障害状態要件(呼吸器機能障害)

10.「呼吸器機能障害」の障害状態要件

※上記画像と本文の内容とは無関係です。

 

【目次】

10-1:「呼吸不全による呼吸器機能障害」の障害状態要件(呼吸不全部分は呼吸器疾患共通)

10-2:「慢性気管支喘息による呼吸器機能障害」の障害状態要件

10-3:「じん肺による呼吸器機能障害」の障害状態要件

10-4:「肺結核による呼吸器機能障害」の障害状態要件

 

※「10-1」は、「10-2~4」の原因疾患以外(慢性呼吸不全等)の場合です(呼吸不全部分は呼吸器疾患共通)。

※「10-2~4」の場合、前記「10-1」の共通事項に加え、病態に応じた特定事項も考慮されます。

 

【注1】以下、根拠条文等について、次のように略記する場合があります。

・「節」は「障害認定基準」、「欄」は「診断書」を指すものとします。

 例1)「認定基準第3第1章第10節」→「第10節」

 例2)「呼吸器疾患による障害用の診断書(様式120号の5)第10欄」→「第10欄」

  ※呼吸器機能障害の診断書は、前記様式を用います。

  ※肺癌による呼吸器機能障害(全身衰弱等)の場合、「その他の障害用」(様式120号の7)を用います。

  ※肺癌(術後後遺症)による呼吸器機能障害(切除術後の呼吸器機能低下による諸症状等)の場合、現症時の障害の状態を最も的確に表わすと考えられる診断書(様式120号の5・7等)を選択します。

  ※複数の障害が併存する重複障害で請求する場合、様式の異なる複数の診断書を用いる場合があります。

  →診断書の様式が異なる場合、同種の記載欄の番号が本頁記載のものとは異なる場合があります。

【注2】本頁の例示は、認定基準の例示及び公開情報から推察し構築したものも含む場合があります。

 ※「公開情報」:障害年金の認定に関する専門家会合の議事録等。

 

10-1:「呼吸不全による呼吸器機能障害」の障害状態要件

■呼吸器機能障害の原因となった請求傷病(呼吸不全を来す傷病)による障害の状態が、障害認定時期に政令別表に定める障害の程度に該当するものであること(国年令別表、厚年令別表第1、認定基準第3第1章第10節1)。

 

※「呼吸器機能障害」:呼吸器疾患等(呼吸不全を来す傷病)による呼吸器系の機能障害。

※「呼吸器疾患」:呼吸器(上気道、気管、気管支、肺、胸膜等)に起こる疾患。認定基準の適用場面では、肺結核、じん肺及び呼吸不全(慢性気管支喘息を含む。)に区分して取り扱われる。いずれも呼吸不全を来す点で共通する。主に慢性呼吸不全が認定対象となる。

 

※「呼吸不全」:原因を問わず、動脈血ガス分析値、特に動脈血酸素分圧と動脈血炭酸ガス分圧が異常値を示し、そのため生体が正常な機能を営み得なくなった状態(第10節2C(1))。

 ・呼吸不全は、専ら病態を指し、主な病態は二つある。これらの組合せで二つに分類される。

  ◇呼吸不全の主な病態

   ① 低酸素血症:動脈血酸素分圧(PaO2)が異常に低下する病態。

   ② 高炭酸ガス血症:動脈血炭酸ガス分圧(PaCO2)が異常に上昇する病態。

  ◇呼吸不全の分類

   ① Ⅰ型呼吸不全:高炭酸ガス血症を伴わない低酸素血症。

   ② Ⅱ型呼吸不全:高炭酸ガス血症を伴う低酸素血症。

 

※「呼吸不全を来す傷病」:慢性呼吸不全を来す原因疾患等は、肺疾患に限らず、次のように多岐に亘る。

 ◇拘束性換気障害を来す呼吸器疾患

  ※「拘束性換気障害」:吸気制限を呈する病態(%VC<80%)。

   ・%VC(%肺活量)=VC(肺活量実測値)÷ FVC(予測肺活量)× 100。単位%。

  ⅰ)肺組織の硬化(肺の弾力性の低下)によるもの

    例)間質性肺炎、肺線維症、肺結核後遺症、放射線性肺炎、じん肺、肺鬱血。

  ⅱ)肺組織の減少(肺容量の減少)によるもの

    例)肺葉切除、術後肺合併症(術後肺炎、誤嚥性肺炎、術後肺水腫、無気肺)。

    ※「無気肺」:肺組織の一部又は全部がつぶれた状態。

  ⅲ)胸郭疾患、胸膜病変によるもの

    例)胸郭変形(脊柱後側弯症)、強直性脊髄炎、胸膜肥厚、胸膜炎、胸水、胸膜中皮腫、気胸、血胸。

 ◇閉塞性換気障害を来す呼吸器疾患

  ※「閉塞性換気障害」:呼気制限を呈する病態(FEV1%<70%)。

   ・FEV1%(努力性肺活量1秒率)= FEV1.0(1秒量)÷ FVC(努力性肺活量)× 100。単位%。

  例)慢性閉塞性肺疾患COPD(慢性気管支炎、肺気腫)、気管支喘息、びまん性汎細気管支炎。

 ◇混合性換気障害を来す呼吸器疾患

  ※「混合性換気障害」:吸気制限及び呼気制限を呈する病態(%VC<80%、FEV1%<70%)。

  例)肺水腫、肺結核、じん肺、気管支拡張症。

 ◇循環器疾患

  ・心血管疾患(心血管系異常から呼吸不全を来すもの)

   例)短絡性心疾患(心室中隔欠損症)。

  ・肺血管疾患(肺循環障害から呼吸不全を来すもの)

   例)原発性肺高血圧症、慢性肺血栓塞栓症。

 ◇神経筋疾患(神経筋系異常による呼吸筋障害から呼吸不全を来すもの)

  ※「呼吸筋」:吸気筋と呼吸筋に大別される。

   ・吸気筋:主動作筋は横隔膜(全換気量の約6割寄与)。他に外肋間筋、内肋間筋前部等がある。

   ・呼吸筋:主動作筋は無し(肺と胸郭の弾性収縮力による)。腹横筋、腹斜筋群、腹直筋等がある。

  例)脊髄性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、横隔神経麻痺、重症筋無力症、多発性筋炎、ギランバレー症候群。

 ◇中枢神経系異常(中枢神経系異常による呼吸機能麻痺から呼吸不全を来すもの)

  例)先天性中枢性肺胞低換気症候群、脳炎、脳腫瘍、髄膜炎。

 ◇その他呼吸不全を来す疾患等

  ⅰ)代謝疾患等

   例)甲状腺機能亢進症:甲状腺ホルモンの生成機能亢進→心筋や呼吸筋の疲労→呼吸不全。

  ⅱ)合併症

   例1)代謝疾患(慢性腎不全)の合併症

    例1-1)腎性貧血:造血ホルモンの生成機能低下→貧血が徐々に進行→労作時息切れ等。

    例1-2)水・電解質異常(体液過剰、高カリウム血症):不整脈、鬱血性心不全、肺水腫→呼吸不全。

  ⅲ)呼吸器関連の器質的損傷

   例)事故による脊髄損傷:呼吸筋麻痺→呼吸不全。

 

※「障害認定時期」:在宅酸素療法を施行中の場合、在宅酸素療法を開始した日(初診日から起算して1年6月以内の日に限る。)とされる(第10節1、2C(8)イ)。それ以外の場合、原則に従う(認定基準第2の2)。

 

【呼吸器機能障害の障害認定時期】

1.在宅酸素療法を施行している場合

 (1)初診日から起算して1年6月以内に在宅酸素療法を開始した場合:在宅酸素療法を開始した日

 (2)初診日から起算して1年6月を経過した日以降に在宅酸素療法を開始した場合

  ① 認定日請求の場合:初診日から起算して1年6月を経過した日。

  ② 事後重症請求の場合:裁定請求書の受理日(65歳到達日前日までのものに限る。)

  ③ 初めて2級による請求の場合:障害の程度が2級以上に該当した日(65歳到達日前日までのものに限る。)

2.在宅酸素療法を施行していない場合

 (1)認定日請求の場合:初診日から起算して1年6月を経過した日

 (2)事後重症請求の場合:裁定請求書の受理日(65歳到達日前日までのものに限る。) 

 (3)初めて2級による請求の場合:障害の程度が2級以上に該当した日(65歳到達日前日までのものに限る。)

 

●呼吸不全による障害の程度は、本来的には機能判定に資する検査成績(動脈血ガス分析値を優先(特に動脈血酸素分圧を優先))、その他は参考)及び一般状態(一般状態区分表)を重視し、その他の事項を併せて病状判定に収斂させることにより総合的に認定されるものと解する(第10節1、2C、第10欄他)。端的にいえば、動脈血酸素分圧と一般状態区分に着目するものである。以下、詳述する。

 

・呼吸不全については、次のように呼吸器疾患の障害の程度を認定する際の共通事項(第10欄)等が考慮要素となる。

 

1.臨床所見

(1)自覚症状(第10欄4(1))

 ① 咳:咳嗽(がいそう)。気管支や肺胞の炎症、肺胞の破壊等を示す。

  ・咳嗽には、痰を伴う場合(湿性咳嗽)と伴わない場合(乾性咳嗽)とがある。

  ・咳の継続期間から次の3つに分類され、各原因疾患は次の通りである。

  ⅰ)3週間未満(急性咳嗽):急性肺炎、気管支喘息、細気管支炎、鬱血性心不全等。

  ⅱ)3週間以上8週間未満(遅延性咳嗽):咳喘息、アトピー咳嗽、副鼻腔気管支症候群等。

  ⅲ)8週間以上(慢性咳嗽):慢性閉塞性肺疾患COPD(慢性気管支炎、肺気腫)、肺結核、肺血栓塞栓症等。

 ② 痰:喀痰(かくたん)。気道粘膜を保護する分泌物。罹患等により分泌量や粘稠度が増える。

 ③ 胸痛:胸部の痛み。胸痛を呈する原因疾患は多岐に亘る。

  例1)心血管系:狭心症、急性心筋梗塞、心外膜炎、解離性大動脈瘤、肥大型心筋症、大動脈弁膜症。

  例2)呼吸器系:肺炎、胸膜炎、肺塞栓・肺梗塞、気胸、肺高血圧症、過換気症候群。

  例3)消化器系:食道炎、胃炎、胆石、胆嚢炎、膵炎。

  例4)神経筋系:頚椎症、胸郭出口症候群。  

 ④ 呼吸困難:後述する【喘息症状の程度】の判定で重視される症状(後述10-2【喘息症状の程度】参照)。

 ⑤ 喘鳴:気管支の狭窄による雑音(ゼーゼー・ヒューヒュー音)。連続性ラ音(乾性ラ音)。

(2)他覚所見(臨床症状)(第10欄4(2))

 ① 肺性心所見:肺疾患により肺動脈圧の亢進を来し、右室拡大や右心不全が認められる。

  ※「肺疾患」(肺性心の原因疾患):慢性閉塞性肺疾患COPD、じん肺、原発性肺高血圧等。

  ※「肺動脈圧の亢進」(肺高血圧):肺動脈平均圧が25mmHg以上となる場合。

   ・原発性肺高血圧の場合、肺動脈平均圧が60~120mmHg程度に上昇する。

 ② チアノーゼ:口唇や爪床が青紫色になる。

 ③ ばち状指:爪の根部が盛り上がり、指の末端が太鼓ばちのようになる。

 ④ 栄養状態:体格指数や標準体重比を考慮し3段階(良・中・不良)で評価される。

  ※「体格指数」(BMI:Body mass index)= 体重kg ÷ 身長m ÷ 身長m。理想体重のBMIは22。

   →低体重(18.4以下)、普通体重(18.5~24.9)、肥満(25.0以上)。

  ※「標準体重」(IBW:Ideal body weight)= 身長m × 身長m × 22。単位kg。

  ※「標準体重比」(%IBW)= 体重kg ÷ IBWkg × 100。単位%。

   →栄養過多(110以上):栄養管理の良否の観点から、栄養状態は「不良」と考えられる。

    例)肥満で呼吸不全を来すもの:肥満低換気症候群、ピックウイック症候群。 

   →普通体重(100~109):栄養状態「良」。

   →普通体重(90~99):栄養状態「中」。

   →軽度栄養不良(80~89)、中等度栄養不良(70~79)及び高度栄養不良(69以下):栄養状態「不良」。

    例)気腫型COPD患者の約7割(3割弱が軽度、3割強が中等度、1割強が高度)が「不良」である。

     (厚生省特定疾患呼吸不全調査研究班全国栄養実態調査、医学のあゆみ1995;173:461)

 ⑤ ラ音:ラッセル音(肺性雑音)のうち断続性ラ音(湿性ラ音)。聴診による所見の一つ。

 ⑥ 脈拍数:主に頻脈(100bpm超:安静時心拍数が毎分100回超)がみられるか。

(3)その他の所見等

 ① その他の所見(第10欄8):胸部X線写真以外の画像診断による所見や神経学的所見等。

  例1)気胸:胸部外傷、肺結核、肺気腫、気管支喘息、間質性肺炎等により胸腔に空気が溜まる病態。

  例2)肺嚢胞症:肺嚢胞(肺の表面に突出した膜の薄い袋状のもの)が多数集まり目立つ病態。

  例3)呼吸促迫:頻呼吸。息切れから始まり、呼吸が早く浅くなる。

   →健常人安静時の呼吸数(毎分16回前後)を異常に越えるか否か。

  例4)精神神経症状(低酸素血症による意識障害、高炭酸ガス血症による錯乱)。

  例5)多血症、頸静脈の怒張、眼瞼結膜の貧血。

  例6)蕁麻疹、紅潮。

  例7)顔面の浮腫、下肢の浮腫、皮下気腫。

  例8)四肢筋力低下:神経筋疾患(筋ジストロフィー等)による慢性呼吸不全→運動機能低下→四肢筋力低下。

 ② その他の障害又は症状の所見等(第14欄):合併症の有無や程度等(第10節1第2文)。

  ・相当因果関係がある合併症、相当因果関係が不明な併存症、原因疾患が不明・分別不能な呼吸器症状等。

  例1)「循環器疾患」:慢性閉塞性肺疾患COPD + 右心不全、肺高血圧症。

  例2)「虚血性心疾患」:慢性閉塞性肺疾患COPD + 心筋梗塞、狭心症。

  例3)「呼吸器感染症」:慢性閉塞性肺疾患COPD + 急性気管支炎、慢性下気道感染症、肺感染症。

   ・栄養障害→呼吸筋疲労、免疫力低下→感染症合併、COPD急性増悪→呼吸機能悪化、栄養障害進行。

  例4)「睡眠呼吸障害 + 循環器疾患」:肥満肺胞低換気症候群OHS + 右心不全、肺高血圧症。

  例5)「睡眠呼吸障害」:肺胞低換気症候群AHS(フェノタイプB)+ 睡眠時無呼吸症候群SAS。

 

 

【肺胞低換気症候群AHS(Alveolar hypoventilation syndrome)の特徴】

 ・呼吸器、胸郭、神経筋系に異常がなく、肺活量等の肺機能検査でも明かな異常が認められない。

 ・慢性の高度の高炭酸ガス血症(PaCo2>45Torr)が認められ、次の症状を呈する。

  ① 重度の睡眠障害(不眠傾向や中途覚醒等)、それに基づく日中の眠気(過眠)。

  ② 右心不全の徴候(安静時ないし労作時の息切れ、全身の浮腫等)。

  ③ 日中活動性低下に伴う諸症状(四肢筋力低下等)。

 ・病型は、次の二つ。

  ① フェノタイプA:夜間睡眠中に主に低換気や低酸素血症を呈する(原発性肺胞低換気症候群PAH)。

  ② フェノタイプB:夜間睡眠中に主に無呼吸を呈する。

 ・主に睡眠時に悪化する。非侵襲的陽圧換気療法の継続治療を受けていない場合、夜間の突然死が多い。

 

【肺胞低換気症候群AHSと睡眠時無呼吸症候群SAS(Sleep apnea syndrome)が合併する場合】

 ・SASと診断され、かつ、覚醒時にPaCO2>52.5Torrであって、AHSと診断される場合。

  ※「SAS」と診断されるのは、次の二つ。

   ① AHI≧5、かつ、覚醒時の自他覚所見ありの場合。

   ② AHI≧15 の場合。

    ※AHI(Apnea hypopnea index):無呼吸低呼吸指数。      

 

 

  例6)「神経筋疾患」: 脊髄性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、進行性筋ジストロフィー、重症筋無力症。

  例7)「中枢神経障害」:肺性脳症、CO2ナルコ―シス、先天性中枢性肺胞低換気症候群。

  例8)「肝機能障害」:肺性心 + 薬物性肝障害、ウイルス性肝炎、肝不全、肝硬変。

  例9)「腎機能障害」:呼吸不全 + 乏尿、高尿素窒素血症。

  例10)「消化管障害」:慢性閉塞性肺疾患COPD + 胃潰瘍。

  例11)「術後合併症」:肺葉切除術後の肺合併症(術後肺炎、誤嚥性肺炎、術後肺水腫、無気肺)。

   →肺疾患の術後呼吸不全は、手術適応疾患と術後呼吸不全に相当因果関係が認められる(第10節2C(12))。

 

2.検査所見(検査成績)

(1)胸部X線検査(胸部X線所見(A))

 ① 現症に関するX線写真像に基づく病理所見の有無と程度

  ・次の7つの所見の有無と程度(なし・軽・中・高)が考慮される(第10欄2)。

  ⅰ)胸膜癒着:袋状の胸膜が炎症により局地的に癒着した治癒痕。

  ⅱ)気腫化:肺胞壁の破壊や肺胞の融合により肺が伸びきったままとなる状態。

  ⅲ)線維化:肺胞壁が厚く硬くなり弾力性を失っている状態。

  ⅳ)不透明肺:胸部X線写真で何らかの肺疾患が疑われる陰影。

  ⅴ)胸郭変形:漏斗胸(前胸部が陥凹した状態)等、胸郭内の心臓や肺への圧迫があるもの。

  ⅵ)心縦隔の変形:心膜内の心臓への圧迫(前縦隔で心膜嚢胞や中縦隔で胸膜心膜嚢胞等)があるもの。

  ⅶ)蜂巣肺:肺線維化の終末像を示す多数の輪状の陰影(蜂窩肺)。

 ② 現症に関するX線写真像に基づく肺病変図(第10欄2A図)

(2)換気機能検査(肺機能(一次)検査)

 ・換気能力や気流制限の有無を確認する呼吸機能検査。肺機能検査の一次検査として行われる。

 ・測定器(スパイロメータ)を用いて計測した次の検査項目が考慮される(第10欄6)。

 ① 肺活量実測値(VC:Vital capacity):ゆっくり目一杯息を吸って大きく吐き切った呼気量。単位ml。

 ② 予測肺活量(VC基準値):性別、年齢及び身長から正常ならば当然あると予測される肺活量。単位ml。

  ・予測肺活量は、診断書作成医が用いた予測式(旧基準、新基準、最新基準)次第で異なる。

  ・学術論文では最新基準が推奨されているが、厚生労働省では当面、新基準による記載が想定されている。

   http://www.jrs.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=86

  ・なお、下記いずれも計算結果の単位は「L」である一方、診断書で記載する単位は「ml」である。

  ⅰ)Baldwinによる肺活量予測式(旧基準:VC-B式):外国人データに基づくもの。

   a)VC-B式による男性の予測肺活量=(27.63 - 0.112 × 年齢)× 身長cm/1000。単位L。

   b)VC-B式による女性の予測肺活量=(21.78 - 0.101 × 年齢)× 身長cm/1000。単位L。

  ⅱ)日本呼吸器学会による2001年新肺活量予測式(新基準:VC-J式):日本人データに基づくもの。

   a)VC-J式による男性の予測肺活量=(0.045 × 身長cm - 0.023 × 年齢 - 2.258)。単位L。

   b)VC-J式による女性の予測肺活量=(0.032 × 身長cm - 0.018 × 年齢 - 1.178)。単位L。

  ⅲ)日本呼吸器学会による2014年LMS法(最新基準):数値表を参照した非線形曲線から正常値を得る方法。

   http://www.jrs.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=72

  ◇%肺活量(%VC)= 肺活量実測値(VC)/予測肺活量(VC基準値)× 100。単位%。

   ・拘束性換気障害の指標。

   →正常(80以上)、拘束性換気障害(80未満)。

 ③ 努力性肺活量(FVC:Forced vital capacity):目一杯息を吸い一気に吐き切った呼気量。単位ml。

   →正常(VC ≒ FVC)。

 ④ 1秒量(FEV1.0:Forced expiratory volume in 1 second):FVCのうち最初の1秒間の呼気量。単位ml。

  ・閉塞性換気障害の指標。

 ⑤ 努力性肺活量1秒率(FEV1%):「1秒率」や「FEV1/FVC%」とも表記される。

  ・ FEV1%(1秒率)= FEV1.0(1秒量)÷ FVC(努力性肺活量)× 100。単位%。

    →正常(70以上)、閉塞性換気障害(70未満)。

 ⑥ 予測肺活量1秒率(指数): 1秒量(FEV1.0)÷ 予測肺活量 × 100。指数ゆえ単位なし。

   →正常(70以上)、異常(70未満)、軽度異常(40~31)、中等度異常(30~21)、高度異常(20以下)。

   (第10節2C(4)B表)

(3)動脈血ガス分析(肺機能(二次)検査、ガス交換機能検査)

 ・動脈血から肺胞のガス交換能力や酸塩基平衡を把握する呼吸機能検査。肺機能検査の二次検査として行われる。

 ・動脈血ガス分析値(検査値)は、酸素吸入中のものか否かを分別して考慮される(第10欄7)。

 ① 酸素吸入を施行しているか否か。

  ⅰ)酸素吸入を施行している場合

   ※「酸素吸入」:酸素吸入療法。空気より高濃度の酸素を投与する。

   a)在宅酸素吸入でない場合:酸素吸入療法のうち在宅酸素療法以外のものを施行している場合。

    ◇その方法

     例1)在宅人工呼吸(HMV)療法(Home mechanical ventilation therapy)

      ・自発呼吸が困難な場合、酸素の取り込みや炭酸ガスの排出を補助する人工呼吸器を用いる。

      ・低酸素血症や高炭酸ガス血症の急性増悪入院を繰り返す場合等に行われる。

      例1-1)非侵襲的陽圧換気(NPPV)呼吸療法(Noninvasive positive pressure ventilation therapy)

       ・マスクを介して気道内に陽圧ガスを送り肺胞を拡げる人工呼吸器を用いる。

       ※「非侵襲的」:気管挿管や気管切開を行わない(人工気道を設けない)換気方式。

       ※「マスク」:鼻と口を覆う「フェイスマスク」、顔全体を覆う「フルフェイスマスク」等がある。

      例1-2)侵襲的陽圧換気(IPPV)呼吸療法(Intermittent positive pressure ventilation therapy)

       ・人工気道内に一定量の陽圧ガスを間欠的に(吸気時に)送り肺胞を拡げる人工呼吸器を用いる。

       ※「侵襲的」:気管挿管や気管切開を行う(人工気道を設ける)換気方式。

       ※「人工気道」:気管挿管時の「気管内チューブ」、気管切開時の「気管カニューレ」がある。

     例2)持続陽圧(CPAP)呼吸療法(Continuous positive airway pressure therapy)

      例2-1)経鼻的持続陽圧(NCPAP)呼吸療法(Nasal continuous positive airway pressure therapy)

       ・鼻マスクを介して気道内圧を常に一定の陽圧に保ち肺胞を拡げる人工呼吸器を用いる。

       ・人工気道を設けず鼻マスクを介するので、NPPV(非侵襲的陽圧換気)方式に当たる。

       ・覚醒時は自発呼吸が十分な場合(睡眠時無呼吸症候群CAS、慢性心不全等の患者)に用いる。

    b)在宅酸素吸入である場合:酸素吸入療法のうち在宅酸素療法を施行している場合。

    ※「在宅酸素吸入」:在宅酸素療法(HOT:Home oxygen therapy)。

    ・在宅で酸素供給機(酸素濃縮器や液体酸素タンク)から細長いチューブを介して酸素を吸入する。

    ・外出時には、携帯用酸素ボンベを用いる。

    ◇施行開始日(在宅酸素療法の開始日)

    ◇施行時間:1日何時間か、又は常時(24時間)か。

    ◇酸素吸入量(ℓ/分)

  ⅱ)酸素吸入を施行していない場合

   ・下記の動脈血ガス分析値は、酸素吸入中でない検査値として考慮要素となる(第10欄7(2))。

 ② 動脈血ガス分析値(安静時、室内気吸入時)

  ・病状判定では、動脈血酸素分圧(PaO2)が重視される(第10節2C(4)A表注)。

  ⅰ)動脈血酸素分圧(PaO2):動脈血中の酸素量。単位Torr(又はmmHg)。低酸素血症の指標。

    →診断基準:正常(100~80)、準呼吸不全(70~61)、呼吸不全(60以下)。

    (厚生労働省特定疾患呼吸不全調査研究班(平成6年度))

    →障害認定基準:軽度異常(70~61)、中等度異常(60~56)、高度異常(55以下)。

    (第10節2C(4)A表区分1)

  ⅱ)動脈血炭酸ガス分圧(PaCO2):動脈血中の炭酸ガス量。単位Torr(又はmmHg)。高炭酸ガス血症の指標。

    →診断基準:正常(35~45)、異常(45以上)。

    (厚生労働省特定疾患呼吸不全調査研究班(平成6年度))

     すなわち、正常(40±5)、異常(45以上)と解釈する。

    →障害認定基準:軽度異常(46~50)、中等度異常(51~59)、高度異常(60以上)。

    (第10節2C(4)A表区分2)

     なお、PaCO2=45の場合の取扱いに疑義が生じるが、酸素分圧の方で優先判断されるので問題は生じない。

 

 

【低酸素血症の病態、動脈血炭酸ガス分圧等との関係】

低酸素血症の病態
(PaO2異常原因)
呼吸不全の
病型
動脈血炭酸ガス分圧
(PaCO2の評価)
肺胞気‐動脈血酸素分圧較差
(A‐aDO2)
1.換気血流比不均等 Ⅰ型呼吸不全
(肺不全型)
45Torr未満
(正常)
20mmHg超(開大)
(異常:ガス交換不全)
2.拡散障害 Ⅰ型呼吸不全
(肺不全型)
45Torr未満
(正常)
20mmHg超(開大)
(異常:ガス交換不全)
3.シャント Ⅰ型呼吸不全
(肺不全型)
45Torr未満
(正常)
20mmHg超(開大)
(異常:ガス交換不全)
4.肺胞低換気 Ⅱ型呼吸不全
(換気不全型)
45Torr以上
(異常:高炭酸ガス血症)
20mmHg以下
(正常)

 ※「換気血流比不均等」:肺胞換気量と肺胞毛細血管血流量のバランスが崩れ、ガス交換の効率が低下する。

 ※「拡散障害」:肺胞毛細血管膜の肥厚、間質の水分貯留により、ガス交換が妨げられる。

 ※「シャント」:肺胞内のガスと肺胞毛細血管の静脈血が接触せず、ガス交換なく動脈血が還流する。

 ※「肺胞低換気」:気管支狭窄等により換気量が減少し、動脈血中の酸素が少なく炭酸ガスが多くなる。

 ※「Ⅰ型呼吸不全」:肺不全型(ガス交換不全)。喘息発作、肺線維症、肺塞栓症等。

 ※「Ⅱ型呼吸不全」:換気不全型(肺胞低換気)。進行した肺気腫、肺結核後遺症、胸郭変形等。

 ※「肺胞気‐動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)」:肺胞気酸素分圧(PAO2)と動脈血酸素分圧(PaO2)の差。

  ・肺胞膜(肺胞上皮細胞)と肺胞毛細血管膜(血管内皮細胞)を通過する際に生じる酸素の損失量を示す。

  ・A‐aDO2 = PAO2 - PaO2。単位mmHg。ガス交換障害の指標。

   ※「A‐aDO2」:肺胞気‐動脈血酸素分圧較差(Alveolar-arterial oxygen difference)。   

   ※「PAO2」:肺胞気酸素分圧(Partial pressure of oxygen in Albeoli)。

    ・PAO2=(760-47)× 0.21 - PaCO2 ÷ 0.8。理論値。単位mmHg。

   ※「PaO2」:動脈血酸素分圧(Partial pressure of oxygen in arterial blood)。

   →正常(20以下)、ガス交換不全(20超)。

   (正常値の定義:厚生労働省特定疾患呼吸不全調査研究班(平成6年度))

 

 

  ⅲ)動脈血pH:動脈血水素イオン濃度指数。体液の酸塩基平衡を動脈血から間接的に把握する。

   ・動脈血は、弱アルカリ性の平衡状態(7.40±0.05)となるよう肺や腎臓で調節されている(酸塩基平衡)。

   ・平衡異常の原因が呼吸異常の場合を「呼吸性」、それ以外の場合の場合を「代謝性」という。

   →酸性側に傾いた平衡異常(7.35以下、或は7.35未満):アシデミア(酸性血症)。病態は三つ。

    ① 呼吸性アシドーシス:呼吸異常によるアシデミア。

     ・炭酸ガス分圧(PaCO2)上昇→血液pH低下。

     例)慢性閉塞性肺疾患COPD、慢性気管支喘息、神経筋疾患による呼吸筋麻痺等。

    ② 代謝性アシドーシス:代謝異常によるアシデミア。

     ・重炭酸(HCO3)低下→動脈血pH低下。

     例)慢性腎不全による酸の排泄障害等。

    ③ 混合性アシドーシス:呼吸異常と代謝異常によるアシデミア。

     ・炭酸ガス分圧(PaCO2)上昇、重炭酸(HCO3)低下→動脈血pH低下。

     例)慢性閉塞性肺疾患COPDと糖尿病が同時に増悪した場合。

   →塩基側に傾いた平衡異常(7.45以上、或は7.45超):アルカレミア(アルカリ性血症)。病態は三つ。

    ① 呼吸性アルカローシス:呼吸異常によるアルカレミア。

     ・炭酸ガス分圧(PaCO2)低下→血液pH上昇。

     例)過換気症候群による過呼吸等。

    ② 代謝性アルカローシス:代謝異常によるアルカレミア。

     ・重炭酸(HCO3)上昇→血液pH上昇。

     例)重炭酸塩の過剰投与、輸血、利尿剤の投与等。

    ③ 混合性アルカローシス:呼吸異常と代謝異常によるアルカレミア。

     ・炭酸ガス分圧(PaCO2)低下、重炭酸(HCO3)上昇→動脈血pH上昇。

     例)くも膜下出血等(脳圧上昇)による中枢性過換気+治療薬フロセミドの副作用。

   →厚生労働省では、正常値の範囲が広く(6.8~7.8)、上限下限の境界値の取扱いは明らかでない。

    (正常値の定義:厚生労働省特定疾患呼吸不全調査研究班(平成6年度))

    つまり、一般的な平衡状態の境界値(下限値7.35、上限値7.45)を大きく外れる場合に参考とされる。

(4)必要に応じて行うその他の検査(第10節2C(3))

 ①「必要に応じて」

  例1)労作時のみ症状が出る場合(安静時での動脈血ガス分析で異常なし)。

  例2)肺胞低換気症候群AHSの場合(呼吸器、胸郭、神経筋系に異常なし、肺機能検査も明かな異常なし)。

 ②「その他の検査」

  例1)運動負荷肺機能検査CPET(Cardiopulmonary exercise testing):労作時のみ症状が出る場合等。

   ◇6分間歩行試験:6分間で歩ける最大距離を測定する。

   ◇多段階漸増法:多段階に負荷量を漸増させて検査値を測定する。

    ・自転車エルゴメーターによる心肺機能検査

    ・トレッドミルによる負荷心肺機能検査

    ※「自転車エルゴメーター」:可変抵抗ペダル踏み検査器具。ペダルに抵抗を加え負荷量を調節可能。

    ※「トレッドミル」:屋内ランニングマシン。ベルトの傾斜と速度で負荷量を調節可能。

  例2)終夜睡眠検査(ポリソムノグラフィー):肺胞低換気症候群AHSの病型を判定する場合。 

  例3)胸部造影CT検査:腫瘍や肺血栓塞栓症を疑う場合。

  例4)頭部単純CT検査:脳出血、脳腫瘍を疑う場合。

  例5)心電図検査:心疾患等を疑う場合。

  例6)心臓超音波検査(心エコー):心不全を疑う場合。

  例7)気管支内視鏡検査:肺炎、肺線維症、気管支炎等の確定診断をする場合。  

(5)活動能力(呼吸不全)の程度

 ・診断書における次の6段階のうち該当するものが考慮される(第10欄5)。

 ① 同年齢の健康人と同様に歩行、階段の昇降ができる。

 ② 階段を人並みの速さで登れないが、ゆっくりなら登れる。

 ③ 階段をゆっくりでも登れないが、途中休み休みなら登れる。

 ④ 人並みの速さで歩くと息苦しくなるが、ゆっくりなら歩ける。

 ⑤ ゆっくりでも少し歩くと息切れがする。

 ⑥ 息苦しくて身のまわりのこともできない。

 

3.一般状態(一般状態区分表)(第10節1第2文、同2C(5))

 ・次の一般状態区分表の区分は、呼吸不全を来す疾患に共通する必須の考慮要素である(第10欄3)。

 

【一般状態区分表】

区分 一般状態
無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの
例えば、軽い家事、事務など
歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの

 

4.治療及び病状の経過(第10節1第2文)

 ・現在までの治療の内容、期間、経過、診療回数、手術歴、その他参考となる事項が考慮される(第9欄)。

(1)現在までの治療の内容

  例)薬物療法、放射線療法、化学療法、禁煙、酸素療法、呼吸理学療法、換気補助療法等。

   ※「酸素療法」:高濃度の酸素を吸入させるもの。経鼻カテーテル、マスク等を用いる。

   ※「呼吸理学療法」:呼吸訓練、運動療法・栄養療法等を行う呼吸リハビリテーション。

   ※「換気補助療法」:小型の人工呼吸器やマスク等の補助具を用いる。

(2)治療の期間

  例)在宅酸素療法の施行期間を含めた現在までの治療期間。

(3)病状の経過

  例1)在宅酸素療法から在宅人工呼吸療法に移行するに至る病状の経過。

  例2)予後:少なくとも1年以上の長期にわたる安静を要する病状が見込まれる旨(第16欄)。

   →障害認定時期以後少なくとも1年以上の療養を要することが見込まれるか否かが考慮される(第10節1)。

    ※「1年」:有期認定(等級の有効期間)の最短期間。一時的な障害では1級及び2級は認定されない。

(4)診療回数

 ・現症日前1年間における診療回数が考慮される。

 ・入院した場合、入院日数1日は診療回数1回として計算する。

(5)手術歴(手術名及び手術年月日)

  例)手術名:肺全摘、肺葉切除、肺区域切除、肺楔状切除、気管形成術。

(6)その他参考となる事項

  例1)肺性心の病期を示すもの:「代償性」又は「非代償性」(第10節2C(10))。

   ※「代償性」:肺高血圧や右室拡大(拡張肥大)がみられるが、右心不全まで呈していない病期にあるもの。

   ※「非代償性」:右心不全を呈するに至っている病期にあるもの。

    <慢性肺疾患により非代償性の肺性心を生じている場合>

    ・少なくとも、3級と認定される(同前)。

    ・治療及び病状の経過、検査成績、具体的な日常生活状況等次第で2級や1級も認定されうる(同前)。

  例2)慢性肺疾患における個人の順応や代償の有無(同(11))。

   ・検査成績から想定される障害の程度が、より下位等級で認定される場合がありうる。

   ※「順応」:体内環境の悪化に対して新たな恒常性維持機能を発揮すること(症状の緩和等)。

   ※「代償」:肺と腎臓が相互に補完し従来の恒常性維持機能を発揮すること(血液pHの正常化等)。

  例3)多臓器不全の症状(同前)。

   ・検査成績から想定される障害の程度が、より上位等級で認定される場合がありうる。

 

5.現症時の具体的な日常生活活動能力及び労働能力(第15欄)

 ・現症時の具体的な日常生活活動(ADL)能力及び労働能力は、必ず把握され、考慮される(同欄朱書)。

 ・客観的所見に基づくADL能力及び労働能力は、十分考慮される。

 

6.予後(第16欄)

 ・予後は、必須記載事項として考慮される(同欄朱書)。

  例1)不良:病状の進行の見通し。

  例2)術後予後:人工呼吸器を装着した場合等。

  例3)生命予後:余命記載があるもの。

  例4)不詳:予後が診断時に判断できない場合。

 

7.備考(第17欄)

 ・障害認定時期や等級判定に影響を及ぼしうる特記事項の記入が要求される場合がある。

 <人工呼吸器を常時装着した場合>

  →人工呼吸器の装着日及び常時装着の有無。

  例)「平成○年○月○日以後、人工呼吸器を常時装着」。

 

 

【1級】(「呼吸不全による呼吸器機能障害」の障害の程度)

<1級相当の呼吸不全による呼吸器機能障害>

●「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの」すなわち、当該疾病の障害認定時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたり安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。

 →障害等級1級9号(国年令別表1級9号、認定基準第3第1章第10節1)

 例)次の3つ全てを満たすもの(第10節2C(6))。

  ⓵ 動脈血ガス分析値が「高度異常」に該当する(同(4)A表)。

   例1)動脈血酸素分圧(PaO2)が「高度異常」(55Torr以下)の場合。

   例2)動脈血炭酸ガス分圧(PaCo2)が「高度異常」(60Torr以上)の場合。

  ② 予測肺活量1秒率(指数)が「高度異常」(20%以下)に該当する(同(4)B表)。

  ③ 一般状態の区分が「オ」に該当する(同(5)一般状態区分表)。

 

【2級】(「呼吸不全による呼吸器機能障害」の障害の程度)

<2級相当の呼吸不全による呼吸器機能障害>

●「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」すなわち、当該疾病の障害認定時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活に著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。

 →障害等級2級15号(国年令別表第2級15号、認定基準第3第1章第10節1)

 例)次の3つ全てを満たすもの(第10節2C(6))。

  ⓵ 動脈血ガス分析値が「中等度異常」に該当する(同(4)A表)。

   例1)動脈血酸素分圧(PaO2)が「中等度異常」(60~56Torr)の場合。

   例2)動脈血炭酸ガス分圧(PaCo2)が「中等度異常」(51~59Torr)の場合。

  ② 予測肺活量1秒率(指数)が「中等度異常」(30~21%)に該当する(同(4)B表)。

  ③ 一般状態の区分が「エ」又は「ウ」に該当する(同(5)一般状態区分表)。

 

【3級】(「呼吸不全による呼吸器機能障害」の障害の程度)

※「呼吸器機能障害」については、3級12号及び障害手当金の認定はない(認定基準第3第1章第10節1)。

 

<経過観察に付される3級相当の呼吸不全による呼吸器機能障害>

●「身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの」すなわち、労働が制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。

 →障害等級3級14号(厚年令別表第1第14号、認定基準第3第1章第10節1)

 例1)次の3つ全てを満たすもの(第10節2C(6))。

  ⓵ 動脈血ガス分析値が「軽度異常」に該当する(同(4)A表)。

   例1)動脈血酸素分圧(PaO2)が「軽度異常」(70~61Torr)の場合。

   例2)動脈血炭酸ガス分圧(PaCo2)が「軽度異常」(46~50Torr)の場合。

  ② 予測肺活量1秒率(指数)が「軽度異常」(40~31)に該当する(同(4)B表)。

  ③ 一般状態の区分が「ウ」又は「イ」に該当する(同(5)一般状態区分表)。

 例2)慢性肺疾患により「非代償性の肺性心」を生じている場合(第10節2C(10))。

  ただし、治療及び病状の経過、検査成績、具体的な日常生活状況等次第でより上位等級もありうる(同前)。

 

 

10-2:「慢性気管支喘息による呼吸器機能障害」の障害状態要件

■呼吸器機能障害の原因となった請求傷病(慢性気管支喘息)による障害の状態が、障害認定時期に政令別表に定める障害の程度に該当するものであること(国年令別表、厚年令別表第1、認定基準第3第1章第10節1)。

 

※「請求傷病」が次の場合、呼吸不全の基準(前掲10-1)に従う(第10節1、2C(7)(注3))。

 ①(慢性気管支)喘息及び肺気腫(COPD)

 ②(慢性気管支)喘息及び肺線維症

 

●慢性気管支喘息による呼吸機能障害の障害の程度は、以下の考慮要素(呼吸不全の共通事項及び気管支喘息の特定事項)により総合的に認定される(第10節2C(7))。

※赤字部分は、気管支喘息の特定事項(第13欄等)。それ以外は呼吸不全の共通事項(詳しくは前掲10-1参照)。

 

1.臨床所見(第10欄4)

(1)自覚症状

(2)他覚所見(臨床症状)

(3)その他の所見等

 ① その他の所見(第10欄8)

 ② その他の障害又は症状の所見等(第14欄)

  ・合併症の有無や程度等(第10節1第2文)

  <気管支喘息の合併症>

  例)慢性気管支喘息+肺炎。

 

2.検査所見(検査成績)

(1)胸部X線検査(胸部X線所見(A))(第10欄2)

 ① 現症に関するX線写真像に基づく病理所見の有無と程度(第10欄2)

 ② 現症に関するX線写真像に基づく肺病変図(第10欄2A図) 

(2)換気機能検査(肺機能(一次)検査)(第10欄6)

(3)動脈血ガス分析(肺機能(二次)検査、ガス交換機能検査)(第10欄7)

 ① 酸素吸入を施行しているか否か。

 ② 動脈血ガス分析値(安静時:室内気吸入時)

(4)必要に応じて行うその他の検査(第10節2C(3))

 ・喘息の性質上、無症状の期間がある場合、すなわち発作がないときは前記検査では異常が見つけにくい。

 例1)気管支鏡検査:肺炎、肺線維症、気管支炎等の確定診断をする場合。

 例2)気道過敏性試験:薬で人為的に発作を起し、その濃度の閾値を測る。低値(過敏性が高い)ほど重症。

 例3)胸部CT検査重症の喘息を疑う場合。

 例4)心臓超音波検査(心エコー):心不全を疑う場合。

 

3.活動能力(呼吸不全)の程度(第10欄5)

 

4.一般状態(一般状態区分表)(第10欄3)

 

5.呼吸不全(共通事項)に係る治療及び病状の経過(第9欄)

(1)現在までの治療の内容

(2)治療の期間

(3)病状の経過

 例)症状の安定期における症状の程度(第10節2C(7))

(4)診療回数

(5)手術歴(手術名及び手術年月日)

(6)その他参考となる事項

 

6.気管支喘息(特定事項)に係る治療及び病状の経過(第13欄)

 ・喘息の性質上、肺機能や血液ガスだけで重症度を弁別するには無理があるため、臨床症状(第10欄4(2))や治療内容(第9欄、第13欄6)を含めて総合的に判定される(第10節2C(7)(注3))。

(1)時間の経過と症状(第13欄1)

 ① 症状の前提:的確な喘息治療を受けているにも拘わらず呈する症状か否か(第10節2C(7)(注1))。

  ※「的確な喘息治療」の判断要素

  ⅰ)治療医:専門医(呼吸器内科等)が喘息治療を行っているか。

  ⅱ)治療方法:「喘息予防・管理ガイドライン2009(JGL2009)」に基づく治療か。

 ② 症状の持続性:無症状の期間の有無(第13欄1)。

  ⅰ)喘息症状の間に無症状の期間がある場合

   →無症状の期間(症状の安定期)における病状の程度が考慮される(第9欄、第10節2C(7))。

  ⅱ)持続する喘息症状のために無症状の期間がない場合

   →的確な喘息治療を受けていても喘息発作が管理困難な状態を示唆する。

(2)ピークフロー値(PEFR:peak expiratory flow rate):PF値。最大呼気流速度。

 ・次の3つ全てを満たすものでなければならない(第13欄2)。

 ① 最近(1か月程度の期間)の計測値であること。

 ② 最高値、最低値、平均値(いずれも単位ℓ/分)を計測したものであること。

 ③ 慢性安定期に計測したものであること(発作時の計測値でないこと)。

 

 

【ピークフロー値の意義】

簡易な測定器(PFメータ)を使って在宅で毎日記録し、気管支の収縮を示すPF値の低下を喘息発作の前兆として捉え、気管支の状態を自己管理する目的で用いる。例えば、喘息日記では、PF値のみならず、発作の有無、その症状、日常生活の状況、睡眠の状態、使用した薬剤や用量等も記録する。したがって、喘息日記は、診断書記載事項となる発作の強度や頻度が把握できるだけでなく、治療ステップや発作のコントロール状態も推察でき、障害の状態を認定するうえで有用な基礎資料となりうる。もっとも、診断書に必要十分な記載がある場合、喘息日記の写しの添付は不要である。つまり、自己の意思に依存するPF値であっても、医師の確認を経たものは認定の際の参考情報となるのである。

 

 

(3)発作の強度(第13欄3)

 ・次の4つのうち該当するものが考慮される。

 ・なお、括弧内は「喘息症状の程度」を示す(成人気管支喘息重症度判定基準)。

 ① 大発作:苦しくて動けなく、会話も困難(A:高度)

 ② 中発作:苦しくで横になれなく、会話も苦しい(B:中等度)

 ③ 小発作:苦しいが横になれる、会話はほぼ普通(C:軽度)

 ④ その他

  ⅰ)喘鳴のみ(D1:喘鳴)

  ⅱ)急ぐと苦しい(D2:胸苦しい)

  ⅲ)急いでも苦しくない(N:症状なし)

 

 

【喘息症状の程度】

喘息症状の程度の判定では「呼吸困難」が重視され、他は参考として評価される。喘息症状の程度が混在する場合、症状の重い方を採る(気管支喘息重症度判定基準再評価委員会「成人気管支喘息重症度判定基準」1994年)。

喘息症状の程度 呼吸困難 会話 日常生活
動作
チアノーゼ 意識状態 PEFR
(%)
A:高度(大発作) 苦しくて
動けない
困難 不能 意識障害
失禁・正常
測定不能
B:中等度(中発作) 苦しくて
横になれない
やや
困難
困難 正常 50%以下
C:軽度(小発作) 苦しいが
横になれる
ほぼ
普通
やや
困難
正常 50~70%
D1:喘鳴 ゼーゼー/
ヒューヒュー
普通 ほぼ
普通
正常 70%以上
D2:胸苦しい 急ぐと苦しい
走ると苦しい
普通 普通 正常 70%以上
N:症状なし 急いでも
苦しくない
普通 正常 正常 80%以上

※「PEFR(%)」:PF値の標準値(スパイロメトリーによる日本人臨床肺機能検査指標基準値)に対する測定値の比率。一定機器による自己最高値に対する比率で計算するのが望ましいとされる。

 

 

(4) 発作の頻度(第13欄4)

 ・次の4つのうち該当する喘息発作の頻度(平均回数)が考慮される。 

  ①「1週に 5日以上」

  ②「1週に 3~4日」

  ③「1週に 1~2日」

  ④「その他」(発作が平均で週1回未満の場合)

(5)入院歴の有無(第13欄5(1))

 ・直近2年以内に喘息の入院歴「有」の場合、加えて「入院期間」も考慮される。

(6)救急室受診歴(直近6ヶ月以内のものに限る。)の有無(第13欄5(2))

(7)治療で使用している薬剤(第13欄6前段)

 ①吸入ステロイド薬の有無と使用量(第13欄6前段①)

  ※「吸入ステロイド薬」:長期管理薬(コントローラー)。抗炎症剤。

  <薬剤名>

   例1)BDP-HFA:商品名キュバール。吸入器はpMDI。

   例2)FP-HFA:商品名フルタイドエアー。吸入器はpMDI。

   例3)CIC-HFA:商品名オルベスコ。吸入器はpMDI。

   例4)FP-DPI:商品名フルタイドディスカス、フルタイドディスクヘラー。吸入器はDPI。

   例5)BUD-DPI:商品名パルミコートタービュヘイラー。吸入器はDPI。

   例6)MF‐DPI:商品名アズマネックスツイストヘラー。吸入器はDPI。

   ※「BDP」:一般名ベクロメタゾンプロピオン酸エステル。吸入器はpMDIのみ。

   ※「FP」:一般名フルチカゾンプロピオン酸エステル。吸入器はpMDI又はDPI。   

   ※「CIC」:一般名シクレソニド。吸入器はpMDIのみ。 

   ※「BUD」:一般名ブデソニド。吸入器はDPIのみ。

   ※「MF」:一般名モメタゾンフランカルボン酸エステル。吸入器はDPIのみ。

   ※「HFA」:代替フロン(hydrofluoroalkane)HFA-134a(テトラフルオロエタン)。噴射剤。

   ※「pMDI」:加圧噴霧式定量吸入器(pressurized metered-dose inhaler)。

   ※「DPI」:ドライパウダー吸入器(dry powder inhaler)。

  <吸入ステロイド薬の使用量>

  ・下記表の推奨量を参考に診断書に記載されたもの(記入上の注意6)。

 

【各吸入ステロイド薬の治療ステップ別推奨量(喘息予防・管理ガイドライン2009(JGL2009))】

薬剤名 治療ステップ1~2
低用量
治療ステップ3
中用量
治療ステップ4
高用量
BDP-HFA 100~200 ㎍/日 200~400 ㎍/日 400~800 ㎍/日
FP-HFA 100~200 ㎍/日 200~400 ㎍/日 400~800 ㎍/日
CIC-HFA 100~200 ㎍/日 200~400 ㎍/日 400~800 ㎍/日
FP-DPI 100~200 ㎍/日 200~400 ㎍/日 400~800 ㎍/日
BUD-DPI 200~400 ㎍/日 400~800 ㎍/日 800~1,600 ㎍/日
MF‐DPI 100~200 ㎍/日 200~400 ㎍/日 400~800 ㎍/日

 

 ② その他の(併用している)薬剤(第13欄6前段②)

  ⅰ)長時間作用性β2刺激薬(LABA:Long Acting β2 Agonist)

   ※「LABA」:長期管理薬(コントローラー)の一つ(気管支拡張薬)。

   ・SM(一般名サルメテロールキシナホ酸塩)との配合剤。吸入器はpMDI又はDPI。

    例1)FP/SM HFA:商品名アドエアエアー。吸入器はpMDI。

    例2)FP/SM DPI:商品名アドエアディスカス。吸入器はDPI。

   ・FM(一般名ホルモテロールフマル酸塩水和物)との配合剤。吸入器はDPIのみ。

    例3)BUD/FM:商品名シムビコートタービュヘイラー。吸入器はDPI。

  ⅱ)ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA:Leukotriene Receptor Antagonist)

   ※「LTRA」:長期管理薬(コントローラー)の一つ(抗アレルギー薬)。

   例1)一般名プランルカスト(商品名オノン)。

   例2)一般名モンテルカスト(商品名シングレア、キプレス)。

   例3)一般名ザフィルルカスト(商品名アコレート)。

   例4)一般名アンレキサノクス(商品名エリックス)。

  ⅲ)テオフィリン徐放製剤:長期管理薬(コントローラー)の一つ(気管支拡張薬)。

   例1)一般名テオフィリン(商品名テオロング、テルバンス、テオドール、スロービット)。

  ⅳ)抗IgE抗体:抗IgE抗体を標的にした生物学的製剤。治療ステップ4で用いる長期管理薬の一つ。

   例1)一般名オマリズマブ(商品名ゾレア)。

  ⅴ)経口ステロイド薬:強力な抗炎症薬。治療ステップ4で用いる長期管理薬の一つ。

   例1)一般名プレドニゾロン(商品名プレドニゾロン、プレドニン)。

   例2)一般名メチルプレドニゾロン(商品名メドロール)。

   例3)一般名ヒドロコルチゾン(商品名コートリル)。

  ⅵ)その他

   ・LTRA以外の抗アレルギー薬(長期管理薬のうち追加治療として用いられるもの)

    例1)メディエーター遊離抑制薬

    例2)ヒスタミンH3拮抗薬

    例3)トロンボキサンA2阻害薬

    例4)Th2サイトカイン阻害薬  

   ・短時間作用性β2刺激薬(SABA:Short-Acting β2 Agonist)

    ※「SABA」:急性発作の治療で用いられる気管支拡張薬。リリーバーの一つ。

    例1)一般名フェノテロール(商品名ベロテック)

    例2)一般名プロカテロール(商品名メプチンエアー、メプチンスイングヘラ―等)

    例3)一般名サルブタモール(商品名サルタノール、アイロミール、べネトリン吸入液)

)薬剤投与の方法(第13欄6後段)

 ・次の6つのうち該当する項目が考慮される。

 ・なお、各項目の末尾の括弧内は、重症度判定を示す(成人気管支喘息重症度判定基準)。

 ① PSLを1日に10mg相当以上を連用している(重症)。

  ※「PSL」:一般名プレドニゾロン(商品名プレドニン等)。合成副腎皮質ホルモン製剤(ステロイド薬)。

 ② PSLを1日に5mg相当以上と吸入ステロイドを600μg以上を連用している(重症)。

 ③ ステロイド薬を経口又は注射で、月1回以上投与している(中等度以上)。

 ④ 吸入ステロイドを1日400μg以上を連用している(中等度以上)。

 ⑤ 発作時のみ経口ステロイドを併用する(重症~軽症)。

  ※1回でも意識障害を伴うような大発作に該当する症状が出た場合は「重症」。

 ⑥ 気管支拡張薬のみでコントロールしている(軽症)。

(9)喫煙歴(第13欄7)

 ・次の3つのうち該当する項目が考慮される。

 ① 吸ったことがない

 ② やめた:1日( )本×( )年間

 ③ 吸う:1日( )本×( )年間

 

7.具体的な日常生活活動能力及び労働能力(第15欄)

 

【1級】(「慢性気管支喘息による呼吸器機能障害」の障害の程度)

<1級相当の慢性気管支喘息による呼吸器機能障害>

●「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの」すなわち、当該喘息の障害認定時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたり安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。

 →障害等級1級9号(国年令別表1級9号、認定基準第3第1章第10節1)

 例)次の4つ全てを満たすもの(第10節2C(7)、同注1)。

  ⓵ 的確な喘息治療であって最大限の薬物療法を行っても、なお発作強度が大発作となり、無症状の期間がない。

   ※「的確な喘息治療」:例えば、呼吸器内科等の専門医が「喘息予防・管理ガイドライン2009(JGL2009)」に基づいて治療していることが要求される(第10節2C(7)注1)。

  ② 動脈血ガス分析値(同(4)A表)が「高度異常」に該当し、かつ、常に在宅酸素療法を必要とする。

  ③ 予測肺活量1秒率(同(4)B表)が「高度異常」(測定不能を含む。)に該当する。

  ④ 一般状態(一般状態区分表)が「オ」に該当する。

 

【2級】(「慢性気管支喘息による呼吸器機能障害」の障害の程度)

<2級相当の慢性気管支喘息による呼吸器機能障害>

●「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」

すなわち、当該喘息の障害認定時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活に著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。

 →障害等級2級15号(国年令別表第2級15号、認定基準第3第1章第10節1)

 例)次の4つ全てを満たすもの(第10節2C(7)、同注1)。

  ⓵ 的確な喘息治療を行っても、なお呼吸困難が認められる。

   ※「的確な喘息治療」:例えば、呼吸器内科等の専門医が「喘息予防・管理ガイドライン2009(JGL2009)」に基づいて治療していることが要求される(第10節2C(7)注1)。

  ② 常時とは限らないが、酸素療法を必要とする。

  ③ 一般状態(一般状態区分表)が「エ」又は「ウ」に該当する。

  ④ 使用する薬剤について、次の2つのいずれかに該当する。

   i)プレドニゾロン換算で1日10mg相当以上の連用を必要とする。

   ii)プレドニゾロン換算で1日5mg相当以上及び吸入ステロイド高用量の連用を必要とする。

   

【3級】(「慢性気管支喘息による呼吸器機能障害」の障害の程度)

※「呼吸器機能障害」については、3級12号及び障害手当金の認定はない(認定基準第3第1章第10節1)。

 

<経過観察に付される3級相当の慢性気管支喘息による呼吸機能障害>

●「身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの」すなわち、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもの。

 →障害等級3級14号(厚年令別表第1第14号、認定基準第3第1章第10節1)

 例1)次の3つ全てを満たすもの(第10節2C(7)、同注1)。

  ⓵ 的確な喘息治療を行っても、なお喘鳴や呼吸困難が週1回以上認められる。

   ※「的確な喘息治療」:例えば、呼吸器内科等の専門医が「喘息予防・管理ガイドライン2009(JGL2009)」に基づいて治療していることが要求される(第10節2C(7)注1)。

  ② 一般状態(一般状態区分表)が「ウ」又は「イ」に該当する。

  ③ 使用する薬剤について、次の3つ全てに該当する。

   i)非継続的なステロイド薬の使用を必要とする場合がある。

   ii)吸入ステロイド中用量以上及び長期管理薬を追加薬として2剤以上の連用を必要とする。

   iii)短時間作用性吸入β2刺激薬頓用を少なくとも週1回以上必要とする。

 例2)常時(24時間)在宅酸素療法を施行中のもので、かつ、軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のもの(第10節2C(8)ア)。なお、臨床症状、検査成績及び具体的な日常生活状況等次第で、更に上位等級が認定されうる(同尚書)。

 例3)慢性肺疾患により非代償性の肺性心を生じているもの(認定基準第3第1章第10節2C(10))。なお、治療及び経過、検査成績、具体的な日常生活状況等次第で、更に上位等級が認定されうる(同尚書)。

 

 

10-3:「じん肺による呼吸器機能障害」の障害状態要件

■呼吸器機能障害の原因となった請求傷病(じん肺)による障害の状態が、障害認定時期に政令別表に定める障害の程度に該当するものであること(国年令別表、厚年令別表第1、認定基準第3第1章第10節1)。

 

※「じん肺」:粉じんを吸入することによっ肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病(じん肺法2条1号)。

※「粉じん」:遊離珪酸、石綿、滑石、珪藻土、石炭、黒鉛、鉄、アルミニウム等、多数に亘る。

 

●じん肺による障害の程度は、病状判定及び機能判定により認定される(第10節2B(1))。

 

※「病状判定」:胸部X線所見における肺病変の像型等によるもの(同(2)(3))。

※「機能判定」:肺機能検査等から把握される心肺機能の評価等によるもの(同(4))。

 

1.臨床所見(第10欄4)

(1)自覚症状

(2)他覚所見(臨床症状)

(3)その他の所見等

 ① その他の所見(第10欄8)

 ② その他の障害又は症状の所見等(第14欄)

  例1)合併症の有無や程度等(第10節1第2文)。

  <じん肺合併症>

   例1-1)じん肺+続発性気管支炎。

   例1-2)じん肺+続発性気管支拡張症。

   例1-3)じん肺+続発性気胸。

   例1-4)じん肺(珪肺症)+肺結核。

   例1-5)じん肺+結核性胸膜炎。      

 

2.検査所見(検査成績)

(1)胸部X線検査(胸部X線所見)(第10欄2、第13欄1)

 ① 胸部X線所見(A)(第10欄2)

  ⅰ)現症に関するX線写真像に基づく病理所見の有無と程度(第10欄2)

   ・次の7つの病理所見の有無と程度(なし・軽・中・高)が考慮される(第10欄2)。

   a)胸膜癒着

   b)気腫化

   c)線維化

   d)不透明肺

   e)胸郭変形

   f)心縦隔の変形

   g)蜂巣肺

  ⅱ)現症に関するX線写真像に基づく肺病変図(第10欄2A図)。

 ② じん肺法X線写真区分(1、2、3、4)(第13欄1)

  ・じん肺法によるX線写真像の分類(じん肺法分類)の4つのうち該当するもの(写真区分)が重視される。

 

【じん肺法分類(写真区分)】

分類 X線写真の像
第1型 両肺野にじん肺による粒状影又は不整形陰影が「少数」で、じん肺による「大陰影がない」。
第2型 両肺野にじん肺による粒状影又は不整形陰影が「多数」で、じん肺による「大陰影がない」。
第3型 両肺野にじん肺による粒状影又は不整形陰影が「極めて多数」で、じん肺による「大陰影がない」。
第4型 じん肺による「大陰影がある」。

※「粒状影」:小結節の密在を示す陰影。線維化が弱く低濃度で微細な陰影。

 例)珪肺、炭鉱夫じん肺(局所肺気腫)。

※「不整形陰影」:小結節の密在が重なり末梢血管影が不鮮明で粒状影の識別が困難な低濃度の陰影。

 例)石綿肺。

※「大陰影」:個々の粒状影が識別できない塊状影(塊状巣)。胸膜癒着を伴う。塊状巣内に空洞もありうる。

 例)珪肺、滑石肺、ろう石肺、硫化鉄肺、黒鉛肺等。

 

 

 ③ じん肺管理区分(1、2、3イ、3ロ、4)(第13欄2)

  ・じん肺法による管理区分の5つのうち該当するものが重視される。

 

【じん肺管理区分】

管理区分 じん肺健康診断の結果
管理1 じん肺の所見がない。
管理2 X線写真の像が「第1型」で、じん肺による「著しい肺機能の障害がない」。
管理3イ X線写真の像が「第2型」で、じん肺による「著しい肺機能の障害がない」。
管理3ロ X線写真の像が「第3型」又は「第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1以下のものに限る。)」で、じん肺による「著しい肺機能の障害がない」。
管理4 1.X線写真の像が「第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1を超えるものに限る。)で、じん肺による「著しい肺機能の障害がない」。
2.X線写真の像が「第1型、第2型、第3型又は第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1以下のものに限る。 」で、じん肺による「著しい肺機能の障害がある」。

※「著しい肺機能の障害がある」:次の1又は2のいずれかに該当する場合。

 ・該当するパターンは、2+3+2=7通りある。

1.肺機能(一次)検査(換気機能検査)で次の二つのいずれかに該当する場合。

(1)「%肺活量<60%」。

(2)「1秒率<70%」かつ「%1秒量<50%」。

2.前記1のいずれにも該当しないが、次の(1)及び(2)に該当する場合。

(1)肺機能(一次)検査(換気機能検査)で次の三つのいずれかに該当すること。

 ①「%肺活量<80%」。

 ②「1秒率<70%」かつ「%1秒量<80%」。

 ③「呼吸困難度Ⅲ以上」。

(2)肺機能(二次)検査(動脈血ガス分析)で次の二つのいずれかに該当すること。

 ①「動脈血酸素分圧(PaO2)が60Torr以下」。

 ②「肺胞気-動脈血酸素分圧較差(A-aDo2)が限界値(20mmHg)を超える」。 

(じん肺法によるじん肺健康診断における肺機能検査の判定基準、平成22年7月1日施行)

 

 

(2)換気機能検査(肺機能(一次)検査)(第10欄6)

 ① 肺活量実測値(VC)

 ② 予測肺活量(VC基準値)、%肺活量(%VC)

 ③ 努力性肺活量(FVC)

 ④ 1秒量(FEV1.0)

 ⑤ 努力性肺活量1秒率(FEV1%)

 ⑥ 予測肺活量1秒率(指数)

(3)動脈血ガス分析(肺機能(二次)検査、ガス交換機能検査)(第10欄7)

 ① 酸素吸入を施行しているか否か。

 ② 動脈血ガス分析値(安静時、室内気吸入時)

(4)その他の検査(必要に応じて行うもの)(第10節2C(3))

 ・じん肺健康診断の肺機能検査で拘束性障害や閉塞性障害が認められないが呼吸困難を呈する場合がある。

 例1)6分間歩行試験:6分間で歩ける最大距離を測定後の採血で動脈血酸素飽和度(SaO2)を測定する。

  ※「動脈血酸素飽和度(SaO2)」:動脈血中の総ヘモグロビンのうち、酸素と結合したものの割合。

 例2)心電図検査:心疾患を疑う場合。

 

3.活動能力(呼吸不全)の程度(第10欄5)

 

4.一般状態(一般状態区分表)(第10欄3)

 

5.治療及び病状の経過(第9欄)

(1)現在までの治療の内容

(2)治療の期間

(3)病状の経過

  例)じん肺合併症も含めた病状の経過。

(4)診療回数

(5)手術歴(手術名及び手術年月日)

(6)その他参考となる事項

  例1)粉じん作業内容や職歴(病歴等申立書等も参考となる)。

  例2)じん肺健康診断の結果を受けて粉じん作業から作業転換した事実及び時期。

  例3)じん肺健康診断で療養が必要とされた事実及び時期。

 

6.具体的な日常生活活動能力及び労働能力(第15欄)

 

【1級】(「じん肺による呼吸器機能障害」の障害の程度)

<1級相当のじん肺による呼吸器機能障害>

●「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの」すなわち、じん肺の障害認定時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたり安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。

 →障害等級1級9号(国年令別表1級9号、認定基準第3第1章第10節1)

 例)次の2ついずれも満たすもの(認定基準第3第1章第10節2B(3))。

  ⓵ 胸部X線所見が第4型(じん肺法分類)でああり、大陰影の大きさが1側の肺野の1/3以上である。

  ② 長期にわたる高度の安静と常時の介護を必要とする。

 

【2級】(「じん肺による呼吸器機能障害」の障害の程度)

<2級相当のじん肺による呼吸器機能障害>

●「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」すなわち、じん肺の障害認定時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活に著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。

 →障害等級2級15号(国年令別表第2級15号、認定基準第3第1章第10節1)

 例)次の2ついずれも満たすもの(認定基準第3第1章第10節2B(3))。

  ⓵ 胸部X線所見が第4型(じん肺法分類)であり、大陰影の大きさが1側の肺野の1/3以上である。

  ② 日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする。

 

【3級】(「じん肺による呼吸機能障害」の障害の程度)

※「呼吸機能障害」については、3級12号及び障害手当金の認定はない(認定基準第3第1章第10節1)。

 

<経過観察に付される3級相当のじん肺による呼吸器機能障害>

●「身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの」すなわち、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもの。

 →障害等級3級14号(厚年令別表第1第14号、認定基準第3第1章第10節1)

 例)次の2つ全てを満たすもの(第10節2B(3))。

  ⓵ 胸部X線所見が第3型(じん肺法分類)である。

  ② 労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする。

 

 

10-4:「肺結核による呼吸器機能障害」の障害状態要件

■呼吸器機能障害の原因となった請求傷病(肺結核)による障害の状態が、障害認定時期に政令別表に定める障害の程度に該当するものであること(国年令別表、厚年令別表第1、認定基準第3第1章第10節1)。

 

※「呼吸器機能障害」:肺結核後遺症も含む。

 

●肺結核による呼吸器機能障害の障害の程度は、次の考慮要素に基づいて、病状判定及び機能判定により総合的に認定される(第10節1、同2A(1)(2))。

 

1.臨床所見(第10欄4)

(1)自覚症状

(2)他覚所見(臨床症状)

(3)その他の所見等

 ① その他の所見(第10欄8、第11欄4)

  ⅰ)その他の自覚症状

   例1)血痰

   例2)喀血

   例3)食欲不振

   例4)倦怠感

  ⅱ)その他の他覚所見(臨床症状)

   ◇安静度(1度・2度・3度・4度・5度・6度・7度・8度・無制限)(第11欄3)

    ※「安静度」:「結核の治療指針の安静度表」に基づくもの。

  ⅲ)その他

   ◇結核予防法による公費負担医療適用の有無(第11欄4括弧書)

 ② その他の障害又は症状の所見等(第14欄)

  例1)合併症の有無や程度等(第10節1第2文)。

   <肺結核合併症>

   例1-1)肺結核後遺症:結核の治癒後、呼吸機能障害、肺性心、肺真菌症等の合併症を起こしたもの。

 

2.検査所見(検査成績)

(1)胸部X線検査(胸部X線所見)(第10欄2、第11欄1)

 ① 胸部X線所見(A)(第10欄2)

  ⅰ)現症に関するX線写真像に基づく病理所見の有無と程度(第10欄2)

   ・次の7つの所見の有無と程度(なし・軽・中・高)が考慮される(第10欄2)。

   a)胸膜癒着

   b)気腫化

   c)線維化

   d)不透明肺

   e)胸郭変形

   f)心縦隔の変形

   g)蜂巣肺

  ⅱ)現症に関するX線写真像に基づく肺病変図(第10欄2A図)。

 ② 胸部X線所見(B)(第11欄1)

  ・X線写真像に基づく日本結核病学会病型分類(以下「学会分類」と略す。)が重視される。

  ⅰ)初診時に係るX線写真像に基づく学会分類(第11欄1)

   a)病側(右・左・両)

   b)病巣の拡がり(1・2・3)

   c)病型(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ)   

  ⅱ)現症に関するX線写真像に基づく学会分類(第11欄1、第10欄2A図)

   ・初診時との比較で現症に関する(撮影年月日における)学会分類が重視される。

   a)病側(右・左・両)

   b)病巣の拡がり(1・2・3)

   c)病型(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ)

 

【学会分類(肺結核症の「病型」】

病型(病巣の性状) 肺結核症の病型に係る胸部X線所見
0型(無所見) 肺病変(以下「病巣」という。)が全く認められない。
Ⅰ型(広汎空洞型) 空洞面積の合計が病巣の拡がり「1」を超え、病巣の拡がりの合計が一側肺に達する。
Ⅱ型(非広汎空洞型) 空洞を伴う病巣が認められるが、Ⅰ型には該当しない。
Ⅲ型(不安定非空洞型) 空洞は認められないが、病勢が不安定な病巣が認められる。
Ⅳ型(安定非空洞型) 空洞は認められないが、病勢が安定的な病巣が認められる。
Ⅴ型(治癒型) 治癒所見のみ認められる。

 

【学会分類(肺結核症の「病巣の拡がり」)】

病巣の拡がり 肺結核症の病巣の拡がりに係る胸部X線所見
1(小) 第2肋骨前端上縁を通る水平線以上の肺野の面積を超えない(一側肺野面積のほぼ1/3以内に相当する)範囲に病巣の拡がりが認められる。
2(中) 病巣の拡がりが「1」と「3」の中間に当たる。
3(大) 一側肺野面積を超える範囲に病巣の拡がりが認められる。

 

【学会分類(肺結核症の病側)】

病側 肺結核症の病側に係る胸部X線所見
r(右) 右側のみ病巣が認められる。
ℓ(左) 左側のみ病巣が認められる。
b(両) 両側に病巣が認められる。

 

 

(2)換気機能検査(肺機能(一次)検査)(第10欄6)

 ① 肺活量実測値(VC)

 ② 予測肺活量(VC基準値)、%肺活量(%VC)

 ③ 努力性肺活量(FVC)

 ④ 1秒量(FEV1.0)

 ⑤ 努力性肺活量1秒率(FEV1%)

 ⑥ 予測肺活量1秒率(指数)

(3)動脈血ガス分析(肺機能(二次)検査、ガス交換機能検査)(第10欄7)

 ① 酸素吸入を施行しているか否か。

 ② 動脈血ガス分析値(安静時、室内気吸入時)

(4)その他の検査(必要に応じて行うもの)(第10節2C(3))

 ① 結核菌検査(排菌状態の検査成績)(第11欄2)

  ・現在陰性の場合、その旨及び最終陽性時期(最終陽性の検査成績及び現在陰性の検査成績)が考慮される。

  ⅰ)塗抹検査:結果は直ちに得られるが感度は低くても構わない(排菌量が多そうな)場合に用いる。

   a)塗抹検査材料(痰・喉頭粘液・気管支洗滌液・胃液・穿刺液)

   b)塗抹検査年月日、陰性陽性の別(−・+)及びガフキーの号数。

  ⅱ)培養検査:結果を得るのに4~8週間かけてでも感度の高いものを望む(排菌量が微妙な)場合に用いる。

   a)培養検査材料(痰・喉頭粘液・気管支洗滌液・胃液・穿刺液) 

   b)培養検査年月日、陰性陽性の別(−・+)及びコロニー。

 

3.活動能力(呼吸不全)の程度(第10欄5)

 

4.一般状態(一般状態区分表)(第10欄3)

 

5.治療及び病状の経過(第9欄)

(1)現在までの治療の内容

 ① 抗結核化学療法を行った場合(第9欄括弧書)

  ⅰ)使用薬剤名

  ⅱ)使用期間

(2)治療の期間

(3)病状の経過

 例)肺結核合併症も含めた病状の経過。

(4)診療回数

(5)手術歴(手術名及び手術年月日)

(6)その他参考となる事項

 

6.具体的な日常生活活動能力及び労働能力(第15欄)

 

 

【1級】(「肺結核による呼吸器機能障害」の障害の程度)

<1級相当の肺結核による呼吸器機能障害>

●「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの」

すなわち、肺結核の障害認定時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたり安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。

 →障害等級1級9号(国年令別表1級9号、認定基準第3第1章第10節1)

 例)次の3つ全てを満たすもの(認定基準第3第1章第10節2A(3))。

  ⓵ 認定の時期前6月以内に常時排菌がある。

  ② 胸部X線所見が学会分類Ⅰ型~Ⅲ型に該当し、かつ、病巣の拡がりが3(大)である。

  ③ 長期にわたる高度の安静と常時の介護を必要とする。

 

  ※「学会分類」:日本結核病学会病型分類の略称。

  ※「Ⅰ型」:広汎空洞型。

  ※「Ⅱ型」:非広汎空洞型。

  ※「Ⅲ型」:不安定非空洞型。

  ※「病巣の拡がり3」:大。

 

【2級】(「肺結核による呼吸器機能障害」の障害の程度)

<2級相当の肺結核による呼吸器機能障害>

●「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」すなわち、肺結核の障害認定時期以後、少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。

 →障害等級2級15号(国年令別表第2級15号、認定基準第3第1章第10節1)

 

 

【3級】(「肺結核による呼吸器機能障害」の障害の程度)

※「呼吸器機能障害」については、3級12号及び障害手当金の認定はない(認定基準第3第1章第10節1)。

 

<経過観察に付される3級相当の肺結核による呼吸器機能障害>

●「身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの」すなわち、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもの。

 →障害等級3級14号(厚年令別表第1第14号、認定基準第3第1章第10節1)