

 

例2-1-4)前発年金(障厚3級)+国年初診の後発障害(3級相当)の場合-前発受給権者

●前発3級の障害厚生年金の受給権者(2級以上の該当歴がないもの)が、国民年金のみ加入中に初診日のある後発傷病による障害(3級相当)が生じたため、初めて2級請求(基準障害による障害基礎年金の裁定請求)をした場合(国年法30条の3第1項)

 ・前発障害(3級該当)は、単独認定により現在も3級が認められる(単独3級該当)。

 ・基準障害(3級相当)は、単独認定により3級が認められる(単独3級該当)。

(1)前発障害と基準障害の少なくとも一方の3級障害の状態が、併合判定参考表の障害5号又は6号に該当する場合

 ・前発障害(3級該当)と基準障害(3級該当)の併合認定による併合繰上げが認められる(初めて2級該当)。

 ・そのため、初めて2級年金(障基2級)が支給決定(裁定)される。

 ・したがって、後発年金の単独認定による支給決定(裁定)は、不要となり行われない。

 →よって、前発年金(障厚3級)と初めて2級年金(障基2級)の選択支給となる。

(2)前発障害と基準障害の両方の3級障害の状態が、併合判定参考表の障害7号~10号に該当する場合

 ・前発障害(3級該当)と基準障害(3級該当)の併合認定による併合繰上げは認められない(併合3級該当)。

 ・そのため、初めて2級(障害併合)の対象とならない。

 ・したがって、初めて2級年金の支給決定(裁定)は、行われない。

 ・当該基準障害による年金請求は、基礎年金等級非該当のため、不支給決定される。

 →よって、前発年金(障厚3級)が、これまで通り支給される(現状維持)。

 

初めて2級請求に対する権利処理(前発受給権の取得歴がない場合)-前発軽度障害者

【留意点】

 ・前発受給権の取得歴がなく、初めて2級(障害併合)の対象となる場合、当該併合後の年金の単独支給となる。

 ・前発受給権の取得歴がなく、初めて2級(障害併合)の対象とならない場合、後発年金の単独支給となり得る。

 ・前後の3級障害の状態が該当する併合判定参考表の障害番号次第で、権利処理が異なる。

 

例2-2-1)国年初診の前発障害(3級相当)+厚年初診の後発障害(2級相当)の場合-前発軽度障害者

●国民年金のみ加入中の前発傷病で障害の状態(3級相当)にある者が、厚生年金保険加入中に初診日のある後発傷病による障害(2級相当)が生じたため、初めて2級請求(基準障害による障害厚生年金の裁定請求)をした場合(厚年法47条の3第1項、国年法30条の2第4項類推)

 ・前発障害(3級相当)は、単独認定により3級が認められる(単独3級該当)。

 ・基準障害(2級相当)は、単独認定により2級が認められる(単独2級該当)。

(1)前発3級障害の状態が、併合判定参考表の障害5号に該当する場合

 ・前発障害(3級該当)と基準障害(2級該当)の併合認定により併合繰上げが認められる(初めて1級該当)。

 ・そのため、初めて1級年金(障基1級+障厚1級)が支給決定(裁定)される。

 ・したがって、後発年金の単独認定による支給決定(裁定)は、不要となり行われない。

 ・尚、前発年金は、元より存在していない。

 →よって、初めて1級年金(障基1級+障厚1級)が支給されると解する。

(2)前発3級障害の状態が、併合判定参考表の障害6号~10号に該当する場合

 ・前発障害(3級該当)と基準障害(2級該当)の併合認定による併合繰上げは認められない(併合2級該当)。

 ・そのため、初めて2級(障害併合)の対象とならない。

 ・したがって、初めて2級年金の支給決定(裁定)は、行われない。

 ・そこで、後発年金(障基2級+障厚2級)が基準障害の単独認定により支給決定(裁定)される。

 ・尚、前発年金は、元より存在していない。

 →よって、後発年金(障基2級+障厚2級)が支給されると解する。

 

例2-2-2)国年初診の前発障害(3級相当)+厚年初診の後発障害(3級相当)の場合-前発軽度障害者

●国民年金のみ加入中の前発傷病で障害の状態(3級相当)にある者が、厚生年金保険加入中に初診日のある後発傷病による障害(3級相当)が生じたため、初めて2級請求(基準障害による障害厚生年金の裁定請求)をした場合(厚年法47条の3第1項)

 ・前発障害(3級相当)は、単独認定により3級が認められる(単独3級該当)。

 ・基準障害(3級相当)は、単独認定により3級が認められる(単独3級該当)。

(1)前発障害と基準障害の少なくとも一方の3級障害の状態が、併合判定参考表の障害5号又は6号に該当する場合

 ・前発障害(3級該当)と基準障害(3級該当)の併合認定により併合繰上げが認められる(初めて2級該当)。

 ・そのため、初めて2級年金(障基2級+障厚2級)が支給決定(裁定)される。

 ・したがって、後発年金の単独認定による支給決定(裁定)は、不要となり行われない。

 ・尚、前発年金は、元より存在していない。

 →よって、初めて2級年金(障基2級+障厚2級)が支給される。

(2)前発障害と基準障害の両方の3級障害の状態が、併合判定参考表の障害7号~10号に該当する場合

 ・前発障害(3級該当)と基準障害(3級該当)の併合認定による併合繰上げは認められない(併合3級該当)。

 ・そのため、初めて2級(障害併合)の対象とならない。

 ・したがって、初めて2級年金の支給決定(裁定)は、行われない。

 ・そこで、後発年金(障厚3級)が基準障害の単独認定により支給決定(裁定)される。

 ・尚、前発年金は、元より存在していない。

 →よって、後発年金(障厚3級)が支給される。

 

例2-2-3)国年初診の前発障害(3級相当)+国年初診の後発障害(2級相当)の場合-前発軽度障害者

●国民年金加入中の前発傷病で3級相当の状態にある者が、国民年金加入中に初診日のある後発傷病による障害(2級相当)が生じたため、初めて2級請求(基準障害による障害基礎年金の裁定請求)をした場合(国年法30条の3第1項)

 ・前発障害(3級相当)は、単独認定により3級が認められる(単独3級該当)。

 ・基準障害(2級相当)は、単独認定により2級が認められる(単独2級該当)。

(1)前発3級障害の状態が、併合判定参考表の障害5号に該当する場合

 ・前発障害(3級該当)と基準障害(2級該当)の併合認定による併合繰上げが認められる(初めて1級該当)。

 ・そのため、初めて1級年金(障基1級+障厚1級)が支給決定(裁定)される。

 ・したがって、後発年金の単独認定による支給決定(裁定)は、不要となり行われない。

 ・尚、前発年金は、元より存在していない。

 →よって、初めて1級年金(障基1級+障厚1級)が支給される。

(2)前発3級障害の状態が、併合判定参考表の障害6号~10号に該当する場合

 ・前発障害(3級該当)と基準障害(2級該当)の併合認定による併合繰上げは認められない(併合2級該当)。

 ・そのため、初めて2級(障害併合)の対象とならない。

 ・したがって、初めて2級年金の支給決定(裁定)は、行われない。

 ・そこで、後発年金(障厚2級)が基準障害の単独認定により支給決定(裁定)される。

 ・尚、前発年金は、元より存在していない。

 →よって、後発年金(障厚2級)が支給される。

 

例2-2-4)国年初診の前発障害(3級相当)+国年初診の後発障害(3級相当)の場合-前発軽度障害者

●国民年金のみ加入中の前発傷病で障害の状態(3級相当)にある者が、国民年金加入中に初診日のある後発傷病による障害(3級相当)が生じたため、初めて2級請求(基準障害による障害基礎年金の裁定請求)をした場合(国年法30条の3第1項)

 ・前発障害(3級相当)は、単独認定により3級が認められる(3級該当)。

 ・基準障害(3級相当)は、単独認定により3級が認められる(3級該当)。

(1)前発障害と基準障害の少なくとも一方の3級障害の状態が、併合判定参考表の障害5号又は6号に該当する場合

 ・前発障害(3級該当)と基準障害(3級該当)の併合認定による併合繰上げが認められる(初めて2級該当)。

 ・そのため、初めて2級年金(障基2級)が支給決定(裁定)される。

 ・したがって、後発年金の単独認定による支給決定(裁定)は、不要となり行われない。

 ・尚、前発年金は、元より存在していない。

 →よって、初めて2級年金(障基2級)が支給される。

(2)前発障害と基準障害の両方の3級障害の状態が、併合判定参考表の障害7号~10号に該当する場合

 ・前発障害(3級該当)と基準障害(3級該当)の併合認定による併合繰上げは認められない(併合3級該当)。

 ・そのため、初めて2級(障害併合)の対象とならない。

 ・したがって、初めて2級年金の支給決定(裁定)は、行われない。

 ・当該基準障害による年金請求は、障害基礎年金等級非該当として不支給決定される。

 ・尚、前発年金は、元より存在していない。

 →よって、支給される障害年金はない(現状維持)。

 

3.併合改定請求-併合改定

併合改定請求とは

「併合改定請求」とは、額改定請求の一種であり、前発障害(2級以上該当。2級以上の該当歴がある現在2級未満の場合を含む。)とその他障害(2級未満の後発軽度障害)の併合認定による併合繰上げ後の併合等級の年金(併合障害年金)の支給を求める諸手続(前発年金の額改定請求及び後発年金の裁定請求)をいう。

 

併合改定とは

「併合改定」とは、2級以上(2級以上の該当歴がある現在2級未満の場合を含む。)の前発障害とその他障害(2級未満の軽度後発障害)の併合認定により併合繰上げ(上位等級となる併合等級)が認められる場合に行われる権利処理区分である。尚、併合改定は前発年金の額改定であって、本来的には年金の併存を生じさせるものではないが、併合繰上げ(上位等級となる併合等級)が認められず、後発年金の決定(裁定)が行われた場合(併合改定の対象とならない場合)、前発年金と後発年金が併存することになるため、選択処理も行われる(選択申出書の提出が必要となる)。

 

「併合改定」の対象となる場合

●障害基礎年金(現在支給停止中のものを含む。)及び1級又は2級の障害厚生年金(現在3級又は支給停止中であるが、2級以上の該当歴がある現在2未満の場合を含む。)の受給権者に、更にその他障害(2級未満の軽度後発障害に限る。)が生じた場合、前後の障害を併合した障害の程度による障害給付が支給される。この場合、当該後発障害は受給要件を満たしていることが要求される。

 

【留意点】

・前発と後発の障害部位が同一の場合、併合認定後の差引認定により、併合改定の対象となる可能性が激減する。

 

併合改定請求に対する権利処理-前発受給権者

【留意点】

・併合改定請求は、額改定請求の一種であるが、年金請求書の提出を要する点で、通常の額改定請求と異なる。即ち、その他障害(2級未満の後発軽度障害。複数の場合もある。)による併合改定(額改定)請求については、後発障害の受給要件が確認されるため、額改定請求書及び診断書のみならず、年金請求書等の提出も求められる。後発年金請求を行うのは、併合改定が行われない場合に後発障害年金の決定を得て選択支給の余地を作るためと解する。

・前後の3級障害の状態が該当する併合判定参考表の障害番号次第で、権利処理が異なる(提出書類も異なる)。

・併合改定は、額改定(等級改定)にすぎず、2階建て年金の場合、各階の等級は一致するように処理される。したがって、前発年金が2階建て年金でない(例えば、前発年金が2級の障害基礎年金のみ、あるいは3級障害厚生年金のみの)場合、後発障害厚生年金請求をしたからといって、額改定により1階建てから2階建ての年金になることはない。 尚、前発年金が障害基礎年金(支給停止)及び障害厚生年金(3級)の場合、2階建て年金に該当する。前発年金が2階建てであれば、後発年金が障害厚生年金(3級)の場合や、後発障害が障害基礎年金等級非該当の場合であっても、前発年金の額改定後の年金は、併合後の等級による2階建てとなる。

 

例3-1)前発年金(障基2級)+国年初診の後発障害(3級相当)の場合-前発受給権者

●前発2級の障害基礎年金の受給権者が、国民年金のみ加入中に初診日のある後発傷病による障害(3級相当)が生じたため、その他障害による併合改定請求(前発年金の額改定請求及び後発障害基礎年金の裁定請求)をした場合(国年法34条4項)

 ・前発障害(2級該当)は、単独認定により現在も2級が認められる(単独2級該当)。

 ・その他障害(3級相当)は、単独認定により3級が認められる(単独3級該当)。

(1)その他障害の状態が、併合判定参考表の障害5号に該当する場合

 ・前発障害(2級該当)とその他障害(3級該当)の併合認定による併合繰上げが認められる(併合1級該当)。

 ・前発年金(障基2級)が2級から1級へ額改定(障基1級)される(1階建て年金)。

 ・後発年金の単独認定による支給決定は、不要かつ基礎年金等級非該当のため、行われない。

 →よって、前発年金の額改定後の年金(障基1級)が支給される。

(2)その他障害の状態が、併合判定参考表の障害6号~10号に該当する場合

 ・前発障害(2級該当)とその他障害(3級該当)の併合認定による併合繰上げは認められない(併合2級該当)。

 ・そのため、前発年金は併合改定(額改定)の対象とならない(額改定請求は却下決定される)。

 ・当該後発年金請求は、障害基礎年金等級非該当のため、不支給決定される。

 →よって、従前の年金(障基2級)が支給される(現状維持)。

 

例3-2)前発年金(障基2級+障厚2級)+国年初診の後発障害(3級相当)の場合-前発受給権者

●前発2級の障害基礎年金及び障害厚生年金の受給権者が、国民年金のみ加入中に初診日のある後発傷病による障害(3級相当)が生じたため、その他障害による併合改定請求(前発年金の額改定請求及び後発障害基礎年金の裁定請求)をした場合(国年法34条4項、厚年法52条4項)

 ・前発障害(2級該当)は、単独認定により現在も2級が認められる(単独2級該当)。

 ・その他障害(3級相当)は、単独認定により3級が認められる(単独3級該当)。

(1)その他障害(後発3級障害)の状態が、併合判定参考表の障害5号に該当する場合

 ・前発障害(2級該当)とその他障害(3級該当)の併合認定により併合繰上げが認められる(併合1級該当)。

 ・そのため、前発年金(障基2級+障厚2級)が2級から1級へ額改定(障基1級+障厚1級)される。

 ・後発年金の単独認定による支給決定は、不要かつ障害基礎年金等級非該当のため、行われない。

 →よって、前発年金の額改定後の年金(障基1級+障厚1級)が支給される。

(2)その他障害(後発3級障害)の状態が、併合判定参考表の障害6号~10号に該当する場合

 ・前発障害(2級該当)とその他障害(3級該当)の併合認定による併合繰上げは認められない(併合2級該当)。

 ・そのため、前発年金は併合改定(額改定)の対象とならない(額改定請求は却下決定される)。

 ・また、当該後発年金請求は、障害基礎年金等級非該当のため、不支給決定される。

 →よって、従前の年金(障基2級+障厚2級)が支給される(現状維持)。

 

例3-3)前発年金(障基2級+障厚2級)+厚年初診の後発障害(3級相当)の場合-前発受給権者

●前発2級の障害基礎年金及び障害厚生年金の受給権者が、厚生年金保険加入中に初診日のある後発傷病による障害(3級相当)が生じたため、その他障害による併合改定請求(前発年金の額改定請求及び後発障害厚生年金の裁定請求)をした場合(国年法34条4項、厚年法52条4項)

 ・前発障害(2級該当)は、単独認定により現在も2級が認められる(単独2級該当)。

 ・その他障害(3級相当)は、単独認定により3級が認められる(単独3級該当)。

(1)その他障害(3級障害)の状態が、併合判定参考表の障害5号に該当する場合

 ・前発障害(2級該当)とその他障害(3級該当)の併合認定により併合繰上げが認められる(併合1級該当)。

 ・そのため、前発年金(障基2級+障厚2級)が2級から1級へ額改定(障基1級+障厚1級)される。

 ・後発年金の単独認定による支給決定(裁定)は、不要のため、行われない。

 →よって、前発年金の額改定後の年金(障基1級+障厚1級)が支給される。

(2)その他障害(3級障害)の状態が、併合判定参考表の障害6号~10号に該当する場合

 ・前発障害(2級該当)とその他障害(3級該当)の併合認定による併合繰上げは認められない(併合2級該当)。

 ・そのため、前発年金は併合改定(額改定)の対象とならない(額改定請求は却下決定される)。

 ・そこで、後発年金(障厚3級)がその他障害の単独認定により支給決定(裁定)される。

 →よって、前発年金(障基2級+障厚2級)と後発年金(障厚3級)の選択支給となる。

 

例3-4)前発年金(障基2級)+厚年初診の後発障害(3級相当)の場合-前発受給権者

●前発2級の障害基礎年金の受給権者が、厚生年金保険加入中に初診日のある後発傷病による障害(3級相当)が生じたため、その他障害による併合改定請求(前発年金の額改定請求及び後発障害厚生年金の裁定請求)をした場合(国年法34条4項、厚年法47条第1項、47条の2第1項)

 ・前発障害(2級該当)は、単独認定により現在も2級が認められる(単独2級該当)。

 ・その他障害(3級相当)は、単独認定により3級が認められる(単独3級該当)。

(1)その他障害(3級障害)の状態が、併合判定参考表の障害5号に該当する場合

 ・前発障害(2級該当)とその他障害(3級該当)の併合認定により併合繰上げが認められる(併合1級該当)。

 ・そのため、前発年金(障基2級)が2級から1級へ額改定(障基1級)される(1階建て年金)。

 ・必ずしも増額改定となるとは限らないため、後発年金(障厚3級)が単独認定により支給決定(裁定)される。

 →よって、前発年金の額改定後の年金(障基1級)と後発年金(障厚3級)の選択支給となる。

(2)その他障害(3級障害)の状態が、併合判定参考表の障害6号~10号に該当する場合

 ・前発障害(2級該当)とその他障害(3級該当)の併合認定による併合繰上げは認められない(併合2級該当)。

 ・そのため、前発年金は併合改定(額改定)の対象とならない(額改定請求は却下決定される)。

 ・そこで、後発年金(障厚3級)がその他障害の単独認定により支給決定(裁定)される。

 →よって、前発年金(障基2級)と後発年金(障厚3級)の選択支給となる。