老齢年金の繰上げ請求後の障害年金の裁定請求の可否

 

老齢年金の繰上げ請求後における障害年金の裁定請求の可否

 現行の公的年金制度では、老齢基礎年金及び老齢厚生年金は、65歳から支給されるのが原則です(国年法26条、厚年法42条1号)。

 ただし、60歳以上65歳前に繰上げ支給の老齢基礎年金(国年法附則9条の2第1項、同9条の2の2第1項)及び繰上げ支給の老齢厚生年金(厚年法附則7条の3第1項、同13条の4第1項)を請求することも特例により認められています(同法附則9条の2第1項、同3項)。

 このとき、繰上げ支給の請求日をもって65歳到達日とみなされるため、1人1年金の原則のもと、同一の支給事由に基づかない老齢年金と障害年金は併給できないのではないか、つまり、繰上げ支給の老齢基礎年金及び繰上げ支給の老齢厚生年金の受給権者は、障害基礎年金及び障害厚生年金の裁定請求はできないのではないか問題となります。

 結論としては、老齢基礎年金及び老齢厚生年金の繰上げ請求後においては、障害基礎年金及び障害厚生年金の裁定請求ができる場合とできない場合とがあります。

 

障害年金の裁定請求ができる場合

■初診日に国民年金の被保険者である場合、繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権者(国年法附則9条の2第3項、同9条の2の2第3項)であっても、障害基礎年金の認定日請求をすることができます(国年法30条1項1号、同法附則9条の2の3)。

■初診日に厚生年金の被保険者である場合、繰上げ支給の老齢厚生年金の受給権者(厚年法附則7条の3第3項、同13条の4第3項)であっても、障害基礎年金及び障害厚生年金の認定日請求をすることができます(国年法30条1項1号、同法附則9条の2の3、厚年法47条、同附則16条の3第1項)。

 

障害年金の裁定請求ができない場合

■初診日に国民年金の被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満である場合、繰上げ支給の老齢基礎年金(国年法附則9条の2第1項、同9条の2の2第1項)の受給権者は、障害基礎年金の認定日請求をすることができません(国年法30条1項2号、同附則9条の2の3)。

■初診日に国民年金の被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満である場合、繰上げ支給の老齢厚生年金(厚年法附則7条の3第1項、同13条の4第1項)の受給権者は、障害基礎年金の認定日請求をすることができません(国年法30条1項2号、厚年法附則16条の3第1項)。

■繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権者(国年法附則9条の2第3項、同9条の2の2第3項)は、障害基礎年金の事後重症請求(国年法30条の2)、20歳前傷病による障害基礎年金の事後重症請求(同30条の4第2項)、基準障害による請求(同30条の3)をすることができません(同附則9条の2の3)。

■繰上げ支給の老齢厚生年金の受給権者(厚年法附則7条の3第3項、同13条の4第3項)は、障害厚生年金の事後重症請求(厚年法47条の2)、基準障害による請求(同47条の3)をすることができません(同附則16条の3第1項)。