障害状態要件(その他の障害)

18.「その他の障害」の障害状態要件

※上記画像と本文の内容とは無関係です。

 

【目次】

18.「その他の障害」の障害状態要件

 

【注1】以下、根拠条文等について、次のように略記する場合があります。

・「節」は「障害認定基準」、「欄」は「診断書」を指すものとします。

 例1)「認定基準第3第1章第18節」→「第18節」

 例2)「血液・造血器その他の障害」の診断書(様式120号の7)第13欄→「第13欄」

  ※その他の障害の場合、現症時の障害の状態を最も的確に表わすには前記様式が適切な場合が多くなります。

  ※複数の障害が併存する重複障害で請求する場合、様式の異なる複数の診断書を用いる場合があります。

  →診断書の様式が異なる場合、同種の記載欄の番号が本頁記載のものとは異なる場合があります。

【注2】本頁の例示は、認定基準の例示及び公開情報から推察し構築したものも含む場合があります。

 ※「公開情報」:障害年金の認定に関する専門家会合の議事録等。

 

18.「その他の障害」の障害状態要件

■「その他の障害」の原因となった請求傷病(その他の疾患)による障害の状態が、障害認定時期に政令別表に定める障害の程度に該当するものであること(国年令別表、厚年令別表第1、認定基準第3第1章第18節1)。

 

※「その他の障害」:認定基準第3第1章第1節~17節において取り扱われていない疾患による障害。

  例1)消化器障害:胃切除後症候群等。

  例2)免疫機能障害:AIDS等。

  例3)排泄機能障害:人工肛門を造設した場合等。

  例4)遷延性意識障害:遷延性植物状態(意識障害により昏睡した状態が3月を超えて継続している状態)。

  例5)その他の障害(症状):脳脊髄液減少症(脳脊髄液漏出症)による全身症状。

   例5-1)頭痛、頸部痛、眩暈、耳鳴、視機能障害、倦怠、易疲労感等。

※「その他の疾患」:認定基準第3第1章第1節~17節において取り扱われていない疾患(医原病、難病等)。

 <腹部臓器・骨盤臓器の術後後遺症>

  例1)胃切除によるもの:胃切除後症候群(ダンピング症候群、輸入脚症候群、絞扼性イレウス等)。

  例2)短絡的腸吻合術によるもの:盲管症候群、吻合部潰瘍等。

  例3)虫垂切除等によるもの:癒着性腸閉塞、癒着性腹膜炎。

  例4)小腸の大量切除によるもの:短腸症候群。

  例5)腸ろう(腸瘻):クローン病、潰瘍性大腸炎等に対し、腸瘻を造設したもの(経口摂取が困難な状態)。

 <事故や外傷等による後遺症>

  例6)脳脊髄液減少症(脳脊髄液漏出症):交通事故やスポーツ外傷等の衝撃により脊髄の硬膜が破れ、脳脊髄液が漏出し、減少することによって、頭痛、頸部痛、眩暈、耳鳴、倦怠、不眠、記憶障害等の様々な症状を呈する疾患。本疾患を請求傷病とする場合、平成29年8月以降は「その他の障害用」の診断書(様式120号の7)を用いる。ただし、従前通り「肢体の障害用」(様式120号の3)でも構わない。

 <人工臓器等(人工肛門・新膀胱)>

  例7)人工肛門を造設したもの。

  例8)新膀胱を造設したもの。

  例9)尿路変更術を施したもの。

 <遷延性植物状態>

  例10)遷延性植物状態:遷延性意識障害(意識障害により昏睡した状態が3月を超えて継続している状態)。 

 <難病の一部>

  例11)いわゆる難病(指定難病を含む。)のうち、第1節~17節において取り扱われていないもの。

 

※「障害認定時期」:次の場合を除き、原則に従う(認定基準第2の2)。

(1)人工肛門を造設した場合(第18節2(3)イ)

 →人工肛門の造設日から起算して6月を経過した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)

(2)新膀胱を造設した場合(同前)

 →新膀胱の造設日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)

(3)尿路変更術を施した場合(同前)

 →尿路変更術の施行日から起算して6月を経過した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)

(4)人工肛門を造設し、かつ、新膀胱を造設した場合(第18節2(3)イ(ア))

 →人工肛門の造設日から起算して6月を経過した日又は新膀胱の造設日のいずれか遅い日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)

(5)人工肛門を造設し、かつ、尿路変更術を施した場合(同前(イ))

 →人工肛門の造設日又は尿路変更術の施行日のいずれか遅い日から起算して6月を経過した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)

(6)人工肛門を造設し、かつ、完全排尿障害状態にある場合(同前(ウ))

 ※「完全排尿障害状態」:カテーテル留置又は自己導尿の常時施行を必要とする状態。

 →人工肛門の造設日又は完全排尿状態に至った日のいずれか遅い日から起算して6月を経過した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)

(7)遷延性植物状態の場合(第18節2(4)イ)

 →遷延性植物状態に至った日から起算して3月経過した日以後、医学的観点から機能回復が殆ど望めないと認められるとき(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)

 

●「その他の障害」の障害状態要件は、主に診断書の記載事項を考慮して総合的に判断される。

 

※「診断書」:その他の障害の場合、現行上8つ全ての様式が考えられる(第18節2(1)参考)。

 →その他の障害の場合、主に「血液・造血器その他の障害」の診断書(様式120号の7)が用いられる。

 例1)脳死状態の場合

  ※「脳死状態」:脳幹を含む脳の機能が不可逆的に停止するに至った状態(医学的脳死)。法的脳死は含まない。

  →「肢体の障害用」の診断書(様式120号の3)が用いられる。

   尚、脳死状態と診断した日を診断書の備考欄(第23欄)に明記する必要がある。

    例)「平成〇年〇月〇日、脳死状態と診断」

 例3)遷延性植物状態の場合

  ※「遷延性植物状態」:意識障害により昏睡した状態が3月を超えて継続している場合。

  →「肢体の障害用」の診断書(様式120号の3)が用いられる。

   尚、遷延性植物状態と診断した日を診断書の備考欄(第23欄)に明記する必要がある。

    例)「平成〇年〇月〇日、遷延性植物状態と診断」

 例4)人工呼吸器を常時装着した場合

  →「肢体の障害用」(様式120号の3)又は「呼吸器疾患の障害用」(様式120号の5)の診断書を用いる。

   尚、人工呼吸器の装着日及び常時装着の旨を診断書の備考欄(第23欄又は第17欄)に明記する必要がある。

    例)「平成〇年〇月〇日以後、人工呼吸器を常時装着」

 

Ⅰ.「その他の障害」に係る診断書の記載における考慮要素

 

1.症状(第15欄1)

(1)自覚症状

(2)他覚所見

 

2.検査所見(第15欄2)

(1)血液・生化学検査

 ① 赤血球数(単位:万/μL)

 ⓶ ヘモグロビン濃度(単位:g/dL)

 ③ ヘマトクリット(単位:%)

 ④ 血清総蛋白(単位:g/dL)

 ⑤ 血清アルブミン(単位:g/dL)

(2)その他の検査成績

 

3.人工臓器等(第15欄3)

(1)人工肛門造設の有無、造設年月日及び閉鎖年月日。

(2)尿路変更術の有無、造設年月日及び閉鎖年月日。

(3)新膀胱造設の有無、手術年月日。

(4)自己導尿の常時施行の有無、開始年月日及び終了年月日。

(5)完全尿失禁状態の有無及びカテーテル留置年月日。

(6)その他の手術の有無、手術名及び手術年月日。

 

4.一般状態(一般状態区分表)(第12欄)

 ・次の一般状態区分表の区分は、その他の疾患に共通する必須の考慮要素である。

 

【一般状態区分表】

区分 一般状態
無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの
例えば、軽い家事、事務など
歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの

 

5.治療及び病状の経過(第9欄)

 ・現在までの治療内容及び病状の経過等が考慮される(第9欄)。

(1)現在までの治療の内容

(2)治療の期間

(3)病状の経過

 例1)全身状態の推移

 例2)栄養状態の推移

 例3)術後の経過

(4)診療回数

 ・現症日前1年間における診療回数が考慮される。

 ・入院した場合、入院日数1日は診療回数1回として計算する。

(5)手術歴(手術名及び手術年月日)

 例1)「人工肛門造設術 平成〇年〇月〇日」

 例2)「新膀胱造設術 平成〇年〇月〇日」

 例3)「尿路変更術 平成〇年〇月〇日」

(6)その他参考となる事項

 

5.現在の症状(第10欄)

 ・現在の症状等は、現症時の障害の状態を認定するうえで、第9欄と同等以上に重視される考慮要素と考える。

(1)現在の症状

 例1)現在の全身状態

 例2)現在の栄養状態

(2)その他参考となる事項

 例3)原疾患の性質(請求人の場合における、人工臓器等の造設等を施行する原因となった疾患の性質)

 例4)現在の進行状況等(ステージ等)

 例5)治療効果等(医原性後遺障害等)

 

6.現症時の具体的な日常生活活動能力及び労働能力(第16欄)

 ・現症時の具体的な日常生活活動(ADL)能力及び労働能力は、必ず把握され、考慮される(同欄朱書)。

 ・客観的所見に基づくADL能力及び労働能力は、十分考慮される。

  例1)脳脊髄液減少症(脳脊髄液漏出症)の場合:平均的な日中(起床から就床まで)の臥位の状況等。

  <日常生活の状況(不自由な程度等)について>

  ・「直立姿勢がとれず、常に前傾姿勢である。」

  ・「10分以上の歩行や座位が維持不能。」

  ・「一人では外出が困難であり、買い物等が殆どできない。」

  ・「日中の半分程度はうつ伏せ(伏臥位、腹臥位)になっている。」

  <他人の介助の必要性について>

  ・「家族の援助がないと家事を行うのが難しい。」

  <労働能力について> 

  ・「フルタイムの勤務不能。」

  ・「立位での勤務不能。」

 

7.予後(第17欄)

 ・予後は、必須記載事項として考慮される(同欄朱書)。

  例1)不良:病状の進行の見通し。

  例2)術後予後:人工臓器等を導入した場合。

  例3)生命予後:余命記載があるもの。

  例4)不詳:予後が診断時に判断できない場合。

 

8.備考(第18欄)

 ・障害認定時期や等級判定に影響を及ぼしうる特記事項の記入が要求される場合がある。

 

 

【1級】(「その他の障害」の障害の程度)

<1級相当のその他の疾患による障害>

●「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの」すなわち、その他の疾患の障害認定時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。

 →障害等級1級9号(国年令別表1級9号、認定基準第3第1章第18節1)

 

 <1級相当の人工臓器等>

 例1)次の3つ全てに該当するもの(第18節2(3)ア(ア)尚書、(7)参考)。

  ① 人工肛門を造設し、かつ、新膀胱を造設したもの。

  ⓶ 一般状態区分が「オ」に該当する。

  ③ 前記「オ」の状態と、全身状態、術後の経過及び予後、原疾患の性質、進行状況等との整合性がある。

 例2)次の3つ全てに該当するもの(同前)。

  ① 人工肛門を造設し、かつ、尿路変更術を施したもの。

  ⓶ 一般状態区分が「オ」に該当する。

  ③ 前記「オ」の状態と、全身状態、術後の経過及び予後、原疾患の性質、進行状況等との整合性がある。

 例3)次の3つ全てに該当するもの(同前(イ)尚書、(7)参考)。

  ① 人工肛門を造設し、かつ、完全排尿障害状態にあるもの。

   ※「完全排尿障害状態」:カテーテル留置又は自己導尿の常時施行を必要とする状態。

  ⓶ 一般状態区分が「オ」に該当する。

  ③ 前記「オ」の状態と、全身状態、術後の経過及び予後、原疾患の性質、進行状況等との整合性がある。

 

 <遷延性植物状態(1級)>

 例4)遷延性植物状態:遷延性意識障害(意識障害により昏睡した状態が3月を超えて継続している状態)。

 

【2級】(「その他の障害」の障害の程度)

<2級相当のその他の障害>

●「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」すなわち、その他の疾患の障害認定時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活に著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。

 →障害等級2級15号(国年令別表第2級15号、認定基準第3第1章第18節1)

 

 <人工臓器等>

 例1)人工肛門を造設し、かつ、新膀胱を造設したもの(第18節2(3)ア(ア))。

 例2)人工肛門を造設し、かつ、尿路変更術を施したもの(同前)。

 例3)人工肛門を造設し、かつ、完全排尿障害状態にあるもの(同前(イ))。

  ※「完全排尿障害状態」:カテーテル留置又は自己導尿の常時施行を必要とする状態。

 

【3級】(「その他の障害」の障害の程度)

<3級相当のその他の障害>

●「身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの」すなわち、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもの。

 →障害等級3級14号(厚年令別表第1第14号、認定基準第3第1章第18節1)

 

 <人工臓器等>

 例1)人工肛門を造設したもの(第18節2(3)ア柱書)。

 例2)新膀胱を造設したもの(同前)。

 例3)尿路変更術を施したもの(同前)。